COLUMN
ショーン・ホワイトがUS OPENに登場。スノーボード界への復帰を示唆か
2020.03.03
1982年から開催されている歴史あるコンテスト「BURTON US OPEN」は今季もジュニアジャム、スロープスタイル男子、スロープスタイル女子、ハーフパイプ男子、ハーフパイプ女子と5種目が行われ、日本人ライダーが6人も表彰台に上がるという記念すべき大会となった。弊サイトでも全種目のレポートを速報としてお届けしたので、そちらの記事も併せてご一読いただけたらと思う。
その最終日、現地時間の2月29日に男子ハーフパイプ・ファイナルが行われた。10名の決勝進出者がひとり3本のランを滑るのだが、その2本目。セミファイナルを10位通過していたダニー・デイビスが先頭の出走者だったのだが、彼が2本目のスタートを切ったかと思いきや、その後、数え切れないほど多くのスノーボーダーたちが続けざまにハーフパイプにドロップイン。そう、本大会の主宰であるBURTONの創設者、ジェイク・バートンが昨年11月に亡くなったため、彼を追悼するべく若手からレジェンドまでのスノーボーダーが一堂に会し、天国でも滑り続けてほしいというメッセージ “RIDE ON JAKE” のバナーを掲げながら、ハーフパイプを駆け抜けたわけだ。
そのなかには、なんとショーン・ホワイトもいた。超タイトな間隔で滑っている多くのライダーたちを見送ったショーンは、ブランクを感じさせないハイエアを連発。スノーボードに熱心な読者諸兄姉であれば承知のことだと思うが、ショーンは東京五輪のスケートボード種目での出場を目指し、スノーボード競技からの引退ではないものの距離を置くことを発表していた(記事はこちら)。
US OPENの会場である米コロラド州ベイルマウンテンリゾートでショーンが宙を舞った翌日。筆者は帰国の途についていたため機内で上空にいたのだが日本時間の3月2日12時頃、時事通信社が運営するニュースサイト・時事ドットコムにて「ショーン・ホワイト、東京五輪断念」というニュース記事が公開されたのだ。複数の米メディアが報じたことを受けて配信されたようだが、その記事によると「スケートボード挑戦の気持ちはなくなってきている。雪の競技を離れて取り組むことに違和感があった」とコメントしているという中身だった。
本人に確認したわけではないのであくまでも推論になってしまうが、こうしたタイミングも踏まえると、今シーズン前半から雪上復帰を果たしていた(記事はこちら)だけに、2022年の北京五輪に向けて再始動したという見方が有力なのではないか。2022年の冬季オリンピック開催時には35歳となるので、現時点の競技レベルを考えると現実的ではないが、そこはショーン。フィジカル面でも技術面でも合わせてくるのではと期待してしまうのは、きっと筆者だけではないはずだ。
そのライバルに当たる平野歩夢は、東京五輪出場を目指した最後の選考レースが始まろうとしている。彼らの再戦を東京で観ることはできなくなったが、その戦いの場は雪上がよく似合う。
text: Daisuke Nogami(Editor in Chief), photos: BURTON