アスリートのスポンサー契約には資金援助や物品提供など様々な形態があるが、鬼塚雅と星野リゾートとの関係はそれだけで語ることができない。
鬼塚がスノーボードを始めた5歳の頃にキッズ向けのキャンプに参加して滑りのコツをつかみ、その延長線上にあった大会で初優勝したのも、どちらも星野リゾートが運営する福島・アルツ磐梯の地だった。そうした縁から2017年に所属契約を結んだわけだが、その際に鬼塚のほうからオーダーメイドのパークを造ってほしいというリクエストがあった。幼少期にスノーボーダーとしての礎を築き上げたゲレンデに、国際大会で表彰台を争うレベルに成長して戻ってきたということだ。
国際規格のジャンプ台を有するゲレンデが自国にないに等しい日本人コンペティターたちはこれまで、米コロラド州に渡るなど海を越えなければオンスノーで練習することができなかった。だからこそ、「Miyabi Park」と称される世界レベルの練習環境のサポートは何にも代えがたい。
事実、2020年のBURTON US OPENスロープスタイルで3位を獲得したときは、事前に発表されていたコースレイアウトをもとにアルツ磐梯に忠実にトランジションを造成。筆者は現場で鬼塚の滑りを見ていたのだが、ストレートジャンプと比べると苦手とされていたトランジションにもかかわらず、ほぼノーミスでトリックを決めていたのが強く印象に残っている。
このように世界の頂点を目指して挑み続ける鬼塚を、星野リゾートのスタッフが一丸となって支えているのだ。それらを追ったドキュメンタリームービー『GET OVER』の予告編がこちらになる。
本編は9月中旬頃公開予定。乞うご期待。