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平野歩夢が圧巻の滑りで予選1位。北京五輪ハーフパイプは日本人男女7名が決勝へ
2022.02.10
昨年8月5日まで本当にスケートボードに専念していたのか。スケートボードで東京五輪出場を果たしたことは言うまでもないが、そうした世界トップクラスの競技レベルにおいて、いわゆる二刀流を経験したことで、スノーボードのライディングにスケートボードで修得した技術が活かされているのだ。北京五輪ハーフパイプ予選で平野歩夢が1位通過を果たし、最終走者として決勝進出を果たした。
もともと卓越していたテイクオフ(踏み切り)の精度がより高まったことで、平昌五輪で繰り出していたFSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260という息継ぎする間もないほどの4連続の大技の高さが全体を通して増しているように映る。予選最後のランとなる2本目では、ラストヒットにFSダブルコーク1080を加えたルーティンを成功させ、93.25ポイントを叩き出した。
特筆すべきは、3ヒット目で繰り出したFSダブルコーク1260の着地直後、大きくバランスを崩したにもかかわらず転倒することなく、BSダブルコーク1260につないだことだ。強くエッジングして体勢を立て直したのだから、当然減速してしまい次のヒットで大技を繰り出すことは難しくなる場面である。さらに言えば、ほかのライダーであれば転倒してもおかしくないほどの状態だった。それでもBSダブルコーク1260を完璧に決めることができたのは、スケートボードから得た技術の賜物なのだろう。
「ボトムに跳ね返されたりして着地が厳しいんじゃないかと思ったときなどの対応力が上がりました」
今年1月に歩夢と言葉を交わす機会があったのだが、このように述べていた。二刀流を経験したことにより、スノーボーダーとして誰もの想像を上回る進化を遂げたのだ。
3位で予選を突破した平野流佳は2本目、スイッチBSダブルコーク1080→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260と、4方向あるスピンをバランスよく散りばめたルーティンで87ポイントを獲得。「自分の滑りができた。決勝ではもっと難度を上げて決めたい」と手応えを感じていたようだ。
昨シーズンの世界王者、戸塚優斗は2本目のランで転倒してしまい6位に甘んじた。今シーズンはファーストヒットでスイッチバックサイドスピンから入っていたのだが、1ヒット目は2本ともFSダブルコーク1440をもってきた。1本目は抑えたルーティンだったが、2本目は2ヒット目のCABダブルコーク1260、もしくは1440狙いだったのか。昨シーズンの常勝ルーティンに戻したかに見えたが、着地に嫌われてしまった。
そして歩夢の弟・海祝は2本目、1本目よりも高さあるエアを連発させた。FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260→BS900→FS1080を決めて77.25ポイントをマークした。「いつもどおりリラックスしていたんですが、スタート前になると兄ちゃんもみんなもいつもと雰囲気が違っていて、それが自分のやる気にもつながったし、夢の舞台に立っているという実感がわきました」とコメント。ソチ五輪での兄の活躍に触発されてから本気でスノーボードに取り組むようになり、わずか8年。兄弟そろってファイナルの舞台で暴れてほしい。
一方の女子は、小野光希が素晴らしいランを2本目で披露。3位につけていた状態で、FS900→BS540→FS720→CAB720→FS540という1本目と同じルーティンをよりハイクオリティに決めた。特にBS540やCAB720といった、テイクオフが難しく高さを出しづらいトリックでのハイエアが際立っていた。83.75ポイントを叩き出し2位通過を果たしたのだ。
冨田せなは1本目、FS540→BS540→FS720→CAB720→FS900→メソッドと教科書どおりのようなルーティンを高さを出しながら決めて75.75ポイントを獲得。2本目はファーストヒットにFS900を繰り出すも、着地時にヒールサイドに乗りすぎてしまい失速。
せなの妹・るきは1本目、FSメロン→BS540→FS720→CAB720→FS540→BSインディで74.25ポイントを記録した。2本目はBS900を入れるなど攻めたが、BS540の着地でミスしてしまいポイントは伸びず。1本目のランが採用された。
今井胡桃は1本目のルーティンは成功させるもポイントが思うように伸びず、2本目に勝負をかけたのだが、ファーストヒットのFS900で着地が乱れてしまう結果に。予選で涙をのんだ。
男子ハーフパイプ予選結果
1位 平野歩夢(日本)
2位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
3位 平野流佳(日本)
4位 ショーン・ホワイト(アメリカ)
5位 ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)
6位 戸塚優斗(日本)
7位 テイラー・ゴールド(アメリカ)
8位 ヤン・シェラー(スイス)
9位 平野海祝(日本)
10位 アンドレ・ヘフリッヒ(ドイツ)
11位 パトリック・バーグナー(スイス)
12位 チェイス・ジョージー(アメリカ)
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女子ハーフパイプ予選結果
1位 クロエ・キム(アメリカ)
2位 小野光希(日本)
3位 ツァイ・シュートン(中国)
4位 ケラルト・カステリェト(スペイン)
5位 冨田せな(日本)
6位 冨田るき(日本)
7位 リュウ・ジャユ(中国)
8位 ベレニス・ヴィッキ(スイス)
9位 エリザベス・ホスキング(カナダ)
10位 ブルック・ドント(カナダ)
11位 ライラニ・エッテル(ドイツ)
12位 チュウ・リン(中国)
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