BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

福島に輸入されたアメリカ文化と日本の横乗りが融合した集大成『LLAMA PUNCH 3』

2022.01.04

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コロナ禍も手伝い1年間という期間限定で、米カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に冬はマンモスマウンテンで活動していたファミリーが日本にやってきた。日本でもおなじみ、プロスノーボーダー・上田ユキエの夫である込山剛士(YOSHI)ファミリーだ。妻のユキエと愛息・虎之介くんの3人が福島・岳温泉に拠点を一時的に移し、昨シーズンは日本の至るエリアでライディングに明け暮れていた。
そうした中、ハリウッド生まれでLA育ちのYOSHIは、2019年にローンチした自身が主宰するムービー『LLAMA PUNCH』の日本版を制作することに。「海を越え文化を超えて育まれる日米スノーボーダーたちの絆」と題して2年前にお届けした記事があるのだが、マンモスマウンテンのローカルムービーに多くの日本人ライダーが出演。世界有数のパークやハーフパイプが存在する本場を舞台に、マンモスローカルと日本人ライダーが入り交じる映像作品をYOSHIが編み上げた。老舗プロショップで流されたその映像にローカルスノーボーダーたちは熱狂。日本人のライディングスキルの高さが評価されるだけでなく、ルーツが日本にあるアメリカ人であるYOSHIが創り上げた作品だからこそ、異なる文化価値が融合した作品と化したのだ。
そんな日本と日本人スノーボーダーをこよなく愛するYOSHIが、メイド・イン・ジャパンの作品を生み出した。それが、本記事で紹介する『LLAMA PUNCH 3』である。昨年9月、その上映会が岳温泉で開催され、筆者も足を運んだ。
 

LlamaPunchCrew

YOSHI(右)の挨拶から始まり上映会がスタート
photo: Yukie Ueda

 
映像には東北を代表する若手ライダーから言わずと知れた平野歩夢まで、幅広い多くのライダーたちが出演している。そして、福島を代表するベテランの松浦広樹やバンクド女王に輝いた経歴を持つ宗野かれん、競技を経てフリーライディングシーンで台頭してきている岡本航、平昌五輪ハーフパイプ日本代表でBACKSIDE CREWの有料会員“FRESHFISH”の一員でもある大江光など、あらゆるライダーたちが上映会に駆けつけていた。
 

Riders

左上から時計回りに、松浦広樹、宗野かれん、大江光、岡本航
photos: Yukie Ueda

 
この1年を通じてYOSHIは日本のスノーリゾートやストリートに赴き、さらにスケートパークを有する「スカイピアあだたらアクティブパーク」に勤務していたことから、老若男女問わず多くの日本人スノーボーダー&スケーターと触れ合ってきた。横乗りの本場で培われたYOSHIの豊富な経験からくる滑りや言動に、日本人ライダーたちは多くの刺激を受けたことだろう。
上映会はYOSHIの言葉で締めくくられたのだが、出演しているスノーボーダーやスケーターたちにはもちろん、岳温泉の人々への感謝の気持ちがあふれていた。筆者は以前からYOSHIのことを知っているのだが、失礼ながら日本語がとても流暢になっており、それだけでなく彼の言葉選びや行動すべてに品格を感じた。
アメリカ文化に刺激された日本人ライダーたち。そして、日本文化から多くのことを学んだYOSHIファミリー。たった1年だが、彼らは固い絆で結ばれていた。行動することの大切さをYOSHIファミリーに教えてもらったような気がしてならない。
そして昨年11月、YOSHIファミリーはアメリカに戻り、現在は彼らのホームであるマンモスマウンテンで親子ともにライディングに明け暮れている。虎之介くんも含めて、LA育ちのリアルスノーボーダーたちに日本文化が掛け合わさったことで、また新たなる何かが生み出されるのかもしれない。
北米有数のフリースタイルの聖地で育ったYOSHIのセンスと、日本人スノーボーダー&スケーターたちの実力が相まって、見応え抜群の素晴らしい作品に仕上がった。ぜひともこちらからご覧いただきたい。

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