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戸塚優斗が完全優勝を飾ったX GAMESスーパーパイプ詳報。平野流佳も3位に
2021.02.01
戸塚優斗が完膚なきまでの滑りを披露して、X GAMESスーパーパイプで初優勝を飾った。タイトルに綴った“完全優勝”については、記事を読み進めていただければ理解できる。
米コロラド州アスペンで開催されているX GAMESは最終日を迎え、男子スーパーパイプがナイターで行われた。まず触れておかなければいけないのは、今大会にエントリーしており復帰戦となるはずだった言わずと知れたスーパースター、ショーン・ホワイト(アメリカ)が大会直前に欠場したこと。公式練習中にボトム落ちしてヒザを捻ってしまいドクターストップがかかったようだ。自身のSNSで報告している。
1名欠けたため26分間に短縮されたジャムセッションは、ひとり4本のランで勝敗が決する。ほかの出場ライダーには失礼な話だが、表彰台争いは先日のLAAX OPEN同様、戸塚、スコッティ・ジェームス(オーストラリア)、平野流佳の3名の争いになることは予想できていた。
まずはスコッティが1本目に、スイッチBSダブルコーク1260→CABダブルコーク1080→FS540→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260を決めてトップに立つ。ちなみに今大会は各ランごとのポイントは公開されていない。
スコッティ1位、戸塚2位のまま3本目のランに突入し、出走順が早かった平野は、スイッチBS1080→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1080→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260を決めて、同級生のライバル、戸塚を押しのけて2位に食い込んだ。
その直後に戸塚は1本目のルーティンをアップグレードさせ、FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1260→スイッチBSダブルコーク1080→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260という、LAAX OPENで昨シーズンまでの王者、スコッティを打破した超高難度ルーティンを完璧に成功。この時点で首位に立った。
今大会はジャムセッションのため最終ランを迎えても出走順は変わらず。そのため、スコッティのラストランを待つ格好で戸塚は最終ランを迎えることになる。これ以上のルーティンがあるかどうか固唾を呑んで見守っていると、これまでとは異なりバックサイドからのドロップインを選択した。大会直後にSAJ(全日本スキー連盟)の村上大輔コーチから聞いたのだが、ここアスペンの地でバックサイドからのドロップインは一度もしていなかったそうだ。
バックサイドの1ヒット目で巨大なメソッド・トゥイークを優雅に決めると、FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1440→FSダブルコーク1260→BSダブルコーク1260という、3年前に同大会で平野歩夢が99ポイントを記録したルーティンを完璧にメイク。平昌五輪で銀メダルを獲得して以降、スノーボードのコンテストに姿を見せていない歩夢を意識してのランだったのか。
最終走者となったスコッティは、1本目のランのラストヒットをFSダブルコーク1440に変えて完璧に決め逆転を狙うも、戸塚のポイントには及ばず2位でフィニッシュ。この瞬間、戸塚のX GAMES初優勝が確定した。
「2本目までにLAAX OPENで優勝したルーティンを決めたかったんですけど、結果的には3本目に決めることができたので、4本目はやりたいルーティンにトライしました。トゥイーク→14→14→12→12ですね。(TBSディレクター: どこかで見覚えのあるルーティンなんですけど)そう……ですね。たしかに。(あのルーティンは)初めてトライしました」
同州カッパーマウンテンの練習中にバック・トゥ・バック1440は成功させたことが一度あったそうだが、すべてつないだのは初。3本目の戸塚オリジナルのルーティンで圧倒的な力を誇示したうえで、さらに3年前の同大会優勝ルーティンを初トライで成功。こうしたことを踏まえて“完全優勝”と表現させてもらった。
平昌五輪以降、金メダリストのショーンと銀メダリストの歩夢が不在のハーフパイプシーンにおいて、王者として君臨し続けてきたスコッティに、昨シーズンのBURTON US OPENを含めると3連勝した戸塚。そして、その戸塚に負けじと急成長を遂げている平野が表彰台を獲得した今大会。
前大会のメダリストたちを脅かす滑りを完成させた戸塚が、来シーズンに開催される北京五輪に向けてどう進化していくのか。余談だが、戸塚は直前の公式練習中にCABダブルコーク1260がリップに引っかかってしまい、危うく選手生命が絶たれてもおかしくないような激しい転倒をした直後、この結果を叩き出したということを付け加えておこう。まだまだ隠し技を持っているようなので、さらなる成長を予感させる。末恐ろしい。
男子スーパーパイプ結果
1位 戸塚優斗(日本)
2位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
3位 平野流佳(日本)
4位 タイラー・ゴールド(アメリカ)
5位 ジョーイ・オケソン(アメリカ)
6位 チェイス・ブラックウェル(アメリカ)
7位 ヤン・シェラー(スイス)
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