BACKSIDE (バックサイド)

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ビッグエア頂点にアジア人初となる中国のスー・イーミン。日本勢も大健闘した北京五輪男子ビッグエア

2022.02.16

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欧米主体で進化を遂げてきたフリースタイルスノーボーディング。ここではバックカントリーやストリートについては割愛するが、競技においてはハーフパイプで國母和宏が世界との壁を取り払い、平野歩夢がそれに続き現在、頂点に君臨する。以外にも戸塚優斗や平野流佳、女子では冨田せな・るき姉妹や小野光希らが国際大会の表彰台の常連である。
 
雪を必要としないジャンプ施設が世界に先駆けて開発された日本では、角野友基を筆頭に多くのライダーたちがビッグエアのスキルを身につけていった。北京五輪のファイナリストである大塚健や國武大晃、女子の村瀬心椛、岩渕麗楽、鬼塚雅以外にもその予備軍がたくさんいるほど、日本のスロープスタイル&ビッグエア種目の層は厚い。
 
しかし、オリンピック種目として2大会目を数える北京五輪ビッグエアを制したのは、中国のシャオミンことスー・イーミンだった。スロープスタイルも含めて、アジア人として初の金メダリストに輝いた。3本のランから4種ある回転方向の右回り(バックサイド/キャブ)と左回り(フロントサイド/スイッチバックサイド)それぞれからひとつずつのベストポイントを合算したポイントで争われた。
 
シャオミンは1本目にFS1800テールでやや着地時に手をつくも89.5ポイントと高得点を記録し、2本目はBSトリプルコーク1800インディを決めて93ポイント。トータル182.5として、1、2本目の合計得点が低い順からの出走となる3本目は大トリを飾ることになる。
 
國武大晃は1本目にBS1800メロンを決めるも、ニーグラブ(グラブしていない手で膝を抱え込むアクション)が減点対象になったのか、82.25ポイントと5回転技としては得点が低かった。2本目にスイッチBS1620インディ・メロンの2グラブで挑むも、若干回転が足りずに手を雪面についてしまい50.25ポイント。3本目はインディグラブをなくしてメロングラブで同トリックを繰り出すと、高い完成度を誇り着地に成功。84ポイントをマークして3位に食い込んだ。
 
残すライダーたちの結果に國武のメダル獲得が委ねられたわけだが、1本目にFS1800インディを決めて89.25と高ポイントをマークしていたモンス・ロイズランドの3本目。BS1620メロンを完璧に決めて82.5ポイント。國武を4ポイント上回る170.25を記録し、惜しくも銅メダルを逃す格好となった。
 
続けざまに2度の大ケガに苦しめられたが完全復活を遂げた大塚健は、北京五輪の大舞台にアジャストさせてきていた。予選でも最高難度トリックのひとつであるCABトリプルコーク1800インディをスタイリッシュに決めていた。
 
決勝1本目は同トリックの着地に嫌われてしまうも2本目、大塚が繰り出したCABトリプルコーク1800インディは完璧に雪面をとらえた。同スピンを得意とするマックス・パロット(カナダ)のそれよりも後ろ足を完璧にポークし、難易度だけでなく表現力も兼ね備えた素晴らしい出来映え。銅メダルに輝いたマックスが94ポイントのところを、大塚は95ポイントと今大会最高得点を叩き出したのだ。
 
勝負となる3本目、メダル圏内を狙うのではなく頂点を狙って繰り出した大技は、FSトリプルコーク1800。しかもテールグラブを入れながら完璧に操ってきた。ソールで雪面をしっかりととらえたのだが、ハードすぎる人工雪に弾かれてしまい万事休す。たらればの話をするべきではないことを百も承知で、これだけは言っておきたい。成功していれば間違いなく金メダルだった。
 
こうして金メダルが確定した最終走者のシャオミンは、FS360で北京の空を優雅に舞い、中国勢として初の金メダルを母国にもたらしたのだ。シャオミンはまだ17歳。同じアジア人として誇りに思う。
 
男子ビッグエア結果
1位 スー・イーミン(中国)
2位 モンス・ロイズランド(ノルウェー)
3位 マックス・パロット(カナダ)
4位 國武大晃(日本)
9位 大塚 健(日本)
全結果はこちら

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