FEATURE
【創刊10周年特別企画】ISSUE 3「スノーボードと仲間と絆」岡本圭司×角野友基 〈第4章〉“親子のように強い絆”
2026.07.10
岡本圭司がいたから、角野友基は自分の滑りを信じることができた。
そして角野友基という存在が、岡本圭司をもう一度、前へ進ませた。
※以下、2017年に綴った言葉をそのまま掲載
EPISODE 4
親子のように強い絆
そして現在──圭司の脚はいまだ自由が利かないわけだが、これまでの仕事に加え、スノーボードライフ向上をサポートするゲレンデアプリの開発や競技の解説など、ケガをする以前よりも精力的な活動を続けている。かたや友基は、シーズン前のトレーニング中に負傷したケガの影響により本調子ではないものの、完全復活に向けてライディングに明け暮れる日々を過ごしている。
このインタビューは、2017年1月にX GAMESの開催地である、アメリカ・コロラド州アスペンで行ったものである。招待ライダーの友基はもちろん、圭司も訪れていた。
「さっきも話したかもしれませんが、アイツは1年でできるようになったんですけど、オレはバックサイド1080をマスターするのに3年かかったんです。これはだいぶ伸びが止まってるなって感じたときがあって、そのときに大会は諦めてフィルミングのほうで表現したいと思うようになったんですけど、3年ぶりくらいに出ることになった大会がTOYOTA BIG AIRで、そのときにバックサイド1080をやったんですよ。3年もかけて覚えた技やったから、それしかなかった。本戦まで行くことができて結果は10位やったんですけど、ものすごい嬉しくて。3年間かけてやってきた甲斐があったなって。そのとき友基も出てて、アイツはすでにトリプルコークをやってました。オレにとってめちゃくちゃ思い出に残ってる大会なんですけど、オレが出られるのってTOYOTA BIG AIRとかX-TRAIL JAMみたいなオープン系の大会だけじゃないですか。X GAMESとかAIR+STYLEって選ばれたヤツしか出られない大会やから、みんな出たいと思ってるけど誰も呼ばれない。それで何回も思ってたことがあるんです。オレも、もっと小さい頃からスノーボードをやってれば、もう少し上にいけたんじゃないかって(笑)。そういう想いがあったから、絶対来られなかった場所に友基が連れてきてくれたことが、すごい嬉しかったんですよね。オレがどうやっても出られなかった大会に友基は普通に出てて、そこにオレをどういう形であれ連れてきてくれて、こうやって一緒に戦ってるわけじゃないですか。オレは“頑張れー”って言ってるだけなんですけど(笑)。ついに、ここに来れたんやって」
アスペン・バターミルクの大会会場に設置されたそびえ立つようなランディングバーンを見上げながら、筆者は圭司と一緒にいた。完治していない状態ながら巨大キッカーと対峙する友基を見守っている圭司、その圭司の前で不安をかき消すようにジャンプを繰り返す友基。公式練習中も含め、ランディングすると友基は必ずと言っていいほど圭司のもとへ駆け寄っていた。
そういう端々で、師弟愛、兄弟愛……いや、親子愛とも言えるような深い絆を感じることができた。
「悩んだりしたときは、圭司くんに言われたことを思い出すとホッとするんです。“オレはオマエがオリンピックに出ようが、大会で成績を出そうが、ケガをしようが……何があってもオマエの味方やから。だから、自分のやりたいスノーボードを楽しんでやればいい”って」
この友基の言葉にすべてが集約されているのかもしれない。圭司がいたからこそ、友基は世界のトップにまで駆け上がることができた。友基がいたからこそ、圭司は人生のどん底から這い上がることができた。
「兄であり、年の近いオヤジみたいな感じですね」
「自分のために滑ってほしいとか、オレのために勝ってほしいとか、そういうのはないです。弟子っていう感覚もないですね。オレがトップでやってるときについてきてから、ホンマにずっと一緒にやってきたから。友達みたいでもあるし、弟みたいでもあるし、少し戦友みたいなところもあるし。ただ、人としてちゃんとしてほしいですね。みんなから好かれてほしいです。でも、アイツが調子に乗ってるのはオレのせいですけど(笑)」
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
CONTENTS
▶はじめに
STONP 世界に挑んだ男たちの絆
▶EPISODE 1 STONPが変えた男の人生
▶EPISODE 2 “STONP OR DIE”が育んだ絆
▶EPISODE 3 世界一への道のりを支えた仲間の存在
▶EPISODE 4 仲間とともに生きる道
Keiji Okamoto × Yuki Kadono 時空と世代を越えたふたりの絆
▶EPISODE 1 憧れのお兄ちゃんからライバルに
▶EPISODE 2 ふたりの想いが起こした奇跡
▶EPISODE 3 絶望から救ったアイツの存在
▶EPISODE 4 親子のように強い絆
Ayumu Hirano × Taku Hiraoka 滑りで夢を語り合うメダリストたちの絆
▷EPISODE 1 同じ夢を目指して交わった人生
▷EPISODE 2 メダリスト誕生秘話
▷EPISODE 3 認め合いながらしのぎを削る葛藤
▷EPISODE 4 逆境から羽ばたく戦友同士の絆
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本記事は、2017年発行『BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE ISSUE 3「SNOWBOARDING, FRIENDS, AND THE BOND ──スノーボードと仲間と絆──」』より抜粋掲載。創刊10周年特別企画では、本号の中核を成す3つのストーリーを全14回にわたり公開していく。紙媒体ならではの写真表現や誌面デザインとともに、2017年当時の日本のスノーボードシーンの空気感も感じとってもらえれば幸いだ。

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