BACKSIDE (バックサイド)

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X GAMESを制した世界一のビッグエア王はガンを克服したマックス・パロット

2020.01.26

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米コロラド州アスペンで開催されているX GAMESは4日目を迎え、大人気種目である男子ビッグエアが行われた。日本からは予選を勝ち抜いた角野友基と初出場となる相澤亮が参戦。両名ともにメダルは逃してしまったが、素晴らしいジャンプを披露してくれた。
 
5本のジャンプが許されたジャムセッション形式で行われ、角野は1本目からBSトリプルコーク1620ミュートをパーフェクトストンプ。その後は2本トライしてスイッチBS1620ステイルフィッシュに成功するも、CAB1440はテールとインディとグラブを変えて挑んだがクリーンにメイクすることはできなかった。
 
相澤は1本目にFS1440インディに成功すると、2本目からはBSクワッドコークにこだわった。5回転の大技である1800にミュートグラブを入れながら試みるも、なかなか着地を決めきれず。4本目では90回りすぎたように映ったのだが、それが5本目への伏線だったようだ。なんと、BSクワッドコーク1980ミュートを繰り出したのだ。ノーズに加重した後傾姿勢になってしまい、転倒こそなかったものの両手をつきながらリカバリーする格好になってしまい結果は7位に終わったが、5回転半という前人未到の超大技を繰り出したRyo Aizawaの名前は世界中に轟いたことだろう。
 
優勝はマックス・パロット(カナダ)。以前にも増して、精密機械という言葉がふさわしいほど正確性の高いスピンを連発していた。トリプルコーク1620をCAB、BS、FSと3方向に完璧に操り、CABに関してはスイッチtoスイッチとなる1800も成功させるなど、文句なしの金メダルとなった。昨年大会はガンとの闘病により欠場し、昨夏にノルウェーで開催されたX GAMESビッグエアで優勝を飾り復活を強烈にアピール。昨年12月に行われたAIR+STYLE北京大会でも優勝しているので、早くも今季3勝目ということになるが、やはり本場であるアスペン大会での頂点は格別なものなのだろう。

2位は同じくカナダのマーク・マクモリス。スイッチBS1620ステイルフィッシュ、BSトリプルコーク1620ミュート、FSトリプルコーク1440ミュート、CAB1440ミュート、FSトリプルコーク1440ミュートtoテールと1本も転倒することなく4方向にバランスよく高難度スピンを繰り出したが、あと一歩及ばなかった。
 
3位に食い込んだスヴェン・ソーグレン(スウェーデン)は、高回転が難しいとされるフラットスピンのBS1620ステイルフィッシュや、縦回転が強い3Dスピンのため操れるライダーが少ないトリプルBSロデオ・メロンなどを披露。個性的なトリックは、全40本のジャンプのなかでもひと際輝いていた。

こうしてX GAMESアスペン大会の主要競技は幕を下ろした。結果としては、スーパーパイプ男子で戸塚優斗が銀メダル、ビッグエア女子では鬼塚雅が金、村瀬心椛が銀、岩渕麗楽が銅メダル、スロープスタイル女子では村瀬が銅メダル、そしてスーパーパイプ女子では今井胡桃が銀、松本遥奈が銅メダルと、計7つのメダルを獲得するという偉業を成し遂げたのだ。
 
FIS(国際スキー連盟)がハンドリングしているワールドカップには参加しない国も多いが、X GAMESは全世界中のスノーボーダーが憧れ、その舞台を目指している。上手いだけではなくスタイルを持っている選ばれし実力者にしか参加権利が与えられず、国ごとの参加人数にも制約がないため、事実上の世界一決定戦と言えるだろう。そうした大会でのこの結果なのだということを、改めて知ってほしい。
 
日本人スノーボーダーは本当に強い。先日お伝えしたユース五輪での活躍を踏まえると、2022年の北京五輪に向けてさらに競争が激化し、今以上に強い日本チームとなることだろう。
 
雪とはいえコンクリートのように硬いオンスノーで命を削りながら格闘している彼らを、これまで以上に応援していただきたい。日本スノーボードの未来は明るい。
 
男子ビッグエア結果
1位 マックス・パロット(カナダ)
2位 マーク・マクモリス(カナダ)
3位 スヴェン・ソーグレン(スウェーデン)
4位 レネ・リンネカンガス(フィンランド)
5位 角野友基(日本)
6位 モンス・ロイズランド(ノルウェー)
7位 相澤 亮(日本)
8位 ダーシー・シャープ(カナダ)

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