BACKSIDE (バックサイド)

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史上最高レベルのX GAMESビッグエア女子で鬼塚・村瀬・岩渕が表彰台を独占

2020.01.24

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まさかこんな日が来るなんて。実力からすればあり得る話ではあるが、かのX GAMESでのこの快挙はまるで夢を見ているようだ。
 
世界頂上決戦と言っても過言ではないX GAMESの本場である米コロラド州アスペン大会において、日本人ライダーが表彰台を独占した。平昌五輪ビッグエア金メダリストのアンナ・ガッサー(オーストリア)、同五輪スロープスタイル金メダリスト、ビッグエア銀メダリストのジェイミー・アンダーソン(アメリカ)ら名だたる強豪ライダーを抑えての結果だ。
 
初日に行われた女子ビッグエアで、鬼塚雅が金、村瀬心椛が銀、岩渕麗楽が銅メダルを獲得するという大偉業を成し遂げた。
 
選ばれし8名のライダーたちによる25分間のジャムセッション。回転方向の異なる上位2トリックの合計点で争われるおなじみのルールだ。
 
今大会は間違いなく過去最高レベル。そうしたなかでの“雅劇場”だった。全5本のランで転倒はゼロ。すべてのランを紹介すると1本目から、FSダブルコーク1080ミュート、BSダブルコーク1080ミュート、初挑戦で成功させたBSダブルコーク1260ミュート、CAB720、そしてラストにはCAB1080をすべて決めたうえでの勝利。完全優勝と言っても過言ではない内容だった。
 

MiyabiOnitsuka

 
「言葉には言い表せないくらい、すごくうれしいです。勝ってこそ価値がある大会だし、絶対勝たなきゃと思っていてプレッシャーも大きかったけど、そのうえで勝てたことが本当にうれしい。日本は強いですね。そのなかで、次世代の追い上げのおかげで私も成長できているのでありがたいと思います。ふたりともすごく性格がいいし、背中を押してくれる存在。ライバルとして尊敬しています。明後日のスロープスタイルでも金メダルが獲れるように練習したいですね」
 
大会直後にも関わらずすでに次なる目標に向けて、鬼塚は力強く話してくれた。

2位の村瀬もすべてのエアを成功させた。BS900テール、BSダブルコーク1080ミュート、FSダブルアンダーフリップ900インディ、BSダブルコーク1260ミュート、FSダブルコーク1080ミュートを決め、上位トリックだけを見ると差はないように感じるが、グラブ時間の長さや完成度で鬼塚に軍配が上がった。
 

 
「前回のX GAMES(ノルウェー)でも2位だったので、今回も同じ結果ですごく悔しいです。みんな攻めていたので、これまで以上にレベルが上がっていると感じ、1260を出さないと勝てないと思って出しました。次のスロープスタイルでは金メダルを獲りたいです」
 
13歳で初出場し優勝を飾ったノルウェー大会から1年半あまりが経過。村瀬はまだ15歳。この悔しさをバネに、さらなる成長を遂げるに違いない。
 
岩渕は3本目に繰り出したFSダブルコーク1080ミュートで転倒した際に左腕を負傷。痛々しい姿で表彰台に上がっていた。しかし、同トリックを5本目に成功させるという強靭な精神力を魅せつけてくれた。さらに、1本目に決めたBSダブルコーク1080ミュートも完璧だった。
 

 
「正直悔しい気持ちのほうが強いです。今回はすごくレベルが高くて、同じ日本人のレベルもさらに高かったからプレッシャーが大きかったけど、大会前からふたつのダブル(コーク)で1080を出すという目標をしっかり達成できたのですごくよかったです。雅ちゃんと心椛ちゃんの刺激が強かったから大会中もプッシュされて、FSダブルコーク1080を初めて成功できたんだと思います。次の目標は2方向の1260、もしくはトリプル(コーク)をやりたいです」
 
ケガや恐怖心を乗り越えてつかんだ大技。成績以上に今大会で得た経験値は計り知れないくらい大きいのだろう。
 
3名が口を揃えて言うように、とてつもなくレベルが高かった女子ビッグエア決勝。女王アンナは最初から自身が持つ最大の武器、CABトリプルアンダーフリップ1260を成功させないと勝てないということを知っていただけに、4本トライするがすべて転倒。ジェイミーもFSダブルコーク1080の着地に嫌われた。大会中、終始彼女らの表情に焦りが色濃く映し出されていたのが印象的だった。
 
ヤマトナデシコたちは世界最高峰の舞台で、その実力を遺憾なく発揮した。あと2年あまりはあるものの、2022年に開催される北京五輪で、彼女たちが再び表彰台を独占するのも夢ではない。

女子ビッグエア結果
1位 鬼塚 雅(日本)
2位 村瀬心椛(日本)
3位 岩渕麗楽(日本)
4位 ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)
5位 ローリー・ブルーイン(カナダ)
6位 クラウディア・メドロバ(スロバキア)
7位 ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)
8位 アンナ・ガッサー(オーストリア)

photos: Daniel Honda

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