BACKSIDE (バックサイド)

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村瀬心椛がW杯最終戦スロープ3位で種目別&フリースタイル部門の年間女王に輝く

2022.03.28

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FISワールドカップ最終戦となるスロープスタイルがスイス・シルヴァプラーナで行われ、村瀬心椛が3位で表彰台を射止めた。昨年10月に開幕したW杯はビッグエア2戦、スロープスタイル6戦が行われ、北京五輪前後のスロープスタイル2戦の出場は回避したものの、出場した全6戦で優勝3回、3位が2回という好成績を収め、スロープスタイルの年間女王はもちろん、ビッグエアとハーフパイプも含めたパーク&パイプの総合チャンピオンにも輝いた。
 
女子優勝はアンナ・ガッサー(オーストリア)。2本目のランで前半のジブ&トランジションをそつなくこなすと、FSダブルアンダーフリップ900インディ→CAB900ノーズ→BSダブルコーク1080メロンで3連ジャンプを攻略して95.4ポイントを獲得。ややポイントが高すぎる印象も受けたが、素晴らしいランだった。

1本目で不本意ながら4位につけ、トップのアンナと2位のローリー・ブルーアン(カナダ)がそれぞれ1本目のランを上回る得点を叩き出して迎えた心椛は2本目。プレッシャーのかかる場面だったが、得意のジブではBSボードスライドからアイテム上での乗せ替えや、270オフの際にグラブを入れるなど安定感あふれる滑りを披露し、3連ジャンプではBS900ウェドル→スイッチBS900インディ→FS1080メロンと、4方向あるスピントリックでもっとも難易度が高いとされているスイッチバックサイドスピンを含むルーティンを見事成功。しかし、87.2ポイントと1本目の自身のポイントは上回ったものの、アンナとローリーには届かず。ジャッジに嫌われた。
 
今大会もJ SPORTSで生放送されており、筆者は解説者として大会直後の心椛の声を聞くことができた。オリンピックイヤーということで多忙なスケジュールをこなしてきたわけだが、すでに来シーズンを見据える貫禄漂うメダリストの姿がそこにあった。
 
「今シーズン目標にしていたすべてのワールドカップで表彰台に乗るっていうことが、(出場した大会では)1戦だけ乗れなかったんですけど、それ以外ではすべて乗ることができたので、今シーズンは先シーズンの自分と比べても違う形になったのかなと思います。次のシーズンもケガなく楽しんで、この調子で表彰台にどんどん乗っていけたらなと思っています」
 
男子では大塚健、長谷川帝勝、飛田流輝の3名が決勝進出を果たしていた。優勝したマーカス・クリーブランド(ノルウェー)がFSトリプルコーク1440ウェドル→BS1620メロン→CAB1620インディという3連ジャンプでのルーティンだったため、予選2位通過の健はそれを見たうえで2本目のランに挑んだ。もちろん、健も1620を2連続で決められる実力は持っている。しかも、もともとハーフパイプを専門に取り組んでいたこともありトランジションは得意だ。

フィーチャー2に用意されていたレギュラースタンスのバックサイドウォールにて、誰も繰り出していなかった高難度技・キャブダブルコーク1080をハーフパイプ選手さながらにトライするも、着地がわずかに足りずに失敗。転倒してしまったため得点は伸びないことを前提としてランを続け、ファーストジャンプでFS720のノーズグラブをスタイリッシュに放った。それを見たとき、戦いは放棄して魅せる滑りに徹するのかと思いきや、残りふたつのジャンプでBS1620メロンからスイッチBS1620ステイルフィッシュをつないで見事成功させたのだ。これは、トランジションでCABダブルコーク1080が成功していれば、間違いなく表彰台の中央に上ったということを意味している。
 
また特筆すべきは、3位に入ったオーストラリアのヴァレンティノ・ギュゼリだ。北京五輪後は主戦場としているハーフパイプの大会がないためなのか、スロープスタイル3戦ともに出場。今大会ではBS1620ウェドルを含む高難度なルーティンを披露して表彰台を獲得した。得意とするトランジションで高さのあるメソッドトゥイークやダブルクリップラーを決めたことも要因だろうが、ジャンプもジブも素晴らしい滑りで魅せてくれた。表彰台の常連であるスヴェン・ソーグレン(スウェーデン)を退けてのこの結果は、とても価値ある内容である。16歳という年齢を鑑みても末恐ろしい存在だ。
 
今シーズンのW杯はこれにて閉幕となる。オリンピックシーズンだったため、例年以上にハイレベルの戦いが繰り広げられた。来シーズンはコロナ次第ではあるが、早ければ夏のニュージーランドで2022-23シーズンが開幕することになるだろう。今大会の決勝は残念ながらDNSとなってしまった16歳の帝勝を筆頭に、同学年の荻原大翔や渡部陸斗らの成長が著しい。今大会3位のヴァレンティノも同学年にあたる。若きライダーたちが台頭してきている中で、4年後のミラノ・コルティナ五輪に向けて世代交代となるのか。今後のW杯からも目が離せない。
 
女子結果
1位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
2位 ローリー・ブルーアン(カナダ)
3位 村瀬心椛(日本)
全結果はこちら
 
男子結果
1位 マーカス・クリーブランド(ノルウェー)
2位 モンス・ロイズランド(ノルウェー)
3位 ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)
10位 大塚 健(日本)
11位 飛田流輝(日本)
16位 長谷川帝勝(日本)
全結果はこちら

photo: FIS SNOWBOARDING

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