BACKSIDE (バックサイド)

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村瀬心椛がX GAMESスロープスタイルで銅メダル獲得。日本人初のメダリスト誕生

2020.01.26

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米コロラド州アスペンで開催されているX GAMESは大会4日目を迎え、女子スロープスタイル決勝が行われた。女子ビッグエアで日本人ライダーが表彰台を独占するという快挙から興奮冷めやらぬなか、負傷してしまった岩渕麗楽は欠場を余儀なくされたものの、またしても日本人ライダーが表彰台を獲得。村瀬心椛が銅メダリストに輝いたのだ。
 
スロープスタイル種目での日本人のメダル獲得は初となる快挙。15歳という若さにして、早くもX GAMESでの3つ目のメダルを獲得したということになる。さらに言えば、X GAMESの同大会で複数メダルを獲得した最初の日本人スノーボーダーになった。
 
35分間のジャムセッションで行われ、結果的にはひとり4本のランで争われた。村瀬は1ヒット目のセクションで50-50からBSボードスライドに乗せ替えてノーリーノーズタップという意外性あるトリックで魅せると、FSリップスライド270アウト→FS50-50 to FS180インディアウトやBS180アウトを繰り出し、ジャンプセクションでは安定感のあるCAB540ミュートからBS720ミュートをほぼ完璧に決めており、ジャンプセクションの3ヒット目で勝負していた。
 
1本目は様子見も含めてFS720テール、2本目のランではグラブはミスしたもののFS900、3本目ではFSダブルアンダーフリップ900インディをクリーンに決め、逆転を狙った4本目、2ヒット目のジャンプをBS720ミュートからFS540インディに変更してCABダブルアンダーフリップ900を狙ったと思われるが、回転がリバースしてしまい激しく転倒。こうしたミスは珍しいだけに違和感は大きかったが、大事に至らずにほっと胸をなでおろした。
 
それぞれのランは最下部に埋め込んでいるフルブロードキャストの動画からチェックしてほしい。1本目が4:10~、2本目が19:13~、3本目が34:19~、4本目が51:00~あたりに収録されている。
 
大会を終えた直後、村瀬は次のように語ってくれた。
 
「初めてのスロープスタイルで銅メダルを獲れたことはすごくうれしいんですけど、実は4本目のランでは2つ目のジャンプでFS360をやって、3つ目でBSダブル(コーク)1260をやろうとしたんです。1260をやらないと金メダルは獲れないと思ったので。でも、2つ目で回りすぎちゃって540になってしまい、急遽3つ目でCABダブル(アンダーフリップ)900にしようとして失敗してしまったので、そこは反省しています。ビッグエアと合わせて2つのメダルを獲れたのはうれしいんですけど、やっぱり金メダルがよかったなぁと思います(笑)。やりたい技は出せなかったりしたんですが、メイク率が上がったところは成長した部分だと実感しています。次のスロープスタイルでは1260を入れて、金メダルが獲れるように頑張りたいです」
 
なるほど。想定外のスイッチ着地から繰り出したCABダブルアンダーフリップだった、ということだ。頂点を獲れるスキルは有しており、それに届かなかった理由も明確なだけに、2月末に行われるBURTON US OPENスロープスタイルの舞台では、きっと雪辱を晴らしてくれることだろう。
 
ビッグエアを制した鬼塚は、村瀬と同じく3ヒット目のジャンプの難易度を徐々に上げており、3本目のランではスイッチBS720メロン→CAB540→BSダブルコーク1080ミュートで勝負に挑むも、着地に嫌われてしまった。
 
「初めてビッグエアとスロープスタイルを同時進行でこなしていたので、頭の切り替えっていう部分がしっかりできていなかったと思います。体力面も含めて、それぞれを分けて考えることができなかったことを反省しています。来シーズンも大会に呼んでもらえるのであれば、ビッグエアでもスロープスタイルでも金メダルが獲れるような選手になりたいです」
 
意外にも今大会がX GAMES初出場だった。悔しさを滲ませながも、鬼塚は力強くこのように語ってくれた。
 
優勝は女王ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)。3本目のランで披露した、FS50-50 to BS180アウト→CAB270オン270アウト→BSボードスライド270アウト→FS720ミュート→BS540ステイルフィッシュ→CABダブルアンダーフリップ900ミュート→BSロデオ540メロンというルーティンが今大会のベストだろう。昨シーズン、コンテスト以外の時間の多くを米アラスカやカナダBC州、北海道のバックカントリーでの撮影に費やしてきたわけだが、総合滑走スキルが求められるスロープスタイル競技では、パークでの練習に割ける時間は圧倒的に減ったもののアイテム間のつなぎやリカバリーなどを含めて、プラスに作用しての結果だったのかもしれない。

4本目のラストランで4位に食い込んだヘイリー・ラングランド(アメリカ)は3ヒット目のジャンプでCAB1080を決め、5位のゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)は同じくラストランで、転倒してしまったもののスイッチBS900からFSダブルコーク1080を繰り出すなど、ビッグエア同様にハイレベルの戦いとなった今大会。年間を通して練習できるジャンプ施設の恩恵にあやかり、日本人スノーボーダーがビッグエアを得意としていることは周知の事実だろう。しかし、フリーライディングやジビングを含めたスキルが求められるスロープスタイルにおいては、まだそのレベルには至っていなかった。
 
今大会の村瀬の滑りは、ハーフパイプでも美しい滑りを披露するなどフリーライディング力にも磨きをかけ、幼少期から室内ゲレンデで鍛え上げてきたジビングスキルが実を結んだ結果だ。加えて、BSダブルコーク1260やFSダブルコーク1080などの高難度スピントリックを組み込むことは、すでに射程圏内に入っている。
 
総合滑走力が問われるスロープスタイルの舞台で、村瀬が頂点に立つ日も近い。

女子スロープスタイル結果
1位 ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)
2位 ローリー・ブルーイン(カナダ)
3位 村瀬心椛(日本)
4位 ヘイリー・ラングランド(アメリカ)
5位 ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)
6位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
7位 鬼塚 雅(日本)
8位 エンニ・ルカヤルビ(フィンランド)

photo: TBS

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