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Haruna_Ruki

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負傷を乗り越えた松本が2位、冨田が3位。US OPEN史上初の日本人女子2名が表彰台に

2020.03.01

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1988年から始まったBURTON US OPENのハーフパイプ種目において、2018年に松本遥奈が3位となり日本人女子として初の表彰台を射止めた。その2年後となる今大会に松本は歩くのもままならない状態で挑み、見事な大逆転で2位に輝いた。そして、前回大会でファイナルに進出していた冨田せなの妹・るきが初出場ながら3位となり、日本人の女子ふたりが伝統の一戦で表彰台に上がるという偉業を成し遂げた。
米コロラド州ベイルマウンテンリゾートに設置された、通常のハーフパイプとは一線を画するモディファイド(改造)ハーフパイプが決戦の舞台。セミファイナルを勝ち抜いた6名のガールズライダーたちがひとり3本のランを行い、それらのベストポイントで争われた。改造ハーフパイプの中身についてはセミファイナルの記事を参照いただきたい。
ドラマは3本目に待っていた。セミファイナルを1位通過していた冨田は2本目を終えた時点で4位につけており、逆転を狙いドロップイン。前半のミニパイプではFSアーリーウープ・ウォールライド→BSアーリーウープ・メロンを決めると、メロングラブしながらスーパーパイプにドロップインし、ファーストヒットでFS900メロンを完璧にメイク。そこからBS540ミュート→FS720インディ→CAB720ミュートをクリーンに成功させて85ポイントを獲得。トップのツァイ・シュートン(中国)には届かなかったものの2位につけた。
 

RukiTomita

オーディエンスを眼下にFS720インディを繰り出した冨田るき

 

続く松本は、冒頭で綴ったように歩くのもままならない状態だったため、いつものエアの高さを出せずにいた。この時点で4位。攻めることは難しいのではないかと固唾を呑んで見守っていたのだが、ミニパイプではFSクレイル・テールタップ→FS180でプラットホームにアウトし、スーパーパイプにハーフキャブでドロップインすると、FS900メロン→BS540ミュートまでは1、2本目と同ルーティンだったが、ここで伝家の宝刀であるFS1080にトライして見事成功。その後はCAB720を決めて85.5ポイントを叩き出し、冨田のポイントを0.5ポイント上回り2位にランクアップした。
 

HarunaMatsumoto

安定感抜群のFS900メロンで華麗に舞った松本遥奈

 

ポイントを確認した直後、涙を流していた姿が強く印象に残った。その真相に迫るべく、大会を終えたばかりの松本を直撃することに。
「3本目は絶対に攻めたい、なにがなんでもFS1080をやりたいと思ってました。でも、カルガリーのワールドカップで左側のお尻をケガしちゃってて。皮膚がはがれちゃってたので、この大会までに傷口だけでも治したかったんですけど、セミファイナルのときにぶつけてまた悪化させちゃって……。さらに、こっちに来てから右側のお尻も坐骨あたりにアザができちゃったんです。去年のUS OPENのときは坐骨が折れた状態で大会に出てたので、これくらいの傷だったら頑張れば乗り越えられるんじゃないかと思って挑みました。FS900もできるかわからない感じだったので、FS1080は公式トレーニングで2回トライして立てなかったんですけど、空中で(回転方向へ)降り向いたときに着地がキレイに見えたんです。あ、立てる!って。今の身体で、ギリギリだったけど2位に入れたのはうれしかったですね。一昨年は3位だったから、ひとつでも順位を上げることができて満足です。8歳のときからスノーボードをやってきて、それしかしないで生きてきました。スノーボードが一番楽しくて、常にそのことばかり考えているような自分だけど、周囲の人たちに感動を与えられるようなことができている今がとてもうれしいですね」
しゃがむだけでも激痛が走るほど満身創痍で挑んだ今大会。スノーボーダーであれば容易に想像できるだろうが、踏ん張りが効かないわけだ。確かに、いつもの松本に比べるとエアの高さは十分とは言えなかった。しかし、そうした痛みを乗り越えて日本人初となる同大会での2位という結果は、多くの人々の心を動かしたに違いない。

 

Tomita_Matsumoto

松本の涙を拭う冨田。戦いを終えたオンナ同士の友情が美しい

 

松本に逆転を許してしまったが、初出場で3位という成績は素晴らしい結果だ。大会を終えた直後、冨田にも話を聞いた。
「遥奈ちゃんの滑りは(エアの)高さもあったし着地もクリーンだったから、“これは負けたな”と思いました。やっぱり強いなって。昨日の公開練習が調子よくて、1本目で今回のルーティンを決めることができたら、スーパーパイプの2ヒット目はBS900にトライしたかったんです。3位という結果はうれしい反面、やっぱり悔しい気持ちのほうが大きいですね。どの大会も楽しむ気持ちを大切にしているので、笑顔は常に意識しています(笑)。今後はさらに楽しみながら、バック・トゥ・バックで900を繰り出せるようにしたいですね。そして、誰からも敵わないって言ってもらえるような滑りを目指したいです」
冨田はまだ18歳。こうした力強いコメントから、彼女の将来性が窺い知れるだろう。さらなる飛躍に期待したい。
ファイナル進出を果たしていたもうひとりの日本人、1本目のランのポイントで2位につけていた小野は2本目のランの最終ヒットでFS900テールを繰り出した際、着地で負傷してしまい戦線離脱。3本目のランを迎えることができず4位に終わった。容態が気になるところだが、大事に至っていないことを願いたい。
前回大会の覇者、マディ・マストロ(アメリカ)は3本とも合わせることができずに5位。1本目に88.16ポイントと高ポイントをマークしたツァイが、そのまま逃げ切って優勝を飾った。

こうして、女子ハーフパイプは幕を下ろした。ファイナリスト6名のうち、日本人は3名、中国人が2名とアジア勢の強さが際立った今大会。そして、日本人が表彰台にふたり立つという史上初の快挙を達成した。ヤマトナデシコたちのこれからのさらなる活躍が楽しみでならない。
 
女子ハーフパイプ・ファイナル結果
1位 ツァイ・シュートン(中国)
2位 松本遥奈(日本)
3位 冨田るき(日本)
4位 小野光希(日本)
5位 マディ・マストロ(アメリカ)
6位 ウー・シャオトン(中国)

photos: BURTON

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