FEATURE
スノーボーダーのオフトレにマウンテンバイク最強説をSPECIALIZEDで検証③一般スノーボーダー編
2022.09.05
そのうえで、本企画の命題である「スノーボーダーのオフトレにマウンテンバイクは最強なのか?」という説を最終検証するため、一般スノーボーダーのためのコミュニティ「BACKSIDE CREW」限定のセッションイベント「BACKSIDE SESSION」の特別編を開催することにした。SPECIALIZED(スペシャライズド)による協力のもと、E-マウンテンバイク(電動アシストマウンテンバイク)を利用してセッションを行うことに。8名のCREWとともに、神奈川・小田原のフォレストバイクに集結した。
雪上との気温差およそ40℃のセッション
雪上との気温差およそ40℃のセッション
開催日の7月30日は、最高気温36℃という猛暑日だった。SPECIALIZEDのスタッフが早朝から準備を進めてくれており、僕らスタッフもCREWの集合時間より1時間ほど前に到着したのだが、すでにFRESHFISH(有料会員)のメンバー4人がいるではないか。気持ちが高ぶってなのか、オッサンだから早起きなのか(失礼)はともかくとして、7月上旬に行った「BACKSIDE SESSION #7」のカムイみさか(近日公開予定)以来の再会を喜んだ。
すると、もうひとりのFRESHFISHメンバーである片山渉さんが到着。詳細は長くなってしまうので割愛するが、先日、山梨・カムイみさかの屋内ハーフパイプで息子の來夢も含め、ベン・ファーガソンとダニー・デイビス、平野海祝というメンツで撮影を行っていたようで、彼らに貸していたマイカーをピックしてから小田原入り。車を借りたお礼として、ダニーが実際に使用していた22-23モデルのDEEP THINKERなど、BURTONチームからの置き土産が車内にあったそうだ。
こうしたアツい話で盛り上がっているうちに、STALEFISH(無料会員)の3人も到着。気象庁のホームページを調べてみると、この日は午前9時の時点で30℃超もあったんだとか。いつもはマイナスの世界で顔を合わせているわけだから、この日の最高気温で比較すると40℃近くの気温差! 真夏の日差しが照りつける中、全員が合流した。
E-マウンテンバイクとヘルメットをお借りし、セッション終了後にプレゼントとしていただくことになるウォーターボトルを手にすると、まずはインストラクターによる講習から始まる。初心者だけでなくプロレベルであっても、この講習を受けなければフォレストバイクで走ることは許されないのだ。
まずは、平地にある講習専用の練習場へ。狙ったポイントで止まるためのブレーキングを学び、次に重心移動を覚えるために丸太を乗り越える動きに挑戦。シンプルな内容だが、細かい部分までインストラクターが懇切丁寧に教えてくれた。これらを体験することにより、ライディングに必要な基本的な動きを理解することができるのだ。
山の斜面を利用するグラビティスポーツの共通項
山の斜面を利用するグラビティスポーツの共通項
8人全員初心者だったが、みな筋がいいというお褒めの言葉をちょうだいした。そこで、初級者から中級者までが楽しめる「浦島トレイル」のトレイルヘッド(コースの入り口)を目指すことに。スノーボードでゲレンデを滑るときはリフトに乗るわけだが、マウンテンバイクの場合は漕いで上らなければならない。ここでCREW一同、感動を覚える。
E-マウンテンバイクの電動アシストがすごすぎるのなんのって。誇大表現ではなく、力を入れなくてもグイグイ登っていくのだ。私事で恐縮だが、10年前にスノーボードで左膝を粉砕骨折してしまったため、いまだに脚力が弱い。そんな僕でも、いくらでもラクラク登れてしまう。インストラクターは通常のマウンテンバイクだったため、初級レベルの僕たちのほうが圧倒的に速いという、スノーボードでは絶対に味わえない優越感も得られた(笑)
浦島トレイルは緩斜面を左右に曲がりながら走るコースで、専門用語ではフロートレイルと呼ばれるそうだ。フロートレイルとは、3D状にうねるように続くコースのこと。緩やかなコースなので、1本目から滑らかに走ることができた。この時点で確信。白馬岩岳で乗ったときとはまったく違う。そう、講習会で重心位置についてしっかり教わっていたからだ。
マウンテンバイクを所有していた時期はあるものの、街乗りしかしたことがなかった僕にとって、後方に重心を移動させるという発想そのものがなかった。状況に応じてお尻を後方へ引くことによって、前方に荷重しすぎないようにするのだ。その乗り方を知らなかったため、初めて乗った白馬岩岳では加速しながらコース幅が狭くなった恐怖心で、全力で前輪をブレーキング(パニックブレーキ)してしまいジャックナイフ状態でコースアウト。スノーボードでは前足に4割、後ろ足に6割ほど荷重する重心位置が目安と言われるが、同じように考えることで一気に世界が広がったように感じた。
実際に乗っていると視界も広がったようで、舗装された路面とは異なり、木の根っこなど凹凸が激しいコースの状況がよく見えるようになってきた。すると、臨機応変に重心移動もできるではないか。数本走っているうちに、「あれ、マウンテンバイク面白くね?」と心の中でつぶやいていた。
さらに、プロライダーの板垣奏男さんが同行していたことも大きかった。レベルは雲泥の差ながら勝手に後ろをつけさせてもらい、できもしないラインどりを参考にさせてもらうことでレベルアップできたような気がする。スノーボードでもそうだろう。上手い人についていくことで、上達スピードが加速する。セッションの醍醐味は、スノーボードもマウンテンバイクも何ら変わらない。
乗り物の垣根を越えたフリーライディングセッション
乗り物の垣根を越えたフリーライディングセッション
そして、2年前に新設された人気コース「忍者トレイル」で走ろうということになった。少し離れた場所に位置するのだが、電動アシストのおかげで上り坂も快適に移動。このコースもフロートレイル型のパークとなっており、浦島トレイルよりも勾配があり、バーム(マウンテンバイク界ではバンクのことこう呼ぶ)が連続しているポイントや斜度変化が豊富なので、スノーボードでいうところの地形遊びが楽しめるコースに近い感覚だ。
バームが連続するポイントのみを周回できる抜け道(?)があり、そこをグルグル回りながらセッションが始まった。例えるなら、専用のリフトが架かっているパークをひたすら反復で滑るイメージが近いだろう。抜け道と表現した道はコース上部に戻る上り坂であり、整備されていないので太めの木の根っこが張り出しているなど超絶アグレッシブ。初級レベルの僕からすれば、通常のマウンテンバイクでは絶対に上れないと容易に想像できる斜面を攻略できるだけに、ここでもE-マウンテンバイクの魅力や面白さを強く感じることができた。
語弊を恐れずに言えば、まるでパークキッズのようにノンストップで駆け抜けていたCREWたちの姿が印象的だった。そのポイントでのセッションの模様とともに、彼らの言葉を紹介していきたい。
STALEFISHの高橋学さん(画像スライダー1枚目)、前出の渉さん(2枚目)とさおりさん(3枚目)、弊メディアスタッフ・中川将(4枚目)も全開で楽しんでいた。
一般スノーボーダーの目線から見ても、スノーボードとマウンテンバイクとの親和性がいかに高いか、おわかりいただけるのではないだろうか。それだけでなく、セッションしている空気感もまったく同じだ。お互いの走りを見て刺激を受け合い、いい走りを魅せたら「Yeah!」とハイファイブを交わす。
何リットル飲んだかわからないくらい大量に水分を補給し、汗だくになりながら、少しずつではあるものの、走るたびに上達していくあの感覚。スノーボードを始めた頃と同じように、夢中でバイクを走らせていた。
斜面に雪がつく前に、またE-マウンテンバイクで走りに行きたい。スノーボーダーのオフトレとしてもそうだが、スノーボーダーのライフスタイルにマウンテンバイク最強説は、間違いなく立証された。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Holy
Special Thanks: Forest Bike
SPECIALIZED × BACKSIDE プレゼント企画
アンケートに答えて最新マウンテンバイクをゲットせよ!
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これまで3回に渡ってお届けしてきた連載企画「スノーボーダーのオフトレにマウンテンバイク最強説をSPECIALIZEDで検証」で見えてきたように、スノーボードとマウンテンバイクの親和性は高そうだ。ここからさらに深堀りするべく、弊ウェブマガジンをご愛読いただいているリアルスノーボーダーたちの「スポーツバイク」に関する実情を把握したいため、アンケートを用意。ご回答いただいた方の中から抽選で1名様に、SPECIALIZEDのマウンテンバイク「STUMPJUMPER ALLOY」をプレゼント!