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スノーボーダーにE-BIKEのススメ。SPECIALIZED「VADO SL」と新たなライフスタイルを創造する
2023.04.05
さらに言えば、今シーズンFORUM SNOWBOARDS(フォーラム スノーボード)を再始動させたことで大きな話題を集めたジェレミー・ジョーンズが、2017年に両足を粉砕骨折するという絶望的な雪崩事故を起こしてしまったのだが、そこから雪上復帰するまでのリハビリに利用されたのがE-MTBだった。そして、2015年に撮影中の事故により右足に麻痺が残る障害を抱えている岡本圭司の足として活躍しているのも、またE-BIKEだ。
彼らの話のあとに述べるのは恐縮だが、僕(編集長・野上大介)も2012年にスノーボードで左膝を粉砕骨折するという大ケガを経験している。それまでは“チャリ通”するほど日常的に漕いでいたのだが、そのケガ以来、スポーツバイクにまたがることはなくなってしまった。
そんな僕が、10年以上の時を経て“また乗りたい”と思った理由──それは、昨年夏に行った「BACKSIDE SESSION」の特別編(記事はこちら)を通じて、SPECIALIZED(スペシャライズド)のLEVO SLにまたがり、衝撃的な走破性の虜になってしまったからだ。前出のジェレミーが乗っていたのも、同じくLEVO SLだった。
オフシーズンを目前に控えた今。新宿に位置するSPECIALIZED STOREに赴き、LEVO SLと同じ新型モーターユニットを装備したクロスバイク型のE-BIKE、VADO SL 5.0をゲット。スノーボーダーとして、新たなライフスタイルを創造するために。
一度は失ったライフスタイルをより彩るためのE-BIKE
スノーボードはシーズンスポーツだからこそ、日常的に身体を動かしていたい。でも、仕事が忙しくてなかなか時間がとれない。そうした想いを胸にチャリ通を始めたのが、今から15年前のこの時期だった。当時、東京・渋谷にあった前職の編集部まで自宅から8kmほど、毎日のようにスリックタイヤを履かせたマウンテンバイクを漕いでいた。
初めて乗ったマウンテンバイクは、SPECIALIZEDのHRXC SPORT。1974年に米カリフォルニア州で創業したブランドだということをショップスタッフから教えてもらい、僕と同い年だったため愛着が沸いたことが購入した動機でもあった。

購入した直後に代々木公園で撮影。まだオフロード用のタイヤを履いている
しかし、2012年1月にスノーボードで左膝を粉砕骨折するという大ケガを負ってしまうことに。サイズの小さいバックサイドヒップで飛びすぎてフラットエリアに着地してしまい、左大腿骨外踝が砕けたのだ。リハビリでエアロバイクを漕ぐ機会は多かったが、自然とスポーツバイクからは遠のいてしまった。
砕けた骨のピースが揃うことはなく、完治に至らず。いまだに左足の筋力は右足よりも劣り、曲がりきらなければ見た目もやや細い。そんな僕が先述したBACKSDIE SESSION中に、力を入れることなく急勾配をグイグイと上れたあの感動。詳しくはこちらの記事をご一読いただきたい。

思わず口元が緩んでしまうほどラクに上れた、あの衝撃は忘れられない
photo: Holy
とは言いながらも、E-BIKEに精通しているわけではないものの、ナチュラルなアシスト力であることをその日のセッション中に体感することができた。身体を動かすという視点でスポーツバイクをとらえたとき、電動だからラクすぎて物足りないということは一切ない。しっかり漕いでいる感覚を得ることができ、そのうえで、僕のようにヒザの悪い人間からすれば、必要なときにサポートしてくれる頼もしい相棒に感じられたのだ。
「これならオレの足でも快適に乗れるし、都内を車で移動するよりもエコだし場合によっては早い。そのうえで、日常的に身体を動かすことができる」
そう確信した僕は、15年前のこの時期もそうだったように、オフシーズンに向けてE-BIKEライフを始めることにした。

SPECIALIZEDのVADO SL 5.0は、E-BIKEとは思えない見た目のスタイリッシュさに加えて、SL(Super Light)という名のとおり車体重量が14.9kgという圧倒的な軽さ(一般的なE-BIKEは20~25kg程度)であることも強く背中を押した。現在、そのVADO SLをリーズナブルな価格で手に入れられるSPRING SALEを開催中。こちらもお見逃しなく
都心の渋滞を尻目に地球環境を守りながら快適移動
「オフシーズンは何をしているんですか?」と、かれこれ20年以上質問されるような仕事だが、打ち合わせやプロダクト撮影、執筆も含めて、精力的に働いている(笑)。スノーボードやスケートボードを取り扱う横乗りカンパニーはもちろん、ストリートやアウトドア関連の会社の多くが渋谷・原宿周辺にオフィスを構えており、シェアオフィスが原宿にあることから、このエリア周辺に出向くことが多い。関越自動車道・練馬ICまで車で5分ほどの場所に自宅があり、ドア・トゥ・ドアで渋谷・原宿まで電車の場合は40~45分程度、車であれば渋滞にハマってしまうと1時間かかるケースもある。
個人的にオフシーズンは積極的に身体を動かしたい派であることに加えて、雪を必要とするため環境問題に対する意識が高い生き物であるスノーボーダーだからこそ、E-BIKEはうってつけだ。なぜなら、運動しながらエコ活動ができるのだから。およそ50分間の有酸素運動を行うと、渋谷・原宿エリアに到着する。

仕事のイメージを膨らませながらペダルを踏む
リモートワークが中心なので、打ち合わせなどは極力まとめるように心がけている。そうした意味でも、VADO SLで快適に移動できるのはうれしいかぎり。


タクシーを利用したくなる位置関係でも地球にも財布にも優しく移動
過去のチャリ通時代を振り返ると、上り坂や向かい風というハードなシチュエーションは日常茶飯事だ。VADO SLはそうしたハードルがあるときこそモーターのパワーでスムースにアシストしてくれるため、ストレスなくバイクライフを送ることができる。だからこそ、通勤を含めたライドの継続性が高くなると断言できるのではないか。高い買い物だから積極的に乗ろうとする、とも言い換えることができるかもしれないが(笑)
渋谷や原宿周辺に土地勘がある人はわかるだろうが、このエリアはとにかく坂道が多い。渋谷駅前には宮益坂と道玄坂があり、原宿のシンボルストリートである表参道も緩やかな坂道だ。だからこそ、E-BIKEが本領を発揮するのだ。

E-BIKEに乗っていると、むしろ坂道が楽しくなる
また、夏場のライドで汗ダクになることは言うまでもないだろう。チャリ通時代、着替えを用意してファーストレイヤーなど通気性の高いウエアを身にまとって漕いでいたことを思い出す。それに比べると、電動アシストの恩恵にあずかることで発汗が軽減され、スタイリッシュな出で立ちでVADO SLにまたがることができる。
さらに「MISSION CONTROL」というアプリを使ってマイバイクと連動させれば、ルート、走行距離、平均速度を記録したり、目的地までバッテリーをもたせられるようにアシストレベルを自動調整することができるので、バイクライフのモチベーションアップに繋がることだろう。

この日は自宅から原宿駅まで、ほぼ電車移動と変わらない時間で到着した
渋滞することが多い首都圏を取り巻く環七などの幹線道路を走っているときや、一般的な自転車に乗っている人が立ち漕ぎしている坂道でサドルに腰かけながらスーッと抜き去る瞬間、そして、向かい風に負けることなくグイグイとペダルを踏み込みながら、VADO SLを選んでよかったと心の中でつぶやいていた。
スノーボーダーのライフスタイルにE-BIKE最強説
毎日通勤するワークスタイルではないので近所のサイクリングコースを調べてみると、練馬区内にある3箇所の都立公園を結ぶルートが紹介されていた。およそ15kmの高低差が少ない初心者コースと評されており、快適に走ることができた。

地元の風景もE-BIKEにまたがって走ることで印象が変わる
自宅周辺はランニングやジョギングをしている人が多いため以前取り組んだことはあったものの、膝への負担が大きく断念。そうした意味でも、身体を優しくいじめることができる素晴らしい乗り物に出会えた喜びを、改めて実感した。

気持ちよくペダルを踏み込むことができるのは、電動アシストのおかげ
また、1年ほど前から近所の移動なども含めてサーフスケートを楽しんでいる。サイクリングルート上にある光が丘公園がスケートボード禁止ではないことを知り、VADO SLに乗る楽しみがさらに増えたのだった。

足腰を鍛えながら横乗りの感覚も忘れない
スノーシーズン中はもちろん滑っているため、E-BIKEに乗る機会は少ないと思っていたのだが、荷重があまりかからないE-BIKEに乗ることは、アフタースノーボードのリカバリーになるのではないか。そう気づかされる出来事が、早くも今シーズン訪れた。
3月中旬、新潟に位置する標高1,984mの平標山を4時間半かけて登頂。スプリットボードとアイゼンを駆使してハイクアップするというハードな体験をしたのだが、滑り出すと足がつってしまい、アミノ酸やミネラル不足を痛感しながら、フィジカル面も整えなければと考えていた。
そんなとき、TURBO、SPORT、ECOと3種類あるアシストモードから最強のTURBOを選択してゆっくりとライドしたことで、痛めた身体のリカバリーにひと役買っているように感じることができたのだ。

アシストのパワーをふんだんに借りてゆっくり漕ぐのも気持ちいい
TURBOは100%、SPORTは60%、ECOは30%といったようにアシストの強弱をアプリから設定できるので、自身のコンディションに合わせてアシストを増減させてライドするといいだろう。

バイクと一体型のディスプレイでアシストのモードを管理。正確なバッテリー残量もここで確認できる
スノーボーダーとして必要不可欠な筋力を維持、または高めることができ、さらに、ライディングで酷使した身体を整えることもできるE-BIKE。先に紹介した記事にあるとおり、スノーボーダーのオフトレにマウンテンバイク最強説は昨夏に立証したが、“スノーボーダーのライフスタイルにE-BIKE最強説”を新たに検証してきたいと思う。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Yuto Nishimura(HANGOUT COMPANY)
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