FEATURE
多くのプロショップが太鼓判を捺すRIDEブーツの実力とは。見た目はクールでエコなSHOEBURT FUSE
2024.12.19
足が痛くなると楽しむどころではなくなってしまう。また、カカトが浮いてしまったり、ブーツが硬すぎて足首が自由に使えないと、思いどおりにボードが操れずに楽しくなくなるだろう。さらに、クッション性やサポート性が乏しいと、ジャンプの着地などで足を痛めてしまうかもしれない。
さて、ここ数年、全国各地のボードショップのオーナーやスタッフの方々とブーツの話をしていると、必ずと言っていいほど名前の挙がるブランドがある。RIDE SNOWBOARDS(ライド スノーボード)だ。実際にRIDEのブーツを使用し始めたというショップの方も増えている。そんなRIDEのブーツラインナップのなかで、もっともフリースタイルな滑りにフィットするハイエンドモデルがFUSEだ。そのFUSEをベースにした数量超限定のレイトモデルが、SHOEBURT FUSEである。
RIDEのブーツが人気を集めている理由
RIDEのブーツが人気を集めている理由
近年、なぜ多くのボードショップからRIDEのブーツが支持されるようになったのか。凄腕のエンジニアが開発チームに加入したから? 革新的な新システムを搭載したから? 答えは、どちらもノーである。以前から、RIDEのブーツの構造やシステムはハイクオリティだ。様々なニーズにアジャストしたニューモデルが登場し、ブーツだけの契約ライダーが起用され、モノのよさを伝え続けた営業マンたちの努力など、様々な要因が相まってクチコミで評判のよさが広がっていったのだ。
では、RIDEのブーツのどこが優れているのか。発表されたばかりのSHOEBURT FUSEを例に説明しよう。
まず、試着しただけでわかる足入れのよさや極上のホールド感をもたらしている一因は、RIDEのオリジナルテクノロジー「タンタイド」にある。このシステムは、サイドにあるBOAダイヤルを締めると、足首部分をレースで押さえつけてカカトの浮き上がりを防ぐのではなく、タンが足首を包み込みながらカカト方向に向かってホールドしてくれるというもの。線ではなく面で押さえつけてくれるため、強く締めても足首付近に痛みを感じることなく、抜群のフィット感を実現しながら足首の自由度は高いままキープしてくれる。
つまり、ブーツと足との一体感が高まるためレスポンスは向上し、スタイルを出したいときやしなやかに動きたいときには、滑り手の思いどおり足を動かせるのだ。ちなみにこのテクノロジーは、2015年にFUSEが誕生して以来、ずっと採用され続けている。
インナーには、その専門メーカーであるインチューション製を採用。RIDEの人気モデルのインナーはほとんどがラップ式となっているのだが、これはスネの両サイドでインナーがセパレートされることなく、足をグルリと包みこんでくれるのが特徴である。インナーのスネ部分がライディング中にズレることはなく、熱成型したときの足馴染みのレベルがケタ違いにいいそうだ。
さらに、ミッドソールやアウトソールにはスタッドレスタイヤでもお馴染みのミシュラン製が使われている。軽量性・グリップ性・クッション性のすべてにおいて秀でた力を発揮してくれるスグレモノである。餅は餅屋と言うべきか、信頼の置ける専門メーカーの素材やパーツを柔軟に取り入れているからこそ、非常に総合力の高いブーツなのだ。
ほかにも、足が冷えないようにインナーとアウターの間に熱を遮断するホイルが敷かれていたり、バインディングによって摩耗しやすい箇所には耐久性の高い素材を採用していたり、インナーとアウターを一体成型することで不要なギャップが生まれずフィット感が高まりコンパクトで軽量なつくりになっていたり……など、数多くの工夫が凝らされている。だからこそ、多くのスノーボーダーたちが求める「ホールド性」「フィット感」「軽さ」をすべて、高次元で備えたフリースタイルブーツに仕上がっているのだ。
見た目にも妥協がないSHOEBURT FUSE
見た目にも妥協がないSHOEBURT FUSE
SHOEBURT FUSE。シューベルトというワードを目にして、チームライダーであるスペンサー・シューベルトのシグネチャーブーツと察知された方も少なくないだろう。スペンサーは、約1年前に配信されたRIDEのチームムービー『RATED R』において、個性派のチームライダーたちが数多く集うなか、3分35秒のロングパートを獲得したライダーだ。彼の主戦場であるストリートで難度の高いアイテムを次々に攻略したかと思えば、バックカントリーでも華麗なジャンプで宙を舞う。そんなスキルとスタイルを兼ね備えたスペンサーの意見を多く取り入れて完成したブーツが、SHOEBURT FUSEである。
「サポート性の高いハイパフォーマンスブーツなんだけど、伝統的なシューレースを採用している点がお気に入り。シューレースって見た目が美しいだけじゃなくて、自分好みのフィット感に調整できるのがいいからね」と、スペンサーはご満悦だ。
BOAフィットシステムのみで締め上げるブーツが主流になりつつある現在、SHOEBURT FUSEはノーマル版のFUSE同様にトラディショナルなシューレースを採用している。繊細なボードさばきをするために絶妙な締め分けができるうえに、見た目もカッコいい。「シューレースで締め上げるブーツの人気が少しずつ再燃している」と、あるボードショップの店長が言っていたことを思い出した。
それでは、SHOEBURT FUSEでもっともこだわった部分はどこなのか、本人に聞いた。
「一番は、タンの半透明なプラスチックの下にオレの名前がレイアウトされているところかな。背面に入れたRIDEのロゴと、よく見ないとわかりづらいアートワークがサイドパネルにあるところも! 半透明のプラスチックを使いたいと最初から思っていたんだけど、経年変化による黄ばみが心配だった。ちょっと製造コストが高くなってしまうものの、これは時間が経っても黄ばまないんだ」
遠くからだとシンプルなブラックカラーのブーツに見えるが、近くで見たときに初めてユニークなブーツであることがわかる。もちろん性能は重要だが、こういった見た目もスノーボーダーにとってはギア選びに欠かせないエッセンスのひとつ。そんなメッセージが込められているような気がしてならない。
ブーツエンジニアたちによる高い技術力の賜物
ブーツエンジニアたちによる高い技術力の賜物
そして、スペンサーが何よりも配慮したのは、このブーツがエコフレンドリーである点だ。可能なかぎり環境に配慮した素材を使用することでスペンサーのビジョンを実現させたのだと、RIDEのブーツエンジニアは言う。加えて、おそらく市場でもっとも環境に優しいスノーボードブーツなのだ、とも。
通常版のFUSEではTPU(熱可塑性ポリウレタン)と呼ばれる、ゴムのようにしなやかな弾力性と硬質プラスチックの強さを併せ持った素材が使用されているが、SHOEBURT FUSEでは植物由来のプラスチックに変更されている。それでもフレックスや耐久性が変わらないのは、ブーツエンジニアたちの高い技術力の賜物だろう。それ以外にも、サトウキビからなるEVAが随所に採用されており、ソールには再生ゴムを使用している。
「半透明のプラスチックがブーツのフィーリングに影響するんじゃないかって心配していたんだけど、履き心地や使い心地は通常版のFUSEと同じになったんだ」
SHOEBURT FUSEは現在のところ本人のみが使用しているが、スペックはFUSEと変わらない。それであれば、FUSEを長年に渡って愛用してきた小川凌稀にインプレッションを聞いてみることに。以下のコメントを読めば、FUSEがいかに日本人フリースタイラーに適したブーツなのか自ずと理解できるはずだ。
「とにかく履き心地がいいんですよ。前に使っていた別ブランドのブーツからRIDEのFUSEに履き替えたとき、すごく反応がいいなって感じたし、ブーツ自体がちょっとシュッとしてるなって思いました。ヒモっていうのもいいですよね。自分はけっこうガッチリ締めるタイプなんですけど、プラスしてサイドのBOAを締めると足首が包みこまれるようにさらにホールドされる。これが調子よくて!
あと、もともとオレは柔らかめのブーツが好きなんですけど、FUSEは硬すぎず柔らかすぎずで、ちょうどオレ好みな感じ。誰が履いても『硬すぎ!』とはならないはず。どちらかというと自由度が高いほうだと思いますね。でも、足はしっかりと守られている感もある。なので、フリースタイルな遊びがしたい人には、めちゃくちゃ調子いいと思いますよ」
RIDEのテクノロジーが凝縮されたフリースタイルブーツ、FUSE。そのスペシャル版であるSHOEBURT FUSE。履き心地よし、見た目よし、環境にもよし。
最後に、どんなスノーボーダーに履いてもらいたいのかスペンサーに語ってもらい、締めとさせていただく。
「このブーツはオレが今まで履いてきたブーツのなかで一番のお気に入りさ。クラシックで長く使えるエコフレンドリーなブーツがほしいなら、このブーツで決まりじゃないかな」