BACKSIDE (バックサイド)

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NEWS

老若男女スキル問わず楽しめるバンクド×パークの「BURTON MYSTERY SERIES」潜入ルポ

2023.02.07

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1982年から続いた伝統の一戦「BURTON US OPEN」の最後の開催から早3年。世界中からトップライダーたちが集いファンを熱狂させてきた同大会は、今はその姿を変え、世界各地で開催される一般スノーボーダーが主役のグラスルーツ・スノーボードイベントに生まれ変わった。年齢や性別、民族、人種、LGBT、国籍、宗教、ライディングスキルに関係なく、すべてのスノーボーダーが楽しみを共有するために昨シーズンから開催されている、「BURTON MYSTERY SERIES」だ。
 
とはいえ、老若男女がライディングスキルを問わずにみなで楽しめるイベントをどのように実現するのか。昨シーズン、長野・白馬八方尾根で開催されたときのBURTON(バートン)の答えは、“サイドヒット”だった(詳しくはこちらの記事をチェック)。ゲレンデから下山するときに誰でも遊ぶであろう壁地形をもとに造成されたフリーライドパークは、実に多様なラインを生んだという。
 
そして、2回目の開催となる今シーズン、福島・アルツ磐梯に用意されたのは“バンクドスラローム×パークセッション”コース。このコースについてBURTONの創始者・故ジェイク・バートンの長男であるジョージ・バートン・カーペンターに弊誌が取材を行った際には、「バンクドスラロームは子供たちとプロライダーが同じ土俵に立てるフォーマットであり、初中級者向けのパークでは憧れのライダーたちと一緒にセッションすることができる」と、そのチョイスの理由を語ってくれた。
 

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イベントコースのアクセスに使うリフトはこの日、グリーンエネルギーで運行されていた。B Corp(社会や公益に配慮した企業の国際的な認証制度)に名を連ねるBURTONらしい取り組みだ

 
開催当日の1月21日、受付開始の7時30分の時点ですでに受付場所には長蛇の列が。本イベントの定員は150人なのだが、受付開始からわずか1週間ほどでその枠が埋まったそうだ。当日キャンセルを狙って列に並んでいた人もいるというその盛況ぶりを見るに、多くの人から望まれたイベントであることがうかがい知れる。また、長蛇の列を眺めているとイベント参加者たちの全容が見えてくるのだが、トレンドのウエアに身を包んだ若者から、高機能なシェルをまとった30〜40代、親子など、多様な層のスノーボーダーたちが開会宣言を今か今かと心待ちにしていた。
 

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イベント開催コースの麓にあるカフェで行われた開会式の様子。ブランドの垣根を越えて、BURTONの中山悠也とSIMSの平田巧がイベントMCを担当した

 

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BURTON MYSTERY SERIESの全容。写真左側がバンクドスラローム、右側がパーク

 
開会式が終わると参加者たちはすぐにコースに飛び出し、まずはバンクドスラロームのコースインスペクションへ。実際に滑り雪質やバンクの形状などを確認するのだが、前日の夜から降り続いていた雪の影響もあり、スピードを出しづらいコンディションだった。タイムを自動計測できるシステムが導入されていたため、イベント開催中の好きなタイミングで最大2本滑走し、ベストタイムを競う方式を採用。参加者たちのペースでイベントを楽しむことができる新しい試みだ。
 

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弊誌の読者によるスノーボードコミュニティ「BACKSIDE CREW」の面々も参戦
photo: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)

 
冒頭で綴ったとおり、このイベントはみなで楽しみを共有する場として開催されている。バンクドスラロームのコースに初めて入る者から“踏み慣れている”参加者まで、コンディションに左右されることなく自己ベストを目指して試行錯誤している姿が印象的だった。また、なんと言ってもプロライダーが自分と同じコースを滑っている姿を間近に見れることで、コース攻略のヒントを得たという参加者も多かったのではないだろうか。このイベントでは彼らの滑りからインスピレーションを受け、同じコースを滑り、自らがイベントの一員となることができるのだ。
 

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ボトムターンでの踏み方が次のヒットの高さへ直結するハーフパイプ競技。そこで鍛えられた今井胡桃の流麗なパンピング

 

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ストリートからバックカントリーまでオールラウンドにこなす高橋龍正はバンクでもスタイリッシュに流していた

 
隣のコースで同時に開催されているパークセッションでも同じく、誰もが参加できる形で盛り上がりが続く。インの難易度は高くないもののスピード次第で遊び方を工夫できるジブアイテムが多く、時間ごとに決められたセクションでライダーたちにアピールすることで景品がもらえるミニコンテストが開催されていた。ハイクアップも可能だったため雪上を駆け上がって何度もトライしたり、リフトを利用して上部からハイスピードでアプローチしヒップを大きく飛んだりと、各々が思い思いのスタイル全開で楽しんでいた。
 

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バックカントリーが主戦場の中山はパーク上部からアプローチしメソッドエアを披露

 

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中山とともにMCを務めた平田のテールマニュアル。バスの天井部分に作られた巨大ボックスはインパクト抜群

 

 
150人を超える参加者が等しくイベントの一員となり、大規模な滑ろう会のような雰囲気が終始漂っていた本イベント。実は当日、前出のジョージもイベントに参加していた。仕掛け人でもある彼の目にこのイベントがどう映ったのか聞いてみると、「子供たちも、家族連れも、プロライダーたちも、みんなが参加しやすいイベントを作りたかったんだ。だからこのイベントに参加してくれているスノーボーダーがみんな、コミュニティの一員となってくれてうれしいよ」と語ってくれた。ジョージが言うとおり、既存の大会では大前提だった“観客”と“ライダー”という垣根はなくなり、このフィールドにいる全員が“スノーボーダー”として楽しんでいたイベントだったように思う。
 

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創始者の息子で、国籍が違っても、彼もひとりのスノーボーダー。一枚の板に跨がればどんな人とでも垣根なく交流できるという、スノーボードの素晴らしさが再確認できるイベントだった

 
自らがイベントを作り上げる一員として楽しめるグラスルーツ・スノーボードイベントは今シーズン、もう一度日本で開催される。今回は定員オーバーで参加できなかった人、この記事を読んで興味を持った方は、3月18日(土)、長野・エイブル白馬五竜に集合しよう。まだエントリー受付は開始していないようだが、準備が整い次第、BURTON JAPANのSNSで告知されるそう。
 
これから開催地を増やし続け、さらに多くのスノーボーダーに向けてウェルカムな雰囲気を醸成していくBURTON MYSTERY SERIES。先述したように性別や年齢、ライディングスタイルやスキルといった垣根をすべて取り払い、多くの人が愛してやまないスノーボードを世界中で楽しむ。スケールの大きい話に聞こえるかもしれないが、このイベントに参加すれば確実に、その一端を担うことができるのだ。
 

バンクドスラローム結果

 
スーパーグロム
 

TopSectionPodium

 
ボーイズ 
1位 サトウ コウタロウ
2位 オオツ アオイ
3位 ハラダ タクマ
 
ガールズ
1位 カトウ ユズキ
2位 オマタ リンナ
3位 キタガワ リリ
 
ヤングスター
 

MidSectionPodium

 
メンズ
1位 サワダ ヨウ
2位 サカタ メグル
3位 コバヤシ セイヨウ
 
ウィメンズ
1位 スギウラ ルカ
2位 ハタ レイナ
3位 フジト ミム
 
オープン
 

MidSectionPodium

 
メンズ
1位 シバタ リヒト
2位 シラカワ マフユ
3位 アイダ コウセイ
 
ウィメンズ
1位 オノ ユカリ
2位 ジェイミー
3位 ヨシダ ミカ
 
マスター
 

MidSectionPodium

 
メンズ
1位 スギウラ エイスケ
2位 ナガシマ ユウヤ
3位 ヨコクラ ヒトシ
 
ウィメンズ
1位 クルス リサ
2位 コイズミ ユウカ
3位 サイトウ メイ

photos: Akira Onozuka

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