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FIS世界選手権ビッグエアで鬼塚雅が銅メダル獲得。男子は飛田4位、濱田5位と善戦
2021.03.17
ハーフパイプ男子で戸塚優斗が金メダルを獲得したことで日本でも注目が高まっているFISスノーボード世界選手権は、いよいよ最終日を迎えた。X GAMESの開催地として知られる米コロラド州アスペンの地でビッグエアが行われ、女子は鬼塚雅が銅メダルを獲得。男子は飛田流輝が4位、濱田海人が5位と善戦した。
男女ともに3本のジャンプを行い、回転数の異なる上位2トリックの合計得点で争われるおなじみのルールだ。鬼塚は1本目から高難度なCABダブルコーク1260インディを決めて89.75ポイントを獲得すると、2本目はBSダブルコーク1080ウェドルで飛びすぎてしまい回転が余って転倒。5位につけて3本目に挑む格好となった。
逆転を狙った3本目、2本目で転倒した同トリックをクリーンに決めて85ポイントをマーク。この時点で2位にランクインした。しかし、ローリー・ブルーイン(カナダ)がCABダブルコーク1080インディを決めて、1本目のFSダブルコーク1080ウェドル&テールとの合算でトップに立つと、鬼塚は順位をひとつ落としたものの3位をキープし表彰台を射止めたのだった。
1月に行われたX GAMESアスペン大会のビッグエアでは2位。コロナ禍により大会は激減しているものの、2大大会でしっかり成績を残すあたりは、さすが日本ビッグエアのエースである。
バックカントリーフリースタイルのツアー戦「THE NATURAL SELECTION TOUR」の初戦を制するなど、パークだけでなくフリーライディングのスキルも非常に高いゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)が、FSダブルコーク1080メロンとBS1080ウェドルを決めて銀メダルを手中に収めた。
ビッグエア強国・日本からは、村瀬心椛と岩渕麗楽も決勝にコマを進めていた。村瀬は1本目にBSダブルコーク1260ウェドルをなんとか成功させるも、残り2本でFSダブルコーク1080を決めることができず。岩渕は3本とも着地に嫌われてしまった。
男子はマーク・マクモリス、マックス・パロット(ともにカナダ)、マーカス・クリーブランド(ノルウェー)という表彰台の常連ライダーたちが順当に結果を残した。
金メダルを獲得したマークは1本目にスイッチBSトリプルコーク1620ステイルフィッシュを決めて92.75ポイント、2本目にBSトリプルコーク1620ウェドルをメイクして86.5ポイントを叩き出し、計179.25ポイントでこの時点で1位。3本目は2本の合計得点が低い順の出走となるためマークは最終出走となったのだが、そのまま逃げ切った。
ウイニングランとなった3本目はメソッド・トゥイークを繰り出すもバランスを崩して転倒してしまったが、喜びを噛み締めていた。先述したゾーイ同様にTHE NATURAL SELECTOIN TOURの初戦は優勝したものの、スロープスタイル&ビッグエア競技では今季初優勝だったからだ。1月のW杯ビッグエア、今回の世界選手権スロープスタイルはまさかの予選落ち。さらに、X GAMESは新型コロナウイルス陽性のため欠場していた。
精密機械と称されるほど正確無比なスピントリックを繰り出すマックスは、FSトリプルコーク1620ウェドルとCABトリプルコーク1620インディ(スイッチ時もノーマルスタンスのグラブ名で表記)と、同回転同グラブを両スタンスから繰り出して2位となった。
1800バトルと化した今季のX GAMESアスペン大会ビッグエアを制しているマーカスは、3本目にCAB1800インディを完璧に決めて97.75ポイントを獲得。今大会の最高ポイントを記録した。
こうした強豪ライダーたちを相手に、2本目を終えた時点で飛田が2位、濱田が3位につけていた。
1本目にBS1620ステイルフィッシュ、2本目にFS1440メロンを決めていた飛田は3本目、2本目から回転数を1回転上げ、FS1800メロンで逆転Vを狙った。ロンググラブで着地を完璧にとらえたのだが、勢い余って前方に投げ出される格好で転倒。結果論にはなってしまうが、立っていれば金メダルだったと付け加えておこう。
濱田はBS1620メロンを1本目に決めて挑んだ2本目、スイッチBS1620ステイルフィッシュをメイクするも81.25と、トリックの難度を鑑みるとポイントが低いように感じた。決してロンググラブではなかったものの、しっかり回転をコントロールして着地もクリーン。完成度が高くないと判断されたのかもしれないが、前述したマークのスイッチBSトリプルコーク1620ステイルフィッシュのコーク軸も浅かったことから、もう少しポイントが伸びてもよかったように感じた。3本目はさらに完成度を高めようと同トリックを試みるも、転倒してしまい万事休す。
4、5位という結果だけでも善戦と言えるが、それ以上に中身の濃い戦いだった。國武大晃と大塚健は予選で涙を呑んだが、彼らの実力を踏まえればビッグエア日本人男子も女子同様に層が厚くなってきたことは間違いない。残り1年を切った北京五輪へ向けての戦いが、より面白くなることだろう。
女子結果
1位 ローリー・ブルーイン(カナダ)
2位 ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)
3位 鬼塚 雅(日本)
6位 村瀬心椛(日本)
8位 岩渕麗楽(日本)
19位 浅沼妃莉(日本)
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男子結果
1位 マーク・マクモリス(カナダ)
2位 マックス・パロット(カナダ)
3位 マーカス・クリーブランド(ノルウェー)
4位 飛田流輝(日本)
5位 濱田海人(日本)
43位 國武大晃(日本)
44位 大塚 健(日本)
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