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クロエが敗れる大波乱。史上初のダブルが飛び出したUS OPEN女子ハーフパイプ決勝
2019.03.03
米コロラド州ベイルで開催されているBURTON US OPENは最終日を迎え、女子ハーフパイプ決勝で大波乱が起こった。3連覇中の絶対女王クロエ・キム(アメリカ)が、FS1080とCAB1080を成功させたにも関わらず敗れたのだ。
優勝したのは女子ハーフパイプ史上初のダブルクリップラーを決めたマディ・マストロ(アメリカ)。同大会での初優勝を飾った。
ひとり3本のランを行いベストランが採用されるわけだが、1、2本目はミスしていたので背水の陣の挑んだ3本目。メソッド→FS540ステイルフィッシュ→BS540ステイルフィッシュ→FS720インディ→ハーカンフリップ・ステイルフィッシュと抑え気味のルーティンかと思いきや、ラストヒットでダブルクリップラー・インディを決めて84.74ポイントを叩き出し、この時点でトップに立った。
ランを終えたライダーたちはスノーモービルによりスタートエリアへ運ばれるのだが、モービルが待機している場所までは少し登りがあり、両脇を男性たちに支えられなければ登れないほどのケガを負っていたクロエ。この状態でルーティンは控えめながらもセミファイナルをトップ通過していたわけだから、頭が下がる。
あとがなくなった3本目、そのケガを微塵も感じさせないほどの素晴らしいライディングを披露してくれた。メソッド→FS1080テール→CAB900ステイルフィッシュ→スイッチBS540ミュート→CAB1080と、ラストのCAB1080ではノーグラブ、さらに言えばバック・トゥ・バック1080を繰り出すことはできなかったものの、高難度かつ独創的なルーティンを成功させた。しかし、84.62ポイントと、マディにわずか0.12ポイント及ばず。女王陥落の瞬間だった。
2本目の時点でトップに立っていたツァイ・シュートン(中国)も見事な滑りを魅せてくれた。FS900インディ→BS540ミュート→メロンエア・トゥ・フェイキー→CAB720メロン→FS720インディ→CAB900メロンを決めて、2本目のランが83.57ポイントを獲得。スタイルあふれる個性的なルーティンだったが、逆転を許してしまった。
日本の松本遥奈と冨田せなは、FS900を組み込んだルーティンを成功させたものの、パーフェクトランでも表彰台には届かなかったため、両者ともにFS1080を取り入れたルーティンにチャレンジするも、決めることはできなかった。しかし、攻めに転じた彼女たちの気迫を間近で感じ、この大会を通じてさらに成長した瞬間を垣間見ることができた。
このように1080はもちろん、19歳のマディがダブルクリップラーを成功させたことで、女子ハーフパイプはネクストステージへと進化を遂げた。18歳のクロエが女王に返り咲く条件は、すでに完成させているFSダブルコーク1080をメイクすること。こうしたジャッジが下されたということなのだろうか。
女子ハーフパイプ・ファイナル結果
1位 マディ・マストロ(アメリカ)
2位 クロエ・キム(アメリカ)
3位 ツァイ・シュートン(中国)
4位 アリエル・ゴールド(アメリカ)
5位 冨田せな(日本)
6位 松本遥奈(日本)