COLUMN
【創刊10周年特別企画】10年後に読み返すために、BACKSIDEが「残してきたもの」
2026.06.01
2016年夏。BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINEを立ち上げる前に、一冊の小冊子を制作した。「ISSUE 0」。
当時、編集者として駆け出しの頃に扱っていたフィルム写真のことをよく考えていた。ポジフィルムをルーペで覗きながら、記憶の引き出しから「あの封筒の何枚目」と感覚で探し当てていたあの作業。デジタルになってから写真の枚数は増えた。しかし、あの頃のように一枚一枚を記憶している感覚は薄れていった。紙には、データにはない何かが宿る。そう確信していた。
だから紙媒体を作ることにした。その冊子に、こんな言葉を書いた。
「後世に残す価値の高いコンテンツを見極めて、紙に残していく」
あれから10年が経とうとしている。
情報はインターネットで十分に届く。速報性も拡散力も、ウェブマガジンのほうが優れている。それでも紙を選んだ理由は単純だった。
残したかったからだ。
その瞬間に消費される情報ではなく、10年後も読み返す価値のある言葉を。BACKSIDEの書籍はニュースを追わなかった。誰が勝ったのかよりも、なぜ滑るのか。どんなトリックをしたのかよりも、どんなスノーボード人生を歩んできたのか。そうしたものを編み上げ、紙に刻んできた。
創刊10周年を迎える2026年。紙媒体として制作してきた11冊のアーカイブを、順次公開していく。
これは再掲載ではない。10年という時間を経た今だからこそ見えてくる価値を、もう一度読み直すための試みだ。当時の若手ライダーたちは世界のトップシーンへ羽ばたき、すでに現役を退いた滑り手もいる。雪山を取り巻く環境も、スノーボードそのものも変わった。それでも、ページをめくるたびに感じるのは、そこに記された言葉たちが驚くほど色褪せていないということだ。
いま、開こうと思う。BACKSIDEが残してきたものを。
8月18日の創刊10周年まで、アーカイブをひとつずつ公開していく。当時のBACKSIDEが何を残そうとしたのか。そして2026年の視点で、その言葉から何を受け取るのか。10年という時間を挟みながら、一緒に読み返してほしい。
text + photo: Daisuke Nogami(Chief Editor)




