BACKSIDE (バックサイド)

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平野歩夢がトリプルコーク含む超高難度ルーティンを全ラン決めて見事DEW TOUR2連覇

2024.03.11

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米コロラド州カッパーマウンテンで行われていた「DEW TOUR」スーパーパイプにおいて、平野歩夢が2連覇を達成した。もちろん、彼の専売特許であるトリプルコークから始まる超高難度ルーティンを決めての勝利である。

「BURTON US OPEN」がなくなってから3シーズンが経過した現在、「X GAMES」と肩を並べるプロ大会として高い人気を誇るDEW TOUR。そのメインイベントであるスーパーパイプは、ひとり3本のランを行いベストポイントで争われたのだが、3本目にドラマが待っていた。

まずは戸塚優斗が魅せる。彼はこの日、3本のランを通じて着実にルーティンをブラッシュアップしていた。それらが結実したラストラン、スイッチBSダブルコーク1260インディ→CABダブルコーク1080ウェドル→FSダブルコーク1260インディ→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1440インディを成功させて96.33ポイント。2本目を終えた時点でトップに立っていた歩夢のポイントを1ポイント上回った。

優斗がトップに躍り出て、2位に歩夢、3位にその弟・海祝、4位に平野流佳と日本人が上位を独占した状態から、8位につけていたルーカス・フォスターがついに決める。BS540ウェドル・トゥ・ステイルフィッシュ→FS1080テール→CABダブルコーク1080ウェドルから、超大技のアーリーウープ・ダブルマックツイスト900ジャパンを成功させたのだ。多くのライダーが5ヒットしている中での4ヒットであり、前半のトリックの難易度はさほど高くない。しかし、2本目までダブルマックツイストを惜しくも決められていなかったうえでの最終ランでメイクしたインパクトと、同トリックが19.9フィート(約6.1m)という圧倒的なエアの高さを誇っていたこと、さらに独創性が評価されたわけだ。94ポイントを叩き出し、一気に3位にまでジャンプアップした。

歩夢は1本目、FSトリプルコーク1440トラックドライバー→CABダブルコーク1440ウェドル→クリップラージャパン→BS900ウェドル→FSダブルコーク1260インディというトリプルコークから入るルーティンを決めていたのだが、ラストヒットの着地時にやや回転が足りずに左腕から雪面をとらえるような形になっていたものの95.33ポイントをマーク。

2本目はBS900を1260にアップグレードさせるも、その着地時にヒールエッジに乗ってしまったためラインがやや谷側に流れてしまい、ラストヒットにFSダブルコーク1260を繰り出せずトゥフェイキー・インディでフィニッシュ。先述したように、2本目を終えた時点でトップにつけていた。

そして最終出走だったため大トリを飾る3本目、FSトリプルコーク1440トラックドライバーからCABダブルコーク1440ウェドルへとつなぐと、ボトム側に弾かれてやや後傾になってしまったものの、見事なリカバリーで立て直した。その後、クリップラージャパン→BSダブルコーク1260ウェドル→FSダブルコーク1260インディと完璧につなげたのだ。少しのミスも許されないCABダブルコーク1440という世界最高峰の超高難度技にもかかわらず、こうした対応力が歩夢の強さであり進化を証明した瞬間でもあった。97ポイントを叩き出し、見事2連覇を達成したのだった。
 

この高さで頭を3回下に入れながら宙を舞い、3本ともすべてクリーンに決めた歩夢のすごさ

 
「DEW TOURは大勢のオーディエンスが集まってくれるから大好きです。観客たちはいつも最高のエネルギーを持っています。だからこそ、2012年から出場し続けているコンテストなんです」と、歩夢はDEW TOURのインタビューに答えている。

今大会、歩夢はFSトリプルコーク1440からCABダブルコーク1440という世界最高難度のつなぎを、3本ともすべて成功させた。トリプルコークを操るにはエアの高さ、イコール、滞空時間の長さが必要不可欠だ。斜め方向へのが回転軸が強いものではなく、歩夢のように真下に頭を入れたクリーンなトリプルコークの場合はなおさらである。これまでは北京五輪の舞台となった高さ7.2mの世界最大ハーフパイプや、同7mを誇るスイス・ラークスではエアの高さが生み出しやすいため、比較的高い成功率を誇ってきた。しかし、カッパーマウンテンのハーフパイプは、決してそこまで大きくない。そこでの成果だけに、歩夢がさらに進化したということがご理解いただけるだろう。

海祝は惜しくも4位と表彰台を逃すも、今シーズンからファーストヒットで繰り出しているマックツイスト・メソッドはもちろん、4ヒット目で放っていたFS900ノーズグラブが超絶クールだった。また、チェイス・ブラックウェル(アメリカ)のスイッチ・マックツイスト720スイッチジャパンなど、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)主催のワールドカップよりも高難度トリックばかりでなく、ライダーたちの個性が光るコンテストだった。歩夢のルーティンもそうだ。3ヒット目にクリップラージャパンを組み込むことでメリハリが出て、その表現力が大きく増しているように感じた。ここが、FIS大会とプロ大会の違いといったところか。そのFISワールドカップで2シーズン連続で年間王者に輝いた平野流佳は最終ランで逆転を狙うも、十八番であるスイッチBS1080を繰り出すはずのファーストヒットのアプローチでミスしてしまい、エアターンでバランスを崩して激しく転倒。大事に至っていないことを願いたい。

その後に行われた、DEW TOURの20周年を記念したハイエア&ベストトリックを決めるジャムセッションでは、海祝がハイエア賞を獲得。平野ブラザーズがカッパーマウンテンを大いに盛り上げ、幕を下ろした。

男子スーパーパイプ結果
1位 平野歩夢(日本)
2位 戸塚優斗(日本)
3位 ルーカス・フォスター(アメリカ)
4位 平野海祝(日本)
5位 平野流佳(日本)
6位 チェイス・ジョージー(アメリカ)
7位 アレッサンドロ・バルビエリ(アメリカ)
8位 チェイス・ブラックウェル(アメリカ)

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photo: Dew Tour/Chris Ortiz

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