アイスランドに出自を持つスノーボーダー、ルナル・ペートゥルは自国の東部に位置する小さな港町・ネスコイプスタズル近郊の山々で撮影するというアイデアを、長きに渡って温めていた。東部アイスランドは独特のレイヤーケーキ状の地層が特徴の山岳エリアであり、美しい風景と自身のライディングスタイルを掛け合わせることを幼少期から夢見ていたのだ。
しかし、この地は厳しい気象条件下にあるため、撮影に挑むためには相当な忍耐力が必要になることはわかっていた。しかも、ここ数十年でもっとも厳しい冬のトップシーズンに撮影を敢行することに。
多くの人々が共感できるようにシンプルなライディングで表現することを目指し、さらに、できるかぎり海が写り込むラインを選んだ。幼少期から憧れていたこの撮影を、よりアーティスティックに彩るためである。そして、美しすぎるフリーライド映画『FJÖRD LINES』が完成した。
バンの中で質素に暮らしながらスノーボードに人生を捧げた男の物語が、ここにある。