BACKSIDE (バックサイド)

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世界中のBURTONライダーが集結し勉強会&商品開発を通じて絆を深めた「RIDER SUMMIT」

2023.11.10

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日本はまだコロナ禍だった昨年7月、世界各地に点在しているBURTON(バートン)のチームライダーたちの姿はマッシブで多様性に富む街、アメリカはニューヨークにあった。冬でも南半球でもない大都会で夏に顔を合わせるのは、チームライダーたちにとっても新鮮だったに違いない。そこには、ゆっちこと藤森由香と片山來夢というグローバルに活躍する日本人ライダーたちの姿も。初開催となる「RIDER SUMMIT」に参加するためだ。
 
RIDER SUMMITの前身として、BURTON創業者で2019年に亡くなってしまったジェイク・バートン生前まで行われていた「RIDER ROUND TABLE」がある。当時はメンズとウィメンズに分かれ、一部のライダーとプロダクト担当者が集められ製品開発に重きが置かれていた。そこにアジア人が招聘されることはなかったそうだ。
 
しかし、このRIDER SUMMITは、新型コロナウイルス蔓延による渡航制限があった2年間を経て大きくパワーアップ。イベント名を改称しただけでなく男女のライダーが混在し、白人だけでなくアジア人や有色人種まで多様なチームライダーたちが一堂に会した。
 

肌の色の違いなんて関係ない。中央手前がジャパンクルー

 
参加人数が多かったこともあり、ライダー&スタッフの半分は客室が10部屋ほどあるジェイクの別荘に、残り半分はそこから少し離れた大型ホテルに宿泊していた。RIDER ROUND TABLE時代からミーティング会場はジェイクの別荘だったのだが、それでは移動に不公平が生じるという配慮から、それぞれの会場で2日間に渡って開催。その中身について、参加していたゆっちと來夢の言葉を通じて迫ってみよう。
 

それぞれの宿泊場所で開催することにより、細かい部分まで不平等を感じない心配りが

 
「これまでのRIDER ROUND TABLEでは、ライダードリブンというBURTONが掲げる方針に集約されているように、プロダクトに対するフィードバックはもちろん、たくさんあるデザインの中からライダーたちが選び、それをもとにデザインの方向性を作るというやり方でした。それに加えてこのRIDER SUMMITでは、お題となったテーマの中からチームごとに意見を出し合って、デザイナーとともにシルエットや素材、機能を決めていきました。
 
こうした経験を通じて、みなで一丸となってモノ作りを進めることでプロダクトに対する関心につながり、チームビルディングとしての役目も大きく働いていたと思います! また、プロダクトに限らず会社の方向性がシェアされたり、それについて話し合ったりもしました。さらに、移り変わっていく時代が抱える社会問題や、スポーツに関わる女性がより活躍しやすくするための意見などが飛び交ってしましたね」
 

数多くあるサンプルを着回してチェックするゆっち

 
このようにゆっちが話してくれたように、初日はスノーボードとアウトドアをルーツに持ち、人々や地球、スポーツのために戦うBURTONがパーパスとして掲げているJEDI(JUSTICE, EQUITY, DIVERSITY & INCLUSION)などについて学んだ。JEDIとは日本語で順に、正義、公平性、多様性、包摂となる。社会的にプラスの影響を最大化し、環境へのマイナスの影響を最小限に抑える取り組みだ。
 

英語に長けたジャパンスタッフの力を借りながら勉強する來夢(左)とゆっち(右)

 
2日目には、ハードギアだけでなくソフトギアにも導入された3Dデザインソフトを利用して、4グループに分けられたライダーたちが、先日発売となったスプリングライディング用プロダクトのデザインコンテストを実施。丸一日かけて各グループで話し合い、最後はファイルに落とし込んだ資料をもとにジャッジに向けてプレゼンが行われた。ダニー・デイビス率いるボーイズチームが爆笑をさらったが、商品化を勝ちとったのはガールズチームだった。
 

ライディング同様に言葉でも表現力豊かなダニー(中)。左はマーク・マクモリス

 
 

実際に商品化されたガールズチームのプレゼン風景。アンナ・ガッサー、グレース・ワーナー、マリア・トムセン、イルヴァ・ルナルスドーティル、ゾーイ・サドウスキー・シノットらが考案した

 
ゆっちはプレゼン前にコロナを発症してしまい、戦線離脱。白熱したというプレゼンタイム以降の話を來夢に聞いてみた。
 
「チームごとにスプリングライディング用のウエアを考えてプレゼン勝負をし、優勝したチームのウエアを実際に開発してリリースするという、RIDER SUMMITの総仕上げのような感じでした。僕たちのチームはケリー・クラークとマーク・ソラーズ。子供の頃から画面の中で見ていたスーパースターたちです。プロダクトを考える準備段階からたくさん話し合い、プレゼンではマークのアイデアで『日本人がいることを強みに』ということで僕がメインの話し手の役割を担うことになりました。たくさんの面白いアイデアが出たんですが、惜しくも勝てず……。でも、とても盛り上がり、拍手喝采の中でプレゼンを終えられたあの瞬間は、自分の中での思い出です。
 
その後、ニューヨークの室内ゲレンデ「BIG SNOW」で新しいプロダクトをテストしたり、ANONのミーティングにも参加したんですが、RIDER SUMMITも含めて言えることは、ライダーたちの積極性ですね。自分たちが思っていることをどんどん口に出して、それぞれの意見を交換することで、よりよいアイデアが出ていたように感じました。これまでも雪上で海外ライダーたちと話す機会はありましたが、内容はふざけたものばかりで。このトリップでは彼らと一緒に勉強し、ライダー同士でアイデアを出し合い、価値観をシェアするという4日間。そのほとんどを雪のないところでイスに座って、スノーボードのことだけを考えるという有意義な時間でした。この時間は自分にとって大きな課題と経験を与えてくれるものでしたね」
 

英語でのプレゼン後、チームライダーたちからの喝采に応える來夢

 
朝から晩まで寝食をともにしながらライダーとスタッフたちが交流し、互いの関係性を深める。一方通行のミーティングではなく、ライダーたちに発言の機会が多く与えられ、双方の意見に耳を傾けながら、より一層ブランドについての知識を深める。自由を追い求めながら己の限界に挑戦するフリースタイルスノーボーディングという世界に、創造性あふれる感性を持ったライダーという存在が必要不可欠であることを、リーディングブランドであるBURTONが示してくれた。

words: BURTON JAPAN
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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