FEATURE
アイツがいるから、滑りがもっと面白くなる。【創刊10周年特別企画】ISSUE 3「スノーボードと仲間と絆」
2026.06.29
BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINEは、創刊10周年特別企画としてバックナンバーをオンラインに初公開している。
本日からお届けするのは、2017年春に発行したISSUE 3「SNOWBOARDING, FRIENDS, AND THE BOND ──スノーボードと仲間と絆──」だ。
この号で描いたのは、プロスノーボーダーたちが育んできた絆の物語である。國母和宏率いるSTONP。岡本圭司と角野友基。平野歩夢と平岡卓。いずれも日本のスノーボードシーンを語るうえで欠かすことのできない存在であり、その滑りや生き様は、多くのスノーボーダーに刺激を与えてきた。
だが、この一冊を作ったときに考えていたのは、彼らの物語をただ遠くから眺めてもらうことではなかった。映像を残すために旅を続けるクルー、世界の舞台で戦うライダーたち、オリンピックという大きな夢を共有してきたメダリストたち。そこだけを見れば、自分とは別世界の出来事のように感じるかもしれない。
それでも、彼らの物語の根底にあるものは、決して特別ではない。
一緒に滑りたい仲間がいる。
負けたくない相手がいる。
魅せたい誰かがいる。
同じ時間を過ごし、同じ雪の上で笑い、悔しがり、そして刺激を受ける。
もっと上手くなりたいと思う。
もう一本行こうと思う。
今までトライしなかったラインに入ってみたくなる。
いつものゲレンデが誰かと一緒に滑ることで違って見える。
スノーボードは、自由な遊びであり、個人の表現である。
けれど、その自由は、ひとりだけで育まれるものではない。
誰かの滑りに心を動かされ、誰かの存在に背中を押され、誰かと同じ時間を共有することで、自分のスノーボードは少しずつ豊かになっていく。プロであっても、アマチュアであっても、その構造はきっと変わらない。
ISSUE 3で描きたかったのは、まさにそこだった。
彼らのストーリーを読むことで、読者自身のスノーボードライフを少しでも高めてほしい。これまで一緒に滑ってきた誰かの顔を思い浮かべてほしい。そして次に雪の上に立つとき、その時間を少しだけ特別なものとして感じてほしい。
2017年春にこの号を作ったとき、そんなことを考えていた。あれから9年あまりが経ち、日本のスノーボードを取り巻く景色は大きく変わった。日本人ライダーは世界の頂点に立ち、日本の雪とスノーボードは、世界から称賛される存在になった。
それでも、滑りの奥にあるものは変わっていない。
誰と滑るのか。
誰に刺激を受けるのか。
誰と同じ時間を共有するのか。
その問いは、今もすべてのスノーボーダーのそばにある。
創刊10周年企画 ISSUE 3では、本号の中核を成す3つのストーリーを全14回にわたって公開していく。まずは、2017年春に綴ったINTRODUCTIONを再掲したい。
創刊10周年特別企画 ISSUE 3公開予定
INTRODUCTION|はじめに
STONP|世界に挑んだ男たちの絆(全4回)
岡本圭司 × 角野友基|時空と世代を越えたふたりの絆(全4回)
平野歩夢 × 平岡卓|滑りで夢を語り合うメダリストたちの絆(全4回)
COLUMN|まとめコラム
※以下、2017年に綴った言葉をそのまま掲載
はじめに
スノーボードにかぎった話ではないが、
あなたには多かれ少なかれ仲間がいるだろう。
職場の、学生時代の、学校の……もちろんスノーボードの。
よほどできた人間でないかぎりは基本的に、
人はひとりでは生きていけないと考える。
少なくとも、友達や仲間と共存しながら生きている。
それは仕事にせよ、学校にせよ、スノーボードもそうだ。
ただし、同じ目的を志して協働する仲間とは異なり、
滑り方や滑る場所さえ問わない自由を重んじる
フリースタイルスノーボーディングの世界においては、
その仲間との関係性も、より深いものになるのではないか。
「アイツと一緒に滑りたい」
「アイツには負けたくない」
「アイツらの前で魅せたい」
「アイツがいたから面白い」
「アイツの滑りは格好いい」
スノーボードは遊びであり、表現の手段である。
プロ・アマを問わず個人競技でもありながら、
撮影やセッションとなればチームスポーツとも言えるだろう。
遊びだろうが、表現であろうが、競技であろうとも、
それぞれのライディングには己のスタイルが滲み出るもの。
“口は災いのもと”とも言うように、言葉ではなんとでも言える。
しかし、その滑りは等身大であるからこそ、
一緒に楽しめる仲間の存在に価値が見出せるのである。
自らを表現するライディングを通して、
言葉以外でも滑りで語り合うことができるからだ。
ボードを脱いだ状態での付き合いはもちろんのこと、
板に乗りながらコミュニケーションを図ってきた男たちのドラマ。
國母和宏率いるSTONPが育んだ、世界に挑んだ男たちの絆。
岡本圭司と角野友基が育んだ、時空と世代を越えたふたりの絆。
平野歩夢と平岡卓が育んだ、滑りで夢を語り合うメダリストたちの絆。
彼らが育んできた、“スノーボードと仲間と絆”を読み解いてほしい。
きっと、スノーボーダーとして生きていることを誇りに思えるはずだから。
BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE
編集長 野上大介
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本記事は、2017年発行『BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE ISSUE 3「SNOWBOARDING, FRIENDS, AND THE BOND ──スノーボードと仲間と絆──」』より抜粋掲載。創刊10周年特別企画では、本号の中核を成す3つのストーリーを全14回にわたり公開していく。紙媒体ならではの写真表現や誌面デザインとともに、2017年当時の日本のスノーボードシーンの空気感も感じとってもらえれば幸いだ。
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