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NEWS
全国からアップカマーが集結したジブバトル日本予選「BURTON QUALIFIERS」
2019.02.04
ローカルがざわつくほどの猛吹雪予報だったのだが、世界の舞台を目指すアップカマーたちの気迫が勝ったようだ。さる1月26日、アップカマーにチャンスを提供するべく世界6カ所で開催されているジブバトル「BURTON QUALIFIERS」の日本予選が、長野・エイブル白馬五竜にてナイターで行われた。
性別問わず、オープンクラスと15歳以下クラスに分けられジャムセッションにより争われる本大会。アメリカで3カ所、カナダで1カ所、そして初開催となった日本と中国で各1カ所の計6カ所のスノーリゾートでセミファイナルという名の予選が行われ、日本からは各クラスの優勝者が3月23日(土)にアメリカ・ペンシルベニア州に位置するセブンスプリングスで開催されるファイナルに招待されるというもの。その際の航空券と滞在費もサポートされ、セミファイナルの優勝者はもちろん、2、3位にも賞金が授与される。そのうえでエントリー費は無料。なんとも太っ腹であり、夢のあるドリームコンテストなのだ。
総勢60名近くの参加者、そして保護者たちがライダーズミーティングの会場に集まると、リラックスした雰囲気ながらも真剣な眼差しで臨むアップカマーたちが多数。下剋上を狙おうという意気込みが、ひしひしと伝わってくる。そしてジャッジには、BURTONライダーの高橋龍正も加わることに。15歳以下クラスは40分、オープンクラスは60分のジャムセッションとなるが、全体のアベレージが審査対象になるとアナウンスされた。持ち技のバリエーション、ルーティンの組み立てが勝敗を決するということだ。
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キッズから社会人まで全国からジバーたちが一堂に会した
気になるコースだが、左右2レーンに分かれていて、コース上部から左レーンは1セクション目がストレートレール、2セクション目はフラットレール×2、そして独立したダウンレールを1本用意、3セクション目はダウンレールとなっており、右レーンはアップレールとキャノンレールが縦に連なり、前者は左レーンの1セクション目と2セクション目の間、後者は2セクション目と3セクション目の間とテレコに配置されている。とは言え、アイテムの間隔はかなりタイトなので、両レーンをヒットさせるのは至難の業だろう。
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1セクション目のストレートレールは写っていないが、このようなコースレイアウト
夕方は猛吹雪に見舞われていたのだが、日が沈みナイター照明が灯ると、降雪は予想よりも弱い。まずは15歳以下クラスのジャムセッションからスタートした。
1080スピンを3方向操る11歳ライダーとして弊サイトで紹介したこともある長谷川帝勝は13歳となり、ダウンレールでスイッチFSボードスライド270オフやFSボードスライド270オフなどを軽快に決めて一目置かれる滑りを披露。
しかし、上には上がいる。トップ出走で身体が大きかったので目立っていた15歳の大坪修三郎が、1セクション目のストレートレールでFS180オン・スイッチBS360オフ、2ヒット目でFS50-50・トゥ・BSノーズスライド・プレッツェルオフ、3ヒット目のダウンレールでスイッチBSテールスライド270オフなどをスムースに決め、見事優勝を飾った。
「アメリカに行きたいという気持ちがすごくありました。自分ができる技がしっかり決められれば2位以内には入ると思っていて、結果として優勝できたのでよかったです」
表彰式直後にこう語ってくれた大坪。その実力もさることながら、周囲をしっかり見渡して冷静にジャムセッションに挑むという試合巧者ぶりは、すでに大物を予感させる。
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ビブナンバーどおりNo.1を勝ち取った大坪修三郎
オープンクラスでは熾烈なるジブバトルが展開。後半戦は降雪が強くなり視界が悪くなる場面も見られたが、ノーゴーグルで挑んだ石原晴菜の滑りは目を見張るものがあった。スタイリッシュなFSノーズスライドなどで会場を沸かせるも、女性部門は用意されていなかったため入賞ならず。
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ストリートスタイル全開で攻めていた石原晴菜
先日、弊サイトでも紹介したのだが、和製スコット・スティーブンスと言っても過言ではないオリジナリティあふれるフルパート動画が世界中のメディアに取り上げられた島方啓輔は、ワンフットなどを織り交ぜた独創的なラインを披露。6位入賞を果たした。
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スタイリッシュなワンフットが好印象だった島方啓輔
そして3位には、BURTONチームの宮澤悠太朗が輝いた。フラット・ダウンレールのダウン部を狙って鋭角なラインどりからBSリップスライド180オフを繰り出すなど、難度とスタイルを兼ね備えたトリックを連発。「ケガをしてから初めてのイベントだったので、どれくらい身体が動くか試しながらの参加でした。コースが楽しかったのとジャムセッションでテンションが上がり、いろんな技にトライしましたね」と順調な回復ぶりをアピールしてくれた。
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まだ完治していないケガを微塵も感じさせない宮澤悠太朗
プロとして一線を退いたが、元STONPクルーである阿部祐麻のライディングスキルは驚異的だった。タイトなセクションながらも縦横無尽なラインを描き、右レーン1セクション目のアップレールでBSノーズスライド270オフを放つと、2セクション目のキャノンレールではボードスライドを披露。通常であればこれで終わりなのだが、阿部はそこからサイドの法面に着地し、左レーンのダウンレールをヒットするなど、まさに自由すぎる卓越したラインどりでオーディエンスをアップリフティング。「最大でも3アイテムしかコスれないって聞いていたので、絶対に4アイテムはコスりたくて(笑)。ほかの人とは違うラインで攻めました」と言うように、唯一無二のライディングで強烈にアピールしてくれた。
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オーディエンスを楽しませる奇想天外なライディングを魅せた阿部祐麻
そして、栄えある優勝は飛田流輝。FISワールドカップなど世界大会を転戦しているだけあり、トリックのキレ、そして安定感、どれをとっても群を抜いていた。ストレートレールでの正確性の高いハーフCABオンBS360オフや、フラット・ダウンでのFS50-50・トゥ・BSボードスライド270オフなどを決め、日本人ライダーとして初となるBURTON QUALIFIERSファイナル出場権をつかみとった。
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コンテストで鍛え抜かれた技術力と精神力でアメリカ行きの切符を獲得した飛田流輝
「雪が降っていて難しいコンディションだったんですけど、自分のやりたいルーティンができてよかったです。1本目からフラット・ダウンで、ボードスライドから50-50、そして360アウトを気持ちよく決めることができてモチベーションを上げられたのがよかったかなと思います。ファイナルでも自分の滑りを全力で出せるように精一杯やってきます」と力強く語ってくれた飛田。
こうして日本初開催となったBURTON QUALIFIERSは幕を下ろした。これまでBURTON RAIL DAYSなどトッププロが参加する国際大会を開催してきた同ブランドが、アップカマーにフォーカスを当てた意義は大きい。こうしたグラスルーツ的なコンテストを盛り上げていくことで、シーン全体が活性化されていくのだろう。
BURTON QUALIFIERS 結果
オープンクラス
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1位 飛田流輝
2位 阿部祐麻
3位 宮澤悠太朗
4位 榎本遼太
5位 福田純平
6位 島方啓輔
15歳以下クラス
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1位 大坪修三郎
2位 長谷川帝勝
3位 松岡秀樹
4位 加藤桔平
5位 石田英杜
6位 宮村結斗
photos: Akira Onozuka