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Kazu Kokubo

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國母和宏率いる映像表現にかける男たち。STONP & INK 東京プレミア潜入ルポ

2019.10.09

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2019年10月4日、東京・原宿にスノーボーダーが溢れた。
 
昨年12月、スノーボード界のアカデミー賞に位置づけられる授賞式においてRIDER OF THE YEAR(最優秀年間ライダー賞)を獲得し、さらに、主演・監督を務めた自身の名を冠する映像作品『KAMIKAZU』がMOVIE OF THE YEAR(最優秀年間ムービー賞)に輝くなど、世界一のスノーボーダーに登り詰めた男。そう、言わずと知れたカズこと國母和宏がプロデュースするふたつの映像プロダクションによる合同試写会が行われたのだ。
 
ひとつは、2015年まで5年に渡り映像制作を行ってきた日本最強クルーとして名高いSTONPである。その活動は一時休止していたものの昨年、小川凌稀と戸田真人のダブル主演作『OG CHEESE』を3年ぶりにリリース。しかし、クルー全体としてよりも個々の活動に重きを置いていたことから、以前のような確固たる存在感は少し影を潜めていた。
 
もうひとつは、日本の才能あるヤングガンたちにチャンスを与えるべく、また、国内の映像文化を絶やさないために、カズ自らが手塩にかけた若手ライダーたちをフォーカスするINK PRODUCTIONだ。オリンピックなどで活躍するコンペティターも名を連ねているが、撮影経験が乏しいライダーたちが多いだけに、映像作品としては未知数である。
 
さらに、この数年の間に人気を博していたSCLOVERやHYOWDが映像制作を休止。スノーボードに限った話ではないが、スマートフォンが台頭し動画共有サイトが主流となった今、ムービーの配信方法は変化を余儀なくされ、それに伴いコンテンツの見直しも迫られている。
 
こうした外的要因も踏まえて試写会場へ足を運んだわけだが、会場が近づくにつれて冒頭で述べた印象を強く受けた。金曜夜とはいえ、明らかにいつもの原宿とは雰囲気が違う。スケートボードを手にした“それっぽい”ヤツらを多く目にしたからだ。
 
そして、オープンから少し遅れて会場に入ろうとするも、エントランスは長蛇の列。一度諦めて外に出てしまったほど。会場となったギャラリースペース・OPEN STUDIO HARAJUKUは多くのスノーボーダーはもちろんのこと、土地柄なのかカズの影響力なのか、ストリートやクラブシーンに精通していそうなパーティーピープルも多数来場。正直なところ、映像をゆっくり観ようなんて気になれないほどのすし詰め状態だった。
 

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STONPはもちろん、INKに対する大きな期待感の表れだろう

 
この東京試写会のオープン前、弊誌用にライダーインタビューも行っていたのだが、INKクルーは設営など準備に追われていた。関係者に話を聞くと、彼らにとっては初のプレミアということもありソワソワした様子で、ライダー同士の挨拶もほどほどに作業を手伝っていたようだ。
 
設営を終えてひと足先に乾杯を済ませると、お酒がまわってきた頃にはすでに会場はパンパン状態に。そうしたタイミングで筆者も会場に足を踏み入れていたわけだ。
 
INKクルーは自身の映像チェックはしているものの、まだ誰も作品を通しでは観ていなかった。当然ながら仲間たちのパートが気になるようで、ワクワクしている気持ちがクルー全体を包んでいたそうだ。
 
KIDD BLAZZのDJプレイで場が十二分に温まったところで、まずは『INK』の上映がスタート。美しいフッテージと素晴らしいサウンドとのコラボレーションに、会場全体がのめり込んでいく様子が手にとれた。「映像が流れてる間の盛り上がりは鳥肌モノでした」とINKのInstagramにポストがあったように、場内は興奮のるつぼと化した。
 
上映後、出演ライダーたちがステージに上がってオーディエンスに挨拶する流れだったのだが、興奮を抑えきれずにハグを繰り返すクルー。達成感に満ち溢れ、お互いをリスペクトし称え合う姿がまぶしかった。
 

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こうした経験を積むことで、プロスノーボーダーとしての意識が高まっていくに違いない

 
 

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筆者は出遅れて後方にいたのだが、ぶっちゃけほとんど観れなかったという……(涙)

 
ただ、それぞれ悔しさもあったようだ。初めて本格的なシューティング活動を行ったライダーが多いだけに、手探りのシーズンを過ごしてきたのだろう。「もっとやれた」──そんな想いが芽生えたことで、きたるシーズンに向けて彼らの闘争心に火がともった。カズに対する感謝の気持ちを忘れることなく、この冬も「またやろう」と誓い合うのだった。
 

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力強く舞台挨拶をするINKクルー。左から國母和宏、高橋福樹、大久保勇利、高橋龍正、久保田空也、大友寛介、片山來夢、五十嵐顕司、玉村隆、佐藤正和

 
INKでボルテージが上がった会場に、STONP最新作『HIDANE』は刺激が強すぎたのかもしれない。内容はDVDをご覧いただきたいので割愛するが、そのハイクオリティなフッテージの数々に場内は歓喜に沸いていた。
 
「STONPはこんなもんじゃない」
 
これはINKの上映直後にカズの口から発せられた言葉。スタートを切ったばかりのINKクルーに対して大きすぎる背中を示した格好だ。加えて、最高潮の盛り上がりとともにリスタートを切ったSTONPクルーに発破を掛ける意味合いも含まれていたのかもしれない。さらに言えば、この会場に足を運んでくれた多くのスノーボーダーたちに向けて、底なしの期待感を抱かせる名言となったことだろう。
 
工藤洸平、小川凌稀、戸田真人、長谷川篤、そしてカズが出演したSTONPはまだ完全復活ではない。世界レベルで魅せられるライダーの数が現時点では足りていないのだ。INKから這い上がってきてほしい。そんな可能性を示唆したメッセージだったのではないか。
 
その後は東京に続いて、5日に名古屋、6日に大阪、8日に福井で行われた試写会も大盛況のうちに幕を下ろした。STONP&INKクルーによる全国プレミアツアーは、まだまだ続く。
 
PREMIER TOUR 日程
10月10日(木) 富山・富山「HOTORI」
10月11日(金) 埼玉・入間「DOPE BOARD BASE」
10月12日(土) 宮城・仙台「CLUB SHAFT」
10月13日(日) 新潟・村上「村上市スケートパーク」
10月18日(金) 北海道・旭川
10月19日(土) 北海道・札幌
11月1日(金) 東京・池袋
※各会場の詳細はSTONPまたはINKのInstagramにて随時公開

text: Daisuke Nogami(Editor in Chief) photos: Atwosee

 

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