BACKSIDE (バックサイド)

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SPECIAL

日本一リフト1日券が高いルスツをお得に滑れる25時間券の有効活用法をローカルが伝授【FREERIDE PARADISE Vol.1】

2023.11.27

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日本初のリフト1日券1万円超で話題を集めている北海道・ルスツリゾート。燃油代や水道光熱費などの高騰が一因ではあるものの、日本人スノーボーダーの懐事情を考えると、サイドカントリーを思う存分楽しめる“フリーライド天国”とはいえ、それを差し引いてもお高く感じてしまうかもしれない。
 
それでも、ローカルスノーボーダーたちは今シーズンもルスツに通うと言い切る。その理由として、むしろ“お得”に感じられるリフト券が存在するそうだ。それが巷で噂の「25時間券」。30,000円するので1時間単価は1,200円。ぶっちゃけ安いとは感じられないが、お得だと断言するBURTON FLAGSHIP SAPPOROのストアマネージャーである坂井健人さんと、SALOMON EXPERIENCE BASE店長であり同ブランドの契約ライダーを務める藤本広海さんのふたりに、その有効活用法を聞いてみた。

ノーカウントの時間帯を利用してサイドカントリーを攻める

──どのように25時間券を使っていますか?
 
もともと4時間券(現在はなし)をよく利用していたのですが、朝イチから休憩なしで滑り続け、お昼くらいに帰るというルーティンでした。それが25時間券を使うようになったことで、これまでよりも都合がよくなりました。例えば、これまでは4時間滑りっぱなしでお昼を食べて帰る感じでしたけど、2時間みっちり滑って、3時間目に突入しなければカウントされないのでゆっくりお昼を食べて休み、その後1、2時間滑って帰ることができます。以前よりも時間に余裕が生まれましたね。
 
また、25時間券の特性を活かして時間単位で計算しながら滑ることで、よりお得感が生まれます。25時間券をICゲートにタッチすると通過した時間が表示されるので、リフトの所要時間やライディング時間を考えながら、あと何本行けるかと常に考えていますね。サイドカントリーに行く場合は、なるべく1時間単位のギリギリまで滑ってリフトに乗り、そこからトラバースを始めます。移動している時間や滑っている時間はノーカウントですから、この1本は時間をかけて長く楽しむことができるのです。一般的な時間券だと、森の中を探検しながら滑り下りてくるのに1時間かかったとしたら、その時間は無駄になりますよね。その分が減算されないので、逆にお得に感じます。
 

25時間券を有効活用して森の中を探検する坂井さん

 
──25時間券は30,000円するので時間単価は1,200円、25時間券を買った人だけが追加できる「トップアップ5時間券」が5,500円なので時間単価は1,100円とお得にはなるものの、安さは感じません。ほかのゲレンデと比較して割高感はありますか?
 
ルスツの近くにはニセコもあって、外国の方から人気が高いので全体的に値段が上がっています。なので、25時間券がないとちょっと厳しいですが(笑)、むしろ割安に感じますね。本州から来られる方だと使い切れない可能性もあるかと思いますが、道内のスノーボーダーであれば自分のタイミングに合わせて滑ることができるから都合がいいのです。ほかのゲレンデで一般的な時間券を買って休憩や食事の時間を無駄にするくらいなら、25時間券のほうがむしろお得に感じられます。
 

日づけをまたいでシーズン中いつでも使えるので道内スノーボーダーはもちろん、道外から複数回トリップに来るという人も有効活用できる

 
──どんな人にオススメしたいですか?
 
日数にもよりますが道外から来られる方だと、25時間券を買って1日あたり何時間くらい滑れるかを考えることで、トリップ全体のスケジュールが組みやすいという話を聞いたことがあります。滞在日数が少なかったとしても25時間券はシーズン中使えるので、例えば12月に滑りに来て、また2、3月に行こうとか、そうした使い方も可能です。ですので道内ローカルだけでなく、長期滞在で来られる道外やインバウンドの方々にもオススメですね。
 
お客さんと滑りに行く機会もありますが、ルスツによく行くという方には25時間券をオススメしています。地元だからこそいい雪で滑って午後はまったりしたいという方も多いです(笑)。そういう方とご一緒するときは同じ使い方でライディングを楽しんでいます。

 

坂井健人(さかい・けんと)
BURTON FLAGSHIP SAPPORO ストアマネージャー。1982年、岩手県盛岡市生まれ。スノーボード歴25年、ルスツ歴6年。スノーボードの魅力にとりつかれた人生を歩んでおり、仕事以外でもその楽しさを広めるべく活動中
photo: Burton Flagship Sapporo

 


サイドカントリーだけでなくバックカントリーも楽しみたい人へ

──どのように25時間券を使っていますか?
 
ウエスト(West Mt.)の稜線上には尻別岳がありますよね。北海道バックカントリークラブがガイドを担当していて、ルスツのヘリを利用して尻別岳のバックカントリーを楽しめるサービスが昨シーズンまでありましたが、とてもいい山です。僕もPURE JAMクルーと尻別岳を登って滑ることが多いのですが、そうしたときに25時間券はすごくおいしいチケットだなと感じています。
 
朝イチで尻別岳を登って滑り下り、昼くらいからゲレンデに滑りに行くことができますし、夕方晴れそうだとしたら朝イチにゲレンデで足慣らしを兼ねて滑って、昼くらいからハイクアップを始めて夕方にドロップするということが、25時間券を持っているからこそできるのです。ルスツはサイドカントリーを楽しむことができるゲレンデですが、バックカントリーにもアクセスできるのでどちらも楽しみたいというスノーボーダーにとっては、とても使い勝手がいいチケットだと思います。
 

毎年ルスツで行われているチームシューティングで美しいスプレーを巻き上げる藤本さん
photo: Akira Onozuka

 
──ずばり25時間券の魅力は?
 
リフト1日券の場合、最後まで滑らないともったいないと感じてしまうという人も多いでしょうが、雪山は天候が急変することが多いわけです。それを踏まえると、25時間券の場合は無理して滑る必要がありません。降雪があった翌日のルスツは朝イチからゴンドラやリフトのファーストチェアを求めて並ぶ人が多いですが、3山あって広いのですぐにバラけてリフト乗車もスムースになり、午前中で身体がヘトヘトになるくらい滑れます。雪も身体もコンディションが整っている時間帯に合わせて滑れることが、25時間券の魅力だと思います。
 

1時間単位で計算されるためその時間内を滑り倒してゴンドラやリフトに滑り込み、その後の滑走中や休憩中は減算されないのでゆっくり過ごせる

 
──どんな人にオススメしたいですか?
 
今シーズンはルスツのリフト券が高くなったという話をよく聞くので、ローカルゲレンデにシフトしてしまうお客さんもいると思います。でも、25時間券を上手く利用すれば休憩時間は減算されないという話や、1時間単位で何本でも滑れるという利便性をお客さんにお伝えすると、反応が大きく変わりますね。
 
ライダーという立場から考えても、パウダースノーに恵まれた翌朝のサイドカントリーはとても素晴らしい。広大なフィールドなので、撮影をしていてもノートラックのパウダーバーンを当てられる確率は高いですし、良質なフッテージが撮れるナチュラルヒットなども点在しています。撮影のようにストイックではなくファンな感じに楽しめるポイントも多くありますので、そうしたポテンシャルの高い山に25時間券のような使い勝手のいいチケットがあることは非常に大きいですね。
 
12月8日(金)までに買えばプラス5時間がついてくる早割みたいな「25時間券+5」もありますので、スノーボーダー、スキーヤー問わずにオススメしています。

 

藤本広海(ふじもと・ひろうみ)
SALOMON EXPERIENCE BASE店長、SALOMON契約ライダー。1983年、北海道・札幌生まれ。スノーボード歴36年、ルスツ歴は幼少の頃から。「今シーズンもケガなく楽しみましょう!」
photo: Akira Onozuka

 

interview + text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
photos: Neil Hartmann

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