FEATURE
【創刊10周年特別企画】ISSUE 4「スタイルこそすべて」山根俊樹インタビュー〈第4章〉自由だからこそ全力で滑る意義
2026.08.05
「FIGHT FOR LIBERTY」を掲げ、自らの生き方をスノーボードで表現してきた山根俊樹。彼にとって自由とは、与えられるものではなく、戦って勝ち取るものだった。だからこそ、どんな斜面でも妥協せず、最後まで全力で滑り続ける。
※以下、2017年に綴った言葉をそのまま掲載
EPISODE 4
自由だからこそ全力で滑る意義
ここまでに渡り俊樹のスノーボード人生を紐解いてきたわけだが、小学6年のときに訪れた広島・芸北国際で初めてスノーボードにまたがった瞬間から現在に至るまで、その根底にあるものはずっと変わらないのかもしれない。
「オレがやってるスノーボードは究極の遊びであり、自由そのものですね。STARILL FILMでやってたこととFFLでやってることは表現方法の違いはあるんですけど、根本的な部分では同じだと思います。やはり、あの時代があったからこその今だと思うから。基本的にFFLの目的は、縛られてるものからの“解放”なんです。スノーボードやスケートボード、サーフィンをやってるときって心の底から笑えるし、何も不安がないからこそ解放されてると思う。そういうときに自由だって感じるじゃないですか。でも、それを勝ち取るためには何かと戦わなきゃいけない。自由でいられることって簡単なようで難しいと思うんです。ラクな道じゃないけど、だからこそ歩むべき道なのかなって」
すぐに泣いてしまっていた内気な少年は、空手を通して強くなった。ただし、強くなることを目的に始めた空手だけに、相手を叩きのめさねばならないという縛りは、常につきまとっていたに違いない。こうして過ごしてきた小学校生活最後の年に雪山に立って解放された瞬間から、すべてが動き出したのだ。
「でもそれだけじゃなくて、やっぱりスノーボードが上手くなりたいっていうのが大前提にあるんです。その延長線上に何かを伝えたいっていう想いがあります。上手くなりたい気持ちのほうがはるかに強い。だから、表現方法も常に進化していくんだと思います。最初から観てくれている人にも、途中から観始めた人たちに対しても伝わるような発信をしていきたいですね」
プロスノーボーダーであろうが一般スノーボーダーであろうとも、それは関係ない。表現者であろうが競技者であろうとも、それも関係ない。すべてのスノーボーボーダーに共通する大切なこと。それは、スノーボードを全力で楽しみ、いつまでも上手くなりたいという気持ちを持ち続けることにほかならない。
「サーフィンやスケートボードをやるようになってから気づいたんですけど、スノーボードってヒザを伸ばしたりして油断してられる時間が多いじゃないですか? でも、サーフィンだったらテイクオフした瞬間から気を抜けないし、スケートだってボウルとかに入ってたら常に油断できない。でも、スノーボードの場合は両足が固定されてるから、そういう時間が多いと思うんです。だからこそ最後の最後まで、多少キツかったとしても、仮に脚がパンパンになってたとしても、頑張ってヒザを曲げ続けることって大事。そう考えてるからこそ最近は、滑ってても休んでる時間がなくなってきました。例えばパークを流してて、最後のセクションが終わってリフト乗り場まで滑って下りるじゃないですか。そのとき、何も考えないで単純にターンしたりとか、なんならターンもしないで直滑ったりしてる人が多いと思うんですけど、オレはこういうところを大事にしてるんです。この時間だって上手くなる可能性しかないわけですよ。何も考えなければただのバーンかもしれないけど、こういうところでもフリーライディングのひらめきが起こるかもしれないから。だから常に全力で滑ってます。少しでも妥協したら自分が弱っていくだけ。オレには休んでる時間なんてないんですよ(笑)」
自由とは勝ち取るものだと俊樹は言う。何かを課せられたとき、そこから逃げることで自由を獲得したと勘違いする人もいるのかもしれない。それはライディングでも同じということ。常に全力で滑ることで、そこにひらめく瞬間が訪れ、それがオリジナリティと化す。フリーライディングという言葉どおり、自由だからこそ全力で滑る大切さを俊樹が教えてくれた。
これからも彼はずっと自由を求めて戦い続ける。そして全力で滑り続けるのだ。
text: Daisuke Nogami(Editor in Chief)
CONTENTS
Tadashi Fuse
▶EPISODE 1 命と引き換えに教えられた生きる道
▶EPISODE 2 世界を認めさせた自己表現力
▶EPISODE 3 新たなるステージへ
▶EPISODE 4 スタイルを変えることなく絶対にあきらめない
Shuhei Sato
▶EPISODE 1 遊びながら競い合った少年時代
▶EPISODE 2 オリンピックという大舞台を目指す決意
▶EPISODE 3 プロ活動と引き換えに手に入れた滑走力
▶EPISODE 4 オリンピックはスノーボードの一部
Toshiki Yamane
▶EPISODE 1 鮮烈すぎる中学デビュー
▶EPISODE 2 華やかな舞台よりもリアルな現場を求めて
▶EPISODE 3 自由のために戦う生き方
▶EPISODE 4 自由だからこそ全力で滑る意義
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本記事は、2017年発行『BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE ISSUE 4「Style is everything──スタイルこそすべて──」』より抜粋掲載。創刊10周年特別企画では、本号の中核を成す布施忠、佐藤秀平、山根俊樹の3つのストーリーを全12回にわたり公開していく。スノーボードにおける“スタイル”とは何か。紙媒体ならではの写真表現や誌面デザインとともに、2017年当時の日本のスノーボードシーンの空気感も感じとってもらえれば幸いだ。





