COLLABORATE BRANDS
工藤洸平が手掛けるアパレルブランド発のスノーウエア NOMADIK「GRIND」
2022.11.01
本記事では、ゼロから始まったNOMADIKが7年目を迎え、どのような進化を遂げたのか現在進行形を探りながら、チームライダーの小野崎海琳と浅谷純菜のアイデアがふんだんに盛り込まれ、大久保勇利や長澤颯飛が愛用するというオールジェンダーなアイテム「GRIND SNOW WEAR」のジャケット&パンツに迫る。オーナー兼デザイナー兼ライダーの洸平に話を聞いた。
アパレルブランドとしての強いこだわり
アパレルブランドとしての強いこだわり
「カズ(國母和宏)を筆頭にイケてるライダーがそろっているので、おかげさまでウエアは好調です。でも、NOMADIKはあくまでもアパレルブランド。そこはブレないようにやっています。そうしないと、ほかのブランドと変わらなくなってしまうし、面白くないから」
先述した繊維専門商社と提携を始めたことで、「アパレルに関しては来年くらいからクオリティがグッと上がる」と洸平は自信をのぞかせる。しかし、彼自身も人気プロスノーボーダーであるからこそ、どうしてもスノーウエアのイメージがブランドに染みついていく。
「NOMADIKのことをウエアブランドとして認知している人も増えてきました。アパレルはオリジナルで作っているので生地のロスが出るなど商売としては難しいんですが、そこは踏ん張りながらより力を入れていきたいですね」
そして昨秋、大きな一歩を踏み出すことに。NOMADIKは念願のアメリカ進出を果たした。
「もともとスコット(ブラム)やキーガン(バライカ)といったライダーたちにアパレルを渡していたこともあったので、いつかはアメリカでやりたいと思っていました。一緒にブランドを立ち上げたテディ(クー/元プロスノーボーダー)の弟・ケビンがニューヨークに住んでいて、彼に協力してもらいながらアメリカで会社を興してオンラインストアを立ち上げたんです。これからある程度まとまった数量の販売を開始するので、それがどうなるか楽しみですね」
ハイクオリティを求めて進化を続けるウエアたち
ハイクオリティを求めて進化を続けるウエアたち
アパレルブランドとしての姿勢を貫きながら、カズの加入により本格的なスノーウエアづくりがスタートした。
「カズが“作りたい”って言ってくれたことは大きなキッカケでした。ウエアもちゃんと作ろうということになって、アウトドアブランドがどんな生地を使っているのか調べたり、こういう生地だったらストレッチが効いていて動きやすいなど、いろいろと勉強しました。失敗もありましたが、今はクオリティを上げることを最優先して作っています。大手ブランドみたいにはいきませんが、同じ価格帯で比べてもいいものを作っているという自負はありますね」
昨シーズン、カズが手掛ける777のみに採用していた3レイヤーストレッチライトファブリックについて「ぶっちゃけ、カズのウエアの生地は高いんですよ」と笑っていたが、今シーズンは全ラインナップに採用。そうした部分でも、NOMADIKのウエア全体のクオリティが高まっていることを裏づけている。
その中でも、今シーズンのイチオシはGRIND SNOW WEARだ。
「軽くてストレッチが効いているから、動きやすいですね。ウエア特有のテカテカした感じはなくて、しっとりとした質感のカジュアルラインは、まさに私服みたい。街着スタイルがコンセプトなので、フードの取り外しができたり、パウダーガードは付いていません」
GRIND SNOW WEARのデザインを担当したのは、冒頭で述べた女性ライダーふたりである。彼女たちが強くこだわった点は「バギーパンツまではいかない、ほどよいシルエット」だと洸平は教えてくれた。
「太めのシルエットが流行っていましたけど、それよりもシュッとしたストレートシルエットです。トレンドのジョガーを入れて、なるべく飾らないように意識しました。ジャケットもパンツも、生地と生地の切り替えし部分の縫い目に沿ってファスナーを付けてポケットにするなど、なるべくシンプルにっていう部分にはこだわりましたね」
ファーストサンプルに修正を入れ、あがってきたセカンドサンプルを着ながらライダーたちはスノーシーズンを過ごし、そこから最終調整に入るそう。本物のライダーたちからのフィードバックが、NOMADIKの強みである。
「GRINDのパンツに関しては、足首まわりが意外と細くてジョガーもキツめだったので、そのあたりは最終的にだいぶ広げましたね」
こうした一つひとつの積み重ねが、NOMADIK全体のクオリティを高めていくのだ。
ストリートを愛するスノーボーダーへ贈る
ストリートを愛するスノーボーダーへ贈る
GORE-TEXを搭載した高価格帯の高機能シェルが注目される中、NOMADIKのGRIND SNOW WEARは、その真逆をいく。
「山に入りたい人は777やANORAKを着てもらえればいいので、このGRINDはストリートを愛するスノーボーダーのためのストリートウエアとして位置づけています。本州でパークをメインに滑るようなスノーボーダーに着てもらいたいですね。ルックスにこだわって作ったので、これを着てとにかくカッコつけてほしい」
こうしたウエアはどのような過程を経て生み出されるのか。昨シーズン、ウエアづくりにおいて古着のシルエットからインスパイアを受けているという話を洸平から聞いていたが。
「そこは変わらずですね。古着でいい感じのシルエットを見つけてきて、それをウエアに落とし込んでいます。そこからアレンジを加えていくイメージです。インスピレーションを受けた服からウエアの着想を得ているからこそ、新鮮に思われているのかもしれませんね。
クオリティの高いアウトドアジャケットを参考にするようなことは一切なくて、80年代に流行ったジャケットやパンツのシルエットばかりを見ています。この身幅と脇の広さがヤバっ!みたいな感じで、ウエアに落とし込んでいくイメージです」
シルエットだけでなく、素材にも通ずる話がある。GRIND SNOW WEAR JKTのダークブラウンだけ生地が違うのだが、当初はワークジャケットを作りたいという発想から始まっていたので、ゴワゴワした硬い質感の素材でファーストサンプルを作った。
「パンツがゴワついている分にはそこまで気にならないんですけど、ジャケットの首元が硬く感じたので生地を変えました。でも、ダークブラウンだけはこのままでいいんじゃない?っていう感じで残したんです。まさに私服で着れちゃう感じに仕上がりました。他ブランドだったら同じモデルなのに生地が違うなんてこと、まずないんじゃないですかね(笑)」
GRIND SNOW WEARはずばり、ストリートテイストなファッションアイテムである。