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平野歩夢が圧巻の滑りでW杯ハーフパイプ2連勝。トリプルコークの行方は?
2022.01.16
今シーズンのコンテストには一切出場していなかった平昌五輪の銅メダリスト、スコッティ・ジェームス(オーストラリア)がついに参戦した欧州の伝統の一戦、LAAX OPEN。スイス・ラークスで開催された今大会は、FISワールドカップとの併催で行われた。
昨シーズンのハーフパイプ王者である戸塚優斗、今シーズンの開幕戦を制した平野流佳、そして、北京五輪での引退を表明したオリンピックで3個の金メダルを獲得しているショーン・ホワイト(アメリカ)も出場。間違いなくハーフパイプ頂上決戦と化した北京五輪前のW杯ハーフパイプ最終戦で、平野歩夢が圧倒的な滑りで優勝を飾ったのだ。1週間前に行われた米カリフォルニア州マンモスマウンテンで開催されたW杯に引き続き、2連勝となる。
ひとり2本のランを行いベストポイントで争われたわけだが、歩夢は1本目、FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080という高難度ルーティンにも関わらず正確無比な滑りを披露。着地がまったく乱れることなくハイエアで5ヒットをつなぎ、93.25ポイントを獲得してトップに躍り出た。
J SPORTSの番組で解説を務めさせていただいていた筆者は大会直後に歩夢と話す機会をいただいたのだが、公式練習中からトリプルコークが飛び出していたようだ。さらに歩夢よりも先に出走した流佳が1本目のランでCABトリプルコーク1440を繰り出して転倒してしまったシーンもあったためか、その余剰を残さなくてはならないための93点台だったのだろう。
1本目のランで2位につけていたショーンの2本目は、FS720→CAB720というルーティンから入り勝負を捨てた。北京五輪に向けて無理をしないということなのだろうか。結果的には2本目でヤン・シェラー(スイス)がショーンのポイントを上回り3位に沈んだ。
流佳の2本目。CABトリプルコーク1440で惜しくも着地に嫌われてしまい、スコッティだけを残した状態で歩夢は2本目を迎えた。出してきそうな予感はしたが、ファーストヒットでFSトリプルコーク1440を繰り出したのだ。DEW TOURで史上初の成功を収めたトリプルコークは、そのとき以上の完成度を誇って宙を舞っていたように映ったが、着地は失敗。大会直後のインタビューでは、1本目のときよりも気温が下がり、雪面が冷えてアイシーな状態になっていたことでエッジが効きづらかったことが転倒の要因だったと教えてくれた。回転自体の手応えとしては十分だったという力強いコメントももらうことができた。
北京五輪に向けての抱負を、歩夢は次のように語ってくれた。
「大会にも慣れてきて、今までの自分よりもレベルアップしながら順調に仕上がってきていると思うので、無理せずに、しかし無理もしながら、北京五輪では自分が納得のいく滑りが決められたらなと思います」
昨シーズンは負けなしの絶対王者として君臨していた優斗は、1本目はスイッチBS1080からつないだBSダブルコーク1260で、2本目は同じくスイッチBS1080で入ると、2ヒット目はBS900と難易度を落としたにもかかわらず転倒してしまった。また、万全を期して出場していたはずのスコッティも、2ランともルーティンを成功させることができずに敗退。
女子で特筆すべきは、高さのあるCAB1080を決めて2位となった小野光希だ。FS900→BS540→FS720→CAB1080→FS540というルーティンを確実に決め、89ポイントをマーク。優勝した女王クロエ・キム(アメリカ)の90.25ポイントに肉迫する結果となった。
「大会で初めてCAB1080を決めることができで、うれしいでいっぱいです。できるかどうか不安もあったんですけど、“絶対に立つ!”という気持ちで自信をもってスタートできてよかったです。北京五輪ではしっかり自分の滑りをしてメダルを獲ります」
17歳ながら、大会直後のインタビューで力強いコメントを発してくれた。
北京五輪開幕まで残すところあとわずかとなったところで、その前哨戦にあたるX GAMESアスペン大会が2月21日から行われる。トリプルコーク合戦となるのか。しっかりと見守っていきたい。
男子結果
1位 平野歩夢(日本)
2位 ヤン・シェラー(スイス)
3位 ショーン・ホワイト(アメリカ)
8位 平野海祝(日本)
9位 片山來夢(日本)
12位 戸塚優斗(日本)
42位 穴井一光(日本)
全結果はこちら
女子結果
1位 クロエ・キム(アメリカ)
2位 小野光希(アメリカ)
3位 ケラルト・カステリェト(スペイン)
4位 冨田せな(日本)
5位 松本遥奈(日本)
9位 今井胡桃(日本)
23位 鍛冶茉音(日本)
全結果はこちら
photo: FIS SNOWBOARDING
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