BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

韓国の14歳と中国の11歳が異次元の滑りを披露したDEW TOUR女子スーパーパイプ

2023.02.26

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女子ハーフパイプシーンのレベルが確実にネクストステージへ突入した。米コロラド州カッパーマウンテンで行われているDEW TOUR女子スーパーパイプで、先日のX GAMESを制した14歳、チェ・カオン(韓国)が優勝。2位には11歳のパティ・ジョウ(中国)が食い込んだ。
 
アジア人がワンツーフィニッシュというリザルトだけでなく、その中身がすごかった。優勝したチェは3本目に、スイッチBS900インディ→CAB720ステイルフィッシュ→FS1080メロン→CAB900ステイルフィッシュというルーティンを披露。最後のグラブは浅かった、もしくはつかめていないようにも映るが、全体を通して十分に高さのあるエアを放っていた。
 
その中でも特筆すべきは、各ライダーで得手不得手はあれど、パイプトリックの回転方向で最高難度とされているスイッチバックサイドの高回転スピンをファーストヒットで繰り出している点だ。さらに言えば、ノーマルスタンスからのバックサイド方向への高回転スピンでさえも、女子の大会ではあまりお目にかかれないのだから、なおさらである。
 
FS1080を高い完成度で操れることが女子ハーフパイプ界でのトップランカーの条件であり、以外にCAB900を持つ小野光希が現在のFIS(国際スキー・スノーボード連盟)大会の女王として君臨している。また、今シーズンは大会に出場いていない平昌&北京五輪で2連覇を達成している絶対王者クロエ・キム(アメリカ)はCAB1080を武器としている。しかし、スイッチで背中側へ踏み切りスイッチでの着地となる超高難度なバックサイド方向への高回転スピンを操れるライダーは数少ない。それでいて14歳なのだから、末恐ろしい存在である。
 
2位となったパティに、さらに驚愕させられることに。なんと、カオンと同じく超大技であるスイッチBS900メロンをファーストヒットで繰り出したのだ。そして、CAB720ウェドル→FS540メロン→BS540ウェドルというルーティンを見事成功。11歳という年齢を鑑みれば、彼女が大器の片鱗をうかがわせたことを十二分にご理解いただけるだろう。
 
参考までに、冒頭で述べたチェ以外で若くしてプロ大会で表彰台に上がった例を挙げると、先述のクロエが13歳で出場したX GAMESで、男子では國母和宏が14歳で出場したBURTON US OPENで、平野歩夢が14歳で出場したX GAMESで、それぞれ2位を獲得している。11歳での表彰台獲得は異例の出世スピードだ。
 
3月1日(水)にFISスノーボード世界選手権のハーフパイプ予選を控えているため、日本人の女子ライダーは参戦していない今大会。FISは15歳以上でないと出場できないルールがあるわけだが、それ未満の低年齢層がすでにニュートリックを開発している事実。競技スノーボードの未来を案じる結果となった。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

※グラブ名はノーマルスタンス時で表記
※パティ・ジョウのスタンスを誤っていたため本文の内容を修正(2023年2月27日12時10分)

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