BACKSIDE (バックサイド)

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OAKLEY

スノーボード界の枠組みを越えて社会に還元する

 
米バーモント州バーリントンに位置するBurton(バートン)本社の敷地内には、好きな野菜を育てることができるオーガニックガーデンやスケートランプがある。毎日150匹以上の犬が飼い主であるスタッフとともに出社し、地元で焙煎されたオーガニックコーヒーをたしなみ、使用する石鹸も地元産のオーガニックにこだわるなど、サステナブルなカルチャーが会社全体に根づいている。
 
プロダクトの製造に関しても、本社や工場でのCO2排出量を削減することはもちろん、使用する素材もエコなものを厳選し、各プロダクトの寿命を延ばす努力を惜しまない。ソフトグッズには一切の有害物質を使用することがないため、業界最高レベルのBluesign®(環境や健康および生産面での安全性認証の世界的証明)の認証を受けたブルーサインパートナーである。原料から廃棄に至るまで、サプライチェーン全体を考えているのだ。
 
また、2003年までリーダーシップチームにおける女性の割合は10%以下だったが、現在は40%にまで上がっている。これは、ブランドオーナーのドナ・カーペンターが2004年に女性の地位向上を掲げてから、多くのアクションを起こしてきたからにほかならない。男女同一賃金、充実した子育て支援などの男女同権への取り組みは、1982年から続いてきた「Burton US Open」の賞金が男女同額であることが証明している。
 
さらに、1995年に特定非営利活動法人「Chill」を立ち上げた。以降、毎年多くの若者たちにボードスポーツを介して困難な状況を乗り越える力を育むカリキュラムを通じ、人生でもっとも重要な価値観である尊敬・忍耐・持久力・勇気・責任について学ぶ機会を提供している。
 
こうした思想の源流をたどっていくと、1977年に同州のとある倉庫で創業したジェイク・バートンの想いにたどり着く。SNURFER(スナーファー: SNOWとSURFERの複合語)という雪上玩具にインスピレーションを受けてスノーボードを着想し、試行錯誤を繰り返しながらスノーボードメーカーとして大きな成功を収め、長きに渡りリーディングブランドを牽引してきた。2019年11月、闘病の末に他界してしまったが、1983年からパートナーとしてともにBurtonに尽力してきたドナにバトンを託し、現在に至る。
 
「Burtonは常に、スノーボード以上のものを象徴してきました。スノーボードのパイオニアであると同時に、コミュニティにおける存在価値やサステナビリティ、女性の地位を向上するための努力もしてきました。だからこそ、Bコーポレーション認証企業の仲間入りができたことを誇りに思います(一部省略)」
 
Bコーポレーション認定企業とは、サステナビリティや社会的責任、会社の透明性などにおいて、非常に高い基準をクリアしたという証である。先述したドナの言葉が意味するのは、企業の力をスノーボード業界だけにとどまらず社会に還元する、ということ。
 
WE RIDE TOGETHER──スノーボーダーとしての精神を365日絶やすことなく、性別や人種などの垣根を越えて全人類に向け、そして、地球の未来のためにBurtonは邁進し続ける。
 
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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