すべての人々をサポートする「anonymous（アノニマス: 匿名）」なブランド

2001年当時、ゴーグル市場は二極化が激しかった。面白みのない淡白なもの、もしくは、現実味のない未来的なものばかり。Burton（バートン）創始者のジェイク・バートンは、ゴーグル界に新しい風を吹かせるべく、Anon（アノン）をローンチしたのだ。ユニークなストラップやレザーでラッピングしたフレームなど、スタイル・カラー・グラフィックにフォーカスしたゴーグルブランドを目指すところから始まった。
 
スノーボードブランドが手掛けるゴーグルブランドではあったものの、100％スノーボーダーに向けた製品を作るのではなく、すべての人の視界をサポートすることを目的とした「anonymous（アノニマス: 匿名）」なブランドとしてスタート。今もなお、そのコンセプトが変わることはない。
 
現在進行形でもっとも注力していることは、ユーザーがコンディションに左右されることなく、その瞬間に最大限集中できるテクノロジーを市場に提供すること。そうして生み出されたテクノロジーの中でも、特筆すべきはMAGNA-TECHだ。この画期的なシステムは、レンズ交換の煩わしさを解消するべく誕生した。レンズの保持力や視界を犠牲にすることなく、そのプロセスを迅速に行うために研究が重ねられ、フレームとレンズがマグネットで接続されるという革命を起こしたのだ。異なる様々なバージョンを試す過程において、防曇性を損なわないための磁石の位置や方向を模索しながら、レンズ交換のプロセスを改善し、さらに、簡素化させてMAGNA-TECHが完成。雪上での体験を飛躍的に向上させた。
 
さらに、PERCEIVEレンズテクノロジーは誇り高き発明である。数年かけて、600種類以上のレンズの色合いを過酷な条件下でテストし、その結果、光量を調整できる複数の減衰フィルターを使用することで高いコントラスを実現し、リアルな色彩を認識できるレンズが誕生。水や油を弾く保護コーティングが施されており、一日中レンズを清潔でクリアに保つことができる。
 
また、2011年から発売しているヘルメットにもゴーグルと同じ哲学がある。スノーヘルメット用としてはAnonにしかないWaveCelの新技術を導入。MAGNA-TECHがゴーグルに革命を起こしたように、WaveCellはスノーヘルメット界の常識を変えることになるだろう。
 
ブランド創立から20年以上が経過したAnonの進化は、今なお止まらない。
 
text: Daisuke Nogami（Chief Editor）