BACKSIDE (バックサイド)

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北京五輪スロープ男子はクワッドコーク1800に成功するも金に届かない大激戦

2022.02.07

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凍てつく寒さの中、人工雪で造成されたスロープスタイルコースはアイスバーン状態。総合滑走力に長けたファイナリストたちが続々と転倒してしまうほどの難コースにて、北京五輪の男子スロープスタイル決勝が行われた。その難コースを理解したうえで読み進めてほしいので、まずはこちらの記事を参照していただきたい。
 
ひとり3本のランを行い、それらのベストポイントでメダルが争われた。予選を1位通過していたシャオミンことスー・イーミン(中国)は2本目、セクション6のラストジャンプでBSクワッドコーク1800をインディグラブで決めたのだ。縦4回転と横5回転を同時に回す超大技である。一本のジャンプに集中できるビッグエアとは異なり、ラストのジャンプまでしっかりとランをつなげることが重視される競技だけに、スロープスタイルでクワッドコークを成功した意義はかなり大きい。
 
振り返ればシャオミン以外、誰ひとりクワッドコークを放つライダーは現れなかった。今大会唯一のクワッドコークが飛び出すまでのルーティンをおさらいしておくと、FS180トゥCAB270オン270オフ@レインボー・トゥ・ダウンレール→フロントフリップオフ@ルーフ→ミラーフリップ540@キャノンレール→CABトリプルコーク1440ウェドル→スイッチBS1620ステイルフィッシュという流れで、セクション6のラストジャンプにつないだ。
 
スロープスタイル競技では回転数が明確なジャンプセクションのほうが一般的にわかりやすく、今大会は演出効果も含めてラストジャンプで大技を繰り出せるようにしていたこともあり、シャオミン本人も含めて逆転を確信していたようだった。しかしポイントは88.7と、この時点でトップにつけていたマックス・パロット(カナダ)に及ばなかったのだ。
 
そのマックスが逃げ切って金メダルに輝くのだが、ベストランは2本目だった。ハーフCABトゥ・ハードウェイFS270オン@ダウンフラットダウンレール→BS360オン・プレッツェル180オフ@ダウンメールボックス→CAB270オン810オフ→CABトリプルコーク1620→BSトリプルコーク1440メロン→FSトリプルコーク1620ウェドルというルーティン。セクション4のCABトリプルコーク1620でインディグラブがボードに届かないミスがあったものの、90.96ポイントという高得点を叩き出した。そのミスを補って余る、ジブセクションでの連続した高難度トリックとジャンプのつなぎだったということなのだろう。
 
1位にマックス、2位にシャオミン、3位に平昌五輪金メダリストのレッド・ジェラード(アメリカ)という状況で、4位につけていたマーク・マクモリス(カナダ)が3本目に魅せた。ハーフCABオン・トゥ・ハードウェイBS270オン270オフ@トランスファー・メールボックス→スイッチBS270オン@ダウンフラットダウンレール→CAB270オン450オフ@フラットレール→スイッチBSトリプルコーク1620ステイルフィッシュ→FSトリプルコーク1440ウェドル→BSトリプルコーク1620インディという豪華ルーティンを成功。特筆すべきはラストヒットのBSトリプルコークが完璧だったことだろう。しかし、セクション1で若干レールから降りるのが早すぎたのが減点対象となったのだろう。88.53ポイントと、マックス&シャオミンには届かず。この瞬間マークの銅メダルが確定し、ソチ、平昌、北京とスロープスタイルが正式種目に採用されてから3大会連続銅メダリストということになった。
 
最終走者のシャオミンは逆転の金メダルを狙うもミスしてしまい万事休す。これでメダルの色が確定したわけだ。アジア勢初のスロープスタイルのメダルは日本ではなく中国が手にしたということになる。
 
日本の大塚健は3本ともセクション5までは素晴らしいランを披露。特に2本目はセクション1でややミスすると、それを補うべくセクション2のダウンフラットダウンレールでBS360オンから流れに従ってBS180オフしていたところをFS180オフに代えるなど、臨機応変な対応力も感じられた。
 
しかし、ラストヒットで放ったCABトリプルコーク1620はインディグラブを加えながらソールでしっかりと雪面をとらえるも、アイシーなバーンに弾かれてしまい決めることができずに10位に終わった。本来の力を出しきれず悔しい結果だったが、これからのスノーボード人生に活かされる大きな経験になったはずだ。
 
もうひとりの日本人ファイナリストである濱田海人は、予選同様にセクション2のボウルを利用するも異なるラインどりを披露し、場内を沸かせていた。1、2本目はセクション4のジャンプで着地に嫌われてしまったが、3本目はセクション4と6のジャンプの着地時に雪面に手をつきながらも最後まで滑りきり8位でフィニッシュ。結果以上に、フリースタイルスノーボーディングの本質や魅力を表現してくれた濱田に拍手を送りたい。
 
男子スロープスタイル結果
1位 マックス・パロット(カナダ)
2位 スー・イーミン(中国)
3位 マーク・マクモリス(カナダ)
8位 濱田海人(日本)
10位 大塚 健(日本)
全結果はこちら

photo: FIS SNOWBOARDING

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