BACKSIDE (バックサイド)

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世代や性別を超えるコミュニティを生み出した「BURTON MYSTERY SERIES」を振り返る

2024.01.26

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日本ではこれまでに3回開催され、そのたびに進化を続けているグラスルーツ・スノーボードイベント「BURTON MYSTERY SERIES」。さる1月20日、4回目のMYSTERY SERIESが福島・星野リゾート ネコマ マウンテンにて開催された。同イベントの目的は、あらゆる特色を持つ世界各地のスノーボードコミュニティが成長していく起点を作ること。そのためには年齢や性別、民族、人種、LGBT、国籍、宗教、ライディングスキルなどに関係なく、スノーボードを愛する者であれば誰もが楽しめるようなイベントにする必要がある。1シーズンの試行錯誤を経て、BURTONが選んだのは“バンクドスラローム × パークセッション”というイベントフォーマットだった。バンクドスラロームは、プロライダーも初級者も同じコースで競い合うことができる。特設パークはクリエイティビティに富んだ遊び方が可能であり、そのうえで、各アイテムは初中級者でも楽しめるサイズになっている。ゆえに憧れのライダーたちと一緒に、ジャムセッションに参加しているような空間が作り出されるわけだ。
 
「日本にはスノーボードのカルチャーが強く根づいているね。性別も年齢も関係なく、いろいろな人がスノーボードを楽しんでいる姿がある。僕もその一部になって楽しむことができたよ。一緒に楽しめる仲間がいれば、どんな日でもスノーボードは楽しいからね!」
 
イベント直後に行ったインタビューに対してこう答えてくれたのは、ゲストライダーとして来日したベン・ファーガソン。同じく来日したミッケル・バングとともに、終始イベント参加者との交流を図ろうとしていた姿が印象的だった。現在のバックカントリーフリースタイルシーンを牽引する立場にあるふたりも、MYSTERY SERIESによって生み出されたコミュニティの一部となり、その場を楽しんでいた。
 

開会式の様子。バンクドスラローム参加には200名の定員があったのだが、応募開始から1日を待たずして定員いっぱいに! パークセッションのみのエントリーも合わせると300名以上が集まったことになる

 

ゲストライダー陣が勢揃い。左から中山悠也、ミッケル・バング、ベン・ファーガソン、片山來夢、降旗由紀

 
「バンクドコースもパークも、とても楽しかったよ。速く、デカく、カッコつけて滑って、楽しむ。そんな僕の姿を見て、何か受けとってもらえたらうれしいね」

このように語るベンも楽しんでいた、ネコマ マウンテンの北エリア(旧猫魔スキー場)に造成されたバンクドコースとパークアイテム。こちらは日本が誇るスノーパークテクノロジー「THE PARKS」クルーと、ネコマ マウンテンのパーククルーが協同で造り上げた特設コースだ。バンクドスラロームは平昌パラリンピックから正式種目として採用されており、パラスノーボード日本チームによるバックアップのもと、北京パラリンピックに出場した岡本圭司がコースプロデュースを担当。生み出されたハイクオリティな特設コースを、集まった老若男女が楽しんだ。
 

BURTONらしく13のバンクからなるバンクドコースと、奥に見えるパークアイテムたち。整備の行き届いたスパインは全越えを狙える設計となっていた

 

現役だけでなく元ライダーからキッズまで、幅広い層がバンクドコースを楽しんでいた

 
現在はアメリカに拠点を置いて活動している片山來夢は、このイベントの前には「NATURAL SELECTION DUELS」に参戦するなど、世界中から大きな注目を集めている。多忙を極めるスケジュールの中だったが、MYSTERY SERIESでは純粋にスノーボードを楽しんでいた。

「どうしても撮影などに対して集中しすぎてしまって、ストイックになりすぎるときがあるんです。このイベントはリラックスした雰囲気で純粋に楽しむことができたので、スノーボードの原点を思い出させてくれました。来てくれたみんなが、自由で型にハマらずにスノーボードを楽しんでいる雰囲気があったんですよね。だから見ていても面白かったし、逆に僕がインスピレーションを受けたところもありました」
 

ツーショットのお願いに笑顔で応えていた來夢。彼自身も来場者との交流を楽しんでいた

 

憧れのライダーたちと交流できる、またとないチャンス。サインを求める声も多く、その一つひとつに丁寧に対応していた

 
特設パークでは午前と午後に1回ずつ、ミニコンテストが開催されていた。指定されたアイテムで魅せる滑りをした者に、ライダーたちから直接、BURTONアイテムが手渡される。派手なバックフリップからいぶし銀のレイバックまで、各々がクリエイティビティを爆発させる時間だった。その様子をMCとして見守っていた中山悠也は、印象に残ったシーンについて次のように語ってくれた。

「今日特にカッコよかったのは、思いやりに溢れているスノーボーダーたち。滑走技術は関係なく、誰とでも楽しく滑れるんだろうなっていう人たちです。いろいろなクルーやファミリーが滑っていたけど、トレイン中に前の人がコケたらその人もコケてでも止まって、笑いながら『大丈夫?』と声をかけるような人が多かったですね」
 

平田巧(右)とともにMCを務めた悠也。昨シーズンからお馴染みのMCコンビだ。SIMS SNOWBOARDS(シムス スノーボード)とBURTONのライダーたちがタッグを組むのも粋な計らい

 
「一般のお客さんも含めてみんなで楽しめるイベントは東北では珍しいし、だからこそ、みんなすごく楽しみにしていたと思うんです。イベントを通してキッズファーストだったのが、すごく素敵でした! キッズたちにとっても、世界のトップライダーたちと関われる時間は刺激的だったと思います」

自身も1児の母である降旗由紀がこう語ってくれたとおり、次なるスノーボードシーンを担っていくであろうキッズたちにとって、世界トップレベルのライダーたちと関わる時間は非常に有意義な時間だったに違いない。事実、会場にはたくさんのキッズが来場しており、ライダーたちも積極的に彼らとコミュニケーションをとっていた。
 

終始笑顔の絶えないイベントだった。純粋にスノーボードを楽しむキッズたちの姿勢から、來夢同様、刺激を受けた人も多かったのでは

 

ライダーたちがドロップインするたびに、会場中の視線が彼らに集まった

 
自身のホームゲレンデであるノルウェー・ヘムセダルにて、2016年からバンクドスラロームイベントを主催しているミッケル・バング。今ではMYSTERY SERIESの一部となり、「BANG SLALOM」の名はそのままに、ヨーロッパ最終戦として数えられている。地球最強スノーボーダー決定戦として知られる「NATURAL SELECTION TOUR」の招待ライダーである彼もまた、スノーボードを通じたコミュニケーションで多くの仲間を作ってきたひとりだ。

「スノーボードそのものがコミュニケーションだと思っているよ。オレが14、5歳くらいでカズ(國母和宏)と一緒に滑ったとき、お互いに英語があまり話せなかった。でも、1日一緒に滑って楽しんでいたらいつの間にか、友達になっていたんだ。雪山で一緒に楽しむことで、誰かとつながることができる。このイベントはそういう場所になっていたと思うよ。スノーボードはそもそも楽しいものなんだから、いつでも『今日この日を目一杯楽しんでやろう!』っていう姿勢が大事さ」
 

誰よりもこのイベントを楽しんでいたミッケル。この日の最速タイムを叩き出していた

 
2020年まで30年以上に渡って開催されていた伝統の一戦「BURTON US OPEN」を打ち切り、世界中で開催されることとなったMYSTERY SERIES。多様なバックグラウンドを持つ人々がライディングを楽しんでいる時代だからこそ、スノーボードを愛するすべての人が参加できて、つながれるイベントが必要なのだ。日本では3月9日(土)に福井・スキージャム勝山にて、今シーズン2回目の開催が予定されている。そのコミュニティの一部になることで、スノーボードの原点に立ち返ってみてほしい。

 

バンクドスラローム結果

 
スーパーグロム
 

 
ボーイズ 
1位 サワ マサトキ
2位 スギタ イチロ
3位 ナカムラ カナト
 
ガールズ
1位 オオタニ リン
2位 ヘライ マコ
3位 ウルシヤマ ユア
 
ヤングスター
 

 
メンズ
1位 コバヤシ セイヨウ
2位 コスギ エイダイ
3位 ミカミ ハヤト
 
ウィメンズ
1位 スギウラ ルカ
2位 サワ フウカ
 
オープン
 

 
メンズ
1位 シバタ リヒト
2位 マエダ リオン
3位 イマムラ ユラ
 
ウィメンズ
1位 カクバリ ミサキ
2位 ハヤシ エナ
3位 タマダ ナツミ
 
マスター
 

 
メンズ
1位 スギウラ エイスケ
2位 ヒラバヤシ タカシ
3位 サワ マサシ
 
ウィメンズ
1位 サイトウ メイ
2位 コバヤシ マユミ
3位 クルス リサ

text: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)
photos: Taro Koeji

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