INTERVIEW
“とんでもない”ステージを目指す17歳。大塚健の強さとANONを知る
2018.12.11
上達の秘訣
上達の秘訣
タケル・オオツカの名前が世界中に轟いたのは、今年5月のことだった。ノルウェー・オスロにて行われた世界最高峰のコンテスト、X GAMESのビッグエアで表彰台の頂点を射止めたからだ。
さらに、その快進撃は続く。今シーズンに入ってからもニュージーランド・カードローナでのFISワールドカップのビッグエアで準優勝、イタリア・モデナでのFISワールドカップ・ビッグエアで優勝、そして、FISワールドカップに位置づけられたビッグエア頂上決戦、中国・北京のAIR+STYLEで準優勝と目覚ましい活躍を続けているのだ。
そんな彼は高難度トリックの練習に励むかたわら、ストレートエアや低回転スピンなどの基礎練習を大切にしているということについては、以前に掲載したインタビュー記事で触れたとおり。まさに、イチロー選手が実践してきたように、小さいことを積み重ねた結果である。
「新しい技を覚えても、基礎ができていないとすぐにできなくなっちゃうし、そうなるのはイヤだから何度も基礎練習をするんです。ジブだったら大会によってセクションが異なるので、フロントサイド・ボードスライドのようなシンプルなトリックでレールに乗る基礎を作っていく……みたいな感じで。ジャンプにしても、毎日やっていることが積み重なって次のステージに進めると思って練習しています。上達の秘訣ですか? やらなきゃいけないことを明確にすること、ですかね。できる・できないを自分で決めつけないで練習すれば、誰でも上手くなれると思ってますから」
ただ、雪を必要とするスノーボードにおいて、オンスノーで練習に打ち込める時間は限られている。「あのトリックをシーズン中に覚えたかったのに……」なんて経験はないだろうか。日進月歩でトリックが進化している現在のコンテストシーンにおいて、世界のトップライダーたちとしのぎを削る大塚には、無駄にしていい時間なんて一秒たりとも存在しない。
「上達するうえではケガしないことも重要な要素だと思います。だって、ケガをしたら周りの流れに置いていかれるし、何より雪があるのに滑れないなんてモッタイナイですからね。だから、ケガを防ぐためにも、新しいトリックにチャレンジするときにはプロテクトギアを必ず装着するようにしてます。以前、スイスのサースフェーに行った初日にスイッチでビッグキッカーに突っ込んだんです。あまりにもキックがガタガタだったので、リップにたどり着く前にヤラれて……デコ落ちしました。あのときにヘルメットをしてなかったら、きっとヘリで運ばれてたかもしれません」
大塚は幼少の頃からプロテクトギアを装着してきた。当初は半強制的だったけれど、その必要性を今では身を持って理解している。
「スノーボードを始めた頃から滑るときはヘルメットをかぶってプロテクターを着けるようにって父親に言われてきました。当時は小学生だったから素直に言われたことを聞いてましたね。でも一度、プロテクターをしていないときに手首を折ったことがあって……。めっちゃめちゃ怒られました(苦笑)。それ以降もヘルメットやプロテクターの装着に関して、父親がけっこう厳しく言い続けてくれて本当によかったと今は思ってます。だって、小さい頃に頭を打って痛い思いをしていたらトラウマになってたと思うし」
常勝ライダーを支えるANON
常勝ライダーを支えるANON
ここ数シーズン、大塚は大きなケガをすることもなく、そして恐怖心に潰されることなく激しいトリックに挑み、着実にスキルを伸ばしてきた。今年の4月には長野・栂池高原で行われた「HAMMER BANGER SESSION」にてキャブ・トリプルコーク1440に初トライ、そして初メイク。さらに9月のニュージーランドでのFISワールドカップ開催中にキャブ・トリプルコーク1620をマスターするなど、世界の強豪たちと争うべく新たな武器を次々と手に入れている。
「セッションみたいな感じで仲間と楽しむときはヘルメットをしないこともありますが、練習としてジャンプに取り組むときは必ずヘルメットをかぶりますね。そのほうが安心感があるし、勢いよく飛べるんです。ヘルメットをかぶること自体、カッコ悪いことだなんて思ったこともないし、する・しないで重さが気になることもありません」
そんな彼が愛用しているアイテムは?
「ANONのHELO 2.0っていうBoa®が搭載されたモデルです。オンスノーだとフードウォーマーをして、その上にビーニーをかぶって、イヤーパッドを取り外したヘルメットをしてます。他モデルよりも持ったら少し重いらしいけど、かぶったらまったく重さを感じない点が気に入ってますね。それに同じビーニーを毎回かぶってるわけじゃないから、Boa®があることでいつでもベストな状態にフィット感を調整できて、激しく動いてもズレないところもお気に入り。あと、基本的にはリフトに乗るたびにヘルメットは外すから、毎回緩めて滑る前に着けるっていうのもBoa®のおかげで面倒くさくないんです。ゴーグルもANONのM4を使用していて、フレームがヘルメットにぶつかるってこともないし相性バッチリです」
巨大なキッカーを眼下に見据えて、ヘルメットをかぶりBoa®ダイヤルを回して頭にフィットさせる。この瞬間に大塚は自然とスイッチが入るのかもしれない。
そんな彼は12月中旬に開催されるDEW TOURのチームバトルに、BURTONクルーの一員として、レッド・ジェラード、ベン・ファガーソンとともに参戦するそうだ。
「DEW TOURはどんな雰囲気かわからないし、チーム戦も初めてだから行ってみないとわかりません。ただ、一緒に出るメンバーはすごいメンツですし、自分の名前を知ってもらうチャンスに変わりはないので頑張ってきます」
冒頭で「上達の秘訣は今やるべき課題を明確にすること」と語っていたが、今、彼がやるべきこととして取り組んでいる練習内容について最後に聞いた。
「X GAMESのアスペン大会やUS OPENのスロープスタイルで勝つために、バックサイド・トリプルコーク1620を確実に立てるようになりたいですね。ラストヒットではなく、つなぎのトリックとして。そこから、キャブ・トリプルコーク1440か1620につなげたいなって思ってます。最近はシティイベントが多かったから、(ジャンプ台が小さいため)なかなか高回転スピンを繰り出せなかったけど、これから本格的なシーズンに入るので、自分のなかでもう一段階ギアを上げていきたい。最近はQUESTに新しくMEGA JUMPっていう巨大キッカーができたので、そこで練習しています」
常に上を目指して、自分の限界を引き上げ続けている大塚。今シーズン、何か“とんでもない”ことをやり遂げそうな17歳の少年から目を離すことができない。
text: Haruaki Kanazawa photos: BURTON
大塚 健(おおつか・たける)
生年月日: 2001年4月2日
出身地: 神奈川県厚木市
スポンサー: BURTON、ムラサキスポーツ、RED BULL、ANON、QUEST
- ANON
- HELO 2.0 HELMET
- ▷サイズ: S~XL
- ▷カラー: BLACK / GREEN
- ▷価格: 19,440円
チームライダーが絶大なる信頼を寄せるモデル。注入成型シェル構造の本モデルは、流れるようなフォルムと快適な装着感が特長である。Boa®180°インシェルフィットシステムは、ダイヤルを回すだけで簡単かつ素早い微調整を可能に。また、Fidlock®スナップのヘルメットバックルは、グローブを着けたまま、しかも片手でバックルの着脱ができる優れもの。最高レベルの保温性と吸汗性を提供するエクスペディションフリースのライナーとイヤーパッドを採用している。
- ANON
- M4 GOGGLE ー CYLINDRICAL LENS
- ▷フレームカラー: BLACK
- ▷レンズカラー: SONAR GREEN BY ZEISS
- ▷スペアレンズカラー: SONAR BLUE
- ▷付属: MFI FACEMASK
- ▷価格: 37,800円
究極のクイックレンズ交換テクノロジー、Magna-Tech®を搭載。レンズには、スノースポーツに特化してANONとZEISSが共同開発したSONARレンズを採用、どんな天候でもクリアな視界を提供する。また、独自に開発したMFI®(マグネット式一体型)テクノロジーは、4つのマグネットポイントを有し、ゴーグルとフェイスマスクのシームレスな連結を実現。円柱レンズとトーリックレンズの双方を装着できるフレームなので、別売りレンズを買い足すことで視界を選択することが可能だ。
- ANON
- ブランドサイト: https://www.burton.com/jp/ja/c/anon