BACKSIDE (バックサイド)

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難関コースに最強メンツが揃ったUS OPENスロープで角野友基が圧勝。完全復活

2020.02.29

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超高級リゾートとして名高いアメリカ・コロラド州ベイルマウンテンリゾートを、ひとりの日本人が揺らした。
39回目を数える伝統の一戦、BURTON US OPENスロープスタイルで角野友基が優勝を飾ったのだ。しかも圧勝。世界最高峰の大会に用意された史上最高レベルの難コースを舞台に、最強ライダーたちが一堂に会したなかでの結果である。
セミファイナルを勝ち上がった10名のライダーたちがひとり3本のランを行い、ベストポイントで争われた。語弊を恐れずに言えば、1本目のランで勝負があったかのように映った。ベストポイントとしては2本目が採用され、1本目と同ルーティンになるがハーフCAB50-50・トゥ・ノーズスライド・プレッツェルオフ→スイッチBS270オン270オフ→BS1260メロン→CABダブルコーク900ミュート→FSボードスライド810メロンオフ→スイッチBSトリプルコーク1620ステイルフィッシュという、コースレイアウトを鑑みれば常軌を逸したルーティンを完璧に決めたのだ。安定感もさることながらスタイリッシュに全フィーチャーを攻略し、89.3ポイントを叩き出した。

3本目は得点の低い順からの出走になるので角野は最終出走となり戦況を見守るも、誰ひとりとしてこのポイントを塗り替えることはできなかった。まさに王者の風格漂う結果だ。2015年にバック・トゥ・バックでトリプルコーク1620を決めるという、いまだ誰も達成できていない超高難度ルーティンを成功させ優勝して以来、5年ぶり2回目の快挙となった。
 

YukiKadono

スイッチBSトリプルコーク1620という超高難度トリックにも関わらず、優雅に空中遊泳する角野友基

 
セミファイナルを1位で通過していた新星、17歳のダスティ・ヘンリクセン(アメリカ)は、なんとTシャツ姿でファイナルに登場。思うようにポイントを伸ばすことができずあとがなくなった3本目、2本目で失敗していたBSクワッドコーク1800ミュートをラストジャンプで決めると、場内はまるで優勝したかのような盛り上がりに。
しかし、角野のポイントには4.6ポイントも及ばなかった。こうした側面からも、角野のルーティンがいかにすごかったかを感じてもらえるのかもしれない。とは言え、初出場ながら2位というダスティの結果には拍手を贈りたい。
 

DustyHenriksen

トリック、スタイル、Tシャツ姿、すべてにおいて世界中に名を知らしめたダスティ・ヘンリクセン

 

3位には平昌五輪の同種目金メダリスト、レッド・ジェラード(アメリカ)が入った。ダスティにポイントを塗り替えられて3位と背水の陣で3本目のランに挑むも、自身のベストポイントを更新することはできなかった。
 

RedGerard

バックカントリーも高次元にこなすレッド・ジェラードの総合的な滑走スキルもあと一歩及ばず

 

そして、もうひとりの日本人でファイナルに駒を進めていた國武大晃は、ラストジャンプでCAB1620インディを決めて79.7ポイントを獲得。昨年大会の9位を大きく上回る5位という好成績を収めた。
 

HiroakiKunitake

2大会連続でファイナルに進出して爪痕を残した國武大晃

 
興奮冷めやらぬ角野を直撃することに。先述したように2015年の同大会を制してからは、翌年のビッグエアで2度優勝はしているものの、それ以降は表彰台の中央から遠ざかっていた。さらに言えば、スロープスタイルでは表彰台に乗ることができておらず。この5年間は角野にとって苦しかったに違いない。
 

YukiKadono_VictoriousToss

圧倒的な強さを見せつけライバルたちから胴上げで祝福されるの図。5年前もそうだったように

 
「この5年間は、今思い返してみればすごくいい経験になったと思います。調子のいいときにケガをしてしまったり、メンタル的にどん底に突き落とされたこともありましたが、それらの経験を通じて自分がどうスノーボードと向き合うべきかを真剣に考えました。その集大成として、この結果に結びついたんじゃないかなと感じています。2015年の頃は“やらなあかん!”って気持ちが強すぎて、勢いでやってた部分もありました。言ってしまえば、それは自分の実力ではないんですよね。でも、今日の滑りを見てもらえればわかると思いますが、1、2本目ともにしっかり決めることができた。この5年間でオレが培ってきたライディングスキルとメンタルが上手くハマった大会やったんじゃないかなと思います。やっぱりスノーボードは最高ですね。オレはスノーボードができていてホンマに幸せ。これを読んでくれているみなさんも、スノーボードができて楽しいっていう気持ちを大切にして、精一杯ライディングに明け暮れてほしいと思います」
スロープスタイルの会場からプレスルームに戻るまで、本記事を書くために多くの外国人のオーディエンスを掻き分けながら急いでいたのだが、日本人であることが誇らしく思えた。感動をありがとう。そして、完全復活を果たした角野がこれから生み出していく新たなるストーリーを、しかと見届けたい。
 
男子スロープスタイル・ファイナル結果
1位 角野友基(日本)
2位 ダスティ・ヘンリクセン(アメリカ)
3位 レッド・ジェラード(アメリカ)
4位 ダーシー・シャープ(カナダ)
5位 國武大晃(日本)
6位 トルゲイル・バーグレム(ノルウェー)
7位 ステール・サンドベック(ノルウェー)
8位 スヴェン・ソーグレン(スウェーデン)
9位 ジャッド・ヘンクス(アメリカ)
10位 セッベ・デ・バック(ベルギー)

photos: Junglemasa(Top Image), BURTON

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