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生粋のフリースタイラー 岡本圭司が障害を負い転向したクロス競技で世界王者に
2021.04.05
2015年2月、バックカントリーでの撮影中に事故を起こしてしまい右足に麻痺が残る障害を抱えてしまった岡本圭司はクロス競技に転向して北京パラリンピックを目指しているわけだが、見事な仕上がりを見せている。さる4月2日にイタリア・コーレレで開催されたワールドカップ最終戦にて準優勝を飾り、さらに、今シーズンのワールドチャンピオンに輝いたのだ。
「とにか嬉しい。これに尽きます。初日にまったく歯が立たず、その日の夜中までコーチ、サポートチーム、そして選手のみなが映像を見ながら自分の研究に付き合ってくれました。そのすべてが噛み合って、初めてのワールドカップでの表彰台。チームのみなのおかげで立たせてもらったのは間違いないです。そしてここにいるチームに加えて、日本にいる仲間、背中を押してくれてありがとう。北京まであと少し。この最高のチームの仲間全員で最高の舞台へ進んでいきたいと思います。本当にありがとうございました」
今シーズンの戦いを終えた岡本は、このように話している。
かつては東京ドームや札幌ドームで開催されていたビッグエアの国際大会に出場するなど、トリックが高難度化していく過程において若年化が加速し始めていたフリースタイルシーンのトップに君臨し、次なるステージへと進んでいた矢先に、不運が重なって障害を負ってしまった。奇跡的に雪上に復帰するも、自身が生業としてきたフリースタイルの世界では、かつての輝きを取り戻すのが難しく悩まされていた。
そんな活路を見出そうともがき苦しんでいたとき、クロス競技に遊び感覚で参戦してみると、そこには心の底からスノーボードを楽しんでいる障害者たちが多数いた。彼らにとって滑れることは当たり前ではない。そうした熱き想いを持った障害者たちの姿にスノーボードの本質を垣間見た岡本は、北京の舞台を目指す決意をしたのだ。そして現在、彼らのようにスノーボードを心の底から楽しんでいる。
2022年3月、中国・北京の地で行われるパラスノーボード。ぜひ注目していただきたい。