
INTERVIEW
スケート&スノーボードで史上初の夏冬2年連続五輪を目指す。平野歩夢が今を語る
2020.11.02
先日のコラムでは、平昌五輪ハーフパイプ金メダリストのショーン・ホワイトと同銀メダリストの平野歩夢が、スケートボードからスノーボードに板を乗り替えてトレーニング中であることをお伝えした。ショーンはすでにスケートボードでの東京五輪出場を断念しているため、スノーボードのみに集中できる状態で訪れていたわけだが、歩夢は今もなお、スケートボード・パーク種目での日本代表の座を狙っている。
冬夏冬と3回連続でオリンピック出場を目指すのが、いかに茨の道であるかということは想像に難くない。それは、これまでの歴史を振り返れば、夏冬のオリンピックに出場経験を持つ日本人選手がたったの4名しかいないことが裏づけてくれる。だからこそ、東京五輪の延期が歩夢をさらに苦しめているのだ。
東京五輪スケートボード・パーク種目は2021年8月4日開催のため、スノーボードのみに集中して北京五輪に臨める期間は、代表選考も含めてたった半年しかない。それは言い換えれば、オリンピックの延期は今回が初めてということなので、夏冬の2大会を2年連続で出場する史上初のアスリートということになる。
そんな前人未踏の挑戦を続ける歩夢の今がスイスの地で語られた。

スイス行きを決めた理由は?
きっかけはシンプルですね。(スノーボードの)2年のブランクがあって、ずっと雪の上で滑れていないことが不安に感じてきている時期だったので、トップ選手の多くがここに集まって練習しているのを聞いて、まずは行ってみようという気持ちでした。滑った感触を確かめたかったので。
ひさしぶりにパイプを滑ったその感触は?
まったく滑れないんだろうなって、パイプに入る前の段階からやり直さなければならないと思ってたんですけど、わりとパイプに入ってみたらそこまでの違和感がなくて。思ってた以上にやるべきこともスムースに早く進んでいったので、さらなる課題を見つけて想像以上に進歩できてる状況なのかなと思ってます。

想像よりいい感触で滑れたのはなぜ?
不安だったり、足りないものがあるんだろうなと思ってたんですけど、メンタル面ではスケートボードをやってたことが何か自信につながっているような、そういった気持が表れてきているのを感じていますね。でも何が正解かを、自分でもまだ探っているような状態でスノーボードをやっています。
仕上がり具合はどれくらい?
ここに来る前に立てた目標はすでに達成しました。思ってたよりも環境がよかったので、試せることやそれ以上のことを求めて滞在期間を延長して、また新たにやるべきことを感じています。(スノーボードのレベルを)戻さなければいけない感覚っていうのは、オーバーに言ったら50%くらいですかね。その50%くらいを戻す作業が相当難関な目標になると思うんですけど、それをクリアできたら、ものすごい可能性というか、過去のスノーボードを上回った状態で練習ができそうなのかなと思っています。

課題は見つかりましたか?
(スケートボードでは)バーチカルが鍵を握っていて、それは今回来てみてさらにやり込まないといけないなって。日本に帰ってからの課題ですね。スノーボードのハーフパイプにはラインがあるんですけど、スケートボードのバーチカルに関してはラインが取れないので、ドロップインから飛ぶまでの部分は、またさらに磨けるんじゃないかと感じています。
スノーボードとスケートボードの両立について
今はスノーボードをガッチリやっていて、疲れた身体でスケートボードの練習に行くのってすごい大変なことなんです。でも、それを感じられているのも自分の立場だからこそ。スケートパークがない環境でも、スケートボードを少しでもやり続けることが大事なのかなと思います。

ショーンと何か話しましたか?
僕は英語がペラペラじゃないから、ショーンもそれを気遣ってくれていて「今のいいね」みたいな簡単なコミュニケーションしかとっていないんですけど、でも心の中では“今やらなきゃな”っていうことをお互い感じてプッシュし合えてるっていうか。そうしたこともあり、プレッシャーだけじゃなくて自然に技を覚えようという気になって、今の状況を楽しみながらもストイックにやれています。なんか、心は通じてるなっていう気がしますね。
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