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五輪シーズン開幕戦のビッグエアで村瀬心椛が圧勝。悲願のワールドカップ初優勝
2021.10.24
ニュージーランド大会がキャンセルされたため、いよいよ開幕となった北京五輪シーズンのFISワールドカップ。今シーズンは各国の代表選考を兼ねているため、一戦一戦が非常に重要になってくる。その開幕戦となったビッグエアがスイス・クールで行われ、村瀬心椛が悲願のワールドカップ初優勝を飾った。
その中身はタイトルに綴ったように圧勝。日中は雪が緩んでいたようでコンディションは芳しくなく、強風の影響により30分ほど遅れてスタートした。SAJ(全日本スキー連盟)スロープスタイル&ビッグエアのコーチを務める西田崇氏によると、女子は360などの低回転スピンでもランディングバーンに届かないほどの状況だったようだ。
筆者は本大会をライブ中継していたJ SPORTSの解説を務めていたため、画面越しに一部始終を見ていたが、風は弱まったとはいえ予断を許さない状況の中でスタート。大会ルールはひとり3本のランを行い、そのうち回転方向の異なるベスト2トリックのポイントの合計得点で争われる。村瀬は1本目からBSダブルコーク1080を放つと、やはり風の影響を受けてしまいナックル部に落ちるというハイリスクなジャンプとなるも、素晴らしいリカバリー力を発揮して成功。87.75という高ポイントを叩き出した。
続く2本目は、1本目にアンナ・ガッサー(オーストリア)とジャスミン・ベアード(カナダ)が決めていたCABダブルアンダーフリップ900では物足りないとばかりに、FSダブルアンダーフリップ900をクリーンに決めて86ポイントをマーク。2本目でBS720を決めて2位につけていたアンナは3本目で逆転を狙いBS1080を大きな放物線を描きながら繰り出すも着地に嫌われ、この瞬間に村瀬の優勝が決まった。
ウイニングランということで低回転スピンをスタイリッシュに魅せてくるかと思いきや、1本目より高さも飛距離も申し分ないBSダブルコーク1080を放った。惜しくも転倒してしまったが、20ポイント以上の大差をつけて優勝が決まっていても、村瀬はさらなる高みを目指したということだ。
大会直後のリモートインタビューでは、16歳らしく喜びを滲ませていた。昨シーズンのW杯ではビッグエア、スロープスタイルともに2位と表彰台を射止めるも、常に「悔しい」という言葉を発してきた村瀬。彼女が狙っているのはすべての大会での頂点のみだからである。
13歳でBSダブルコーク1260を引っさげてX GAMES女王に輝いてから3年あまりが経過。ジュニア世界選手権での優勝はあったが、X GAMESなどのプロ大会も含めて表彰台の中央からは遠ざかっていた。しかし心身ともに成長し、再び女王として返り咲いたわけだ。そう言って過言ではない強さを見せつけてくれた。
もうひとりのファイナリスト、岩渕麗楽は予選を1位通過していたものの3本とも着地を合わせることができず、涙をのんだ。
男子で唯一ファイナルに駒を進めたのは國武大晃。BS1620を決めて予選をトップ通過したものの、決勝では2本目のBS1440を決めるにとどまった。
リモートインタビューでは、やはり風の影響が大きかったこと、1本目も含めて2本目はBS1620を狙いにいった結果として1440に終わってしまったことを教えてくれた。リカバリーで回転数を落としていたということになるが、ノーズからテールに持ち替えるツーグラブをスタイリッシュに成功させていただけに、応用力の高さを証明した。今大会のような悪条件の場合でも力を発揮してくれることだろう。
世界初のスイッチBS1800を決めて話題沸騰中の長谷川帝勝は、公式練習中に左足首を痛めてしまい欠場となった。
女子結果
1位 村瀬心椛(日本)
2位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
3位 ジャスミン・ベアード(カナダ)
7位 岩渕麗楽(日本)
10位 鬼塚 雅(日本)
全結果はこちら
男子結果
1位 ヨナス・ボジガー(スイス)
2位 レネ・リンネカンガス(フィンランド)
3位 スヴェン・ソーグレン(スウェーデン)
7位 國武大晃(日本)
25位 飛田流輝(日本)
28位 荻原大翔(日本)
34位 濱田海人(日本)
DNS 長谷川帝勝(日本)
全結果はこちら
photo: Big Air Chur
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