COLUMN
北京五輪はどうなる? スキー連盟のキーマン・皆川賢太郎氏が理事選任否決
2020.10.19
オリンピックにおけるスノーボード競技はスキー種目のひとつとして扱われているため、国際スキー連盟(FIS)がオリンピックやワールドカップなどグローバル全体の動きを統括しており、その傘下にある全日本スキー連盟(SAJ)が日本代表選手やその選考を含めて管轄していることは周知の事実だろう。
そのSAJのキーマンとされていた元アルペンスキー選手である皆川賢太郎氏は、引退後の2015年に理事となり、2017年からは競技本部長を務めていた。しかし、昨日10月18日に行われた評議委員会の役員改選で北野貴裕会長とともに落選。北京五輪まで1年4ヶ月を切ったシーズン前のこのタイミングに、異例の事態となった。
グローバルに活動してきた皆川氏からするとスキー連盟は旧態依然の体質に映っていたようで、それを変えるために尽力していたことは関係者からも耳に入ってきていた。先日の記事で紹介したが、全日本選手権の興行化を進めるなど、助成金や補助金に頼らない自主財源の確保を目的に動き出していたことからもわかるように、雪を求めて海外遠征がつきもののウィンタースポーツだけにトラベルバジェットが嵩むことから、限られた予算だけでなく選手の強化費を捻出するためだったことが窺い知れる。また、産業振興においてもあらゆる課題が山積するなかSAJがプラットホームになるべきだと強調するなど、連盟という枠組みを越えてスノースポーツのキーマンであるわけだ。
冒頭で述べたように、1998年の長野五輪から正式種目に採用されたことでスキー種目のひとつとして組み込まれ、これまで紆余曲折があったスノーボード競技。皆川氏が競技本部長に就任してからは状況が好転していたように映っていた。この件に関して複数のスノーボード関係者がため息を漏らしていただけに、残念でならない。今後のSAJスノーボードチームの動向について、引き続き見守っていきたい。
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