BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

JAPOWは“国策”になり得るのか。観光庁が17エリアを支援するスノーリゾート形成の現在地

2026.07.25

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観光庁は、「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」において、2026年度の支援対象として17エリアを選定した。スノーリゾートへのインバウンド需要を的確に取り込み、地方への誘客を促進することを目的とした事業であり、有識者等による審査を経て決定された。
 
今回選定されたのは、大雪、新得、札幌、八幡平、蔵王、会津磐梯、猪苗代、草津、越後湯沢、妙高、野沢温泉、山ノ内、白馬、白樺高原、勝山、郡上、びわこの17地域。北海道から東北、上信越、北陸、中部、関西圏まで、日本を代表するスノーエリアが広く名を連ねている。
 
観光庁は、スノーボードやスキーを中心としたスノーリゾートについて、訪日外国人旅行者の地方での長期滞在や消費拡大を図るうえでカギとなるコンテンツだと位置づけている。支援対象は、コンテンツ造成、受入環境の整備、外国人対応可能なインストラクターの確保、二次交通の確保、情報発信、ゲレンデインフラの整備など。つまり、雪上だけでなく、その前後にある滞在体験まで含めて国際競争力を高めようとしているわけだ。
 
BACKSIDEでは過去にも同事業を取り上げてきた。2020年度は18エリアが選定され、予算額は20億円(記事はこちら)。翌2021年度も18エリアが選定され、コロナ禍の影響もあってか予算額は10億5千万円に縮小されたものの、インバウンド需要の回復を見据えた受入環境整備とゲレンデインフラの強化は継続された(記事はこちら)。2025年度には16地域が選定され、リフトやゴンドラなどの輸送インフラ更新、キャッシュレス導入、多言語対応、二次交通の確保、国際的なスノーインストラクターの育成と配置、情報発信の強化などが支援対象として示されている(記事はこちら)。
 
つまり、これは単年のニュースではない。日本のスノーリゾートを国際競争力のある観光地域へと磨き上げていく流れは、2015年から検討が進められ、補助事業としては2020年度から続いている。
 
観光庁の公式ページにも、その継続性は明記されている。同事業は令和2年(2020年)度より補助事業として設けられ、国際競争力の高いスノーリゾート形成に取り組む地域を継続的に支援してきた。地域の現状把握や課題整理、より効果的な支援のあり方を検討するため、有識者による検討委員会も開催されている。
 
さらに観光庁は、スノーリゾートにおける経済波及効果分析を地域自らが実施するための手引書も作成。EBPM(エビデンスに基づく政策立案)の手法を用いて事業の進捗や効果を点検し、その結果をもとに改善や見直しを行うと説明している。支援は続いているだけではない。次の段階へ向けて、より効果を問われるフェーズに入っている。
 
JAPOWを求めて海外からスノーボーダーやスキーヤーが訪れることは、もはや一部地域だけの特別な現象ではなくなった。ニセコや白馬に限らず、日本各地の雪山が、海外から選ばれる可能性を持つ時代に入っている。
 
だが、問われているのは雪の量だけではない。パウダーの質、ツリーラン、温泉、食、地域の暮らし、二次交通、多言語対応、決済環境、長期滞在のしやすさ、そして、その土地に根づく滑りの文化。海外から来る滑り手にとって、日本の雪山の価値は、ゲレンデ上だけで完結するものではない。
 
だからこそ、国が支援する「国際競争力の高いスノーリゾート形成」は、単なる観光インフラ整備にとどまらないはずだ。重要なのは、海外からの需要をどう取り込み、地域の経済や雇用、そして日本の雪山文化へどう還元していくかである。
 
JAPOWを消費される観光資源として終わらせるのか。それとも、日本の雪山に根づく滑りの文化として育てていくのか。
 
17エリアが選定された2026年度の支援事業は、これからの日本のスノーリゾートが何を武器に、誰に向けて、どんな価値を届けていくのかを考えるうえで、重要な動きと言える。

text: Daisuke Nogami(Editor in Chief)
photo: Unsplash

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