BACKSIDE (バックサイド)

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KAMIKAZU PROJECT@マンモスマウンテン前編「すごいメンツがやってきた」

2018.05.25

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5月のカリフォルニアにすごいメンツがやってきた。マンモス・ヨセミテ空港に降り立ったのは、オレゴン州マウントフッドの強烈な日差しで真っ黒に日焼けした國母和宏、佐藤秀平、工藤洸平と、日本からロサンゼルスで彼らと合流した平野歩夢の4名。こんな豪華なメンツがそろうと、日本のライダーという枠を飛び越えてスノーボードの聖地・マンモスマウンテンもざわつく。

 

大物たちがやってきた理由

 

MammothAirport

(左から)歩夢、カズ、秀平、洸平という豪華な顔ぶれがマンモスに到着

 
なぜ、この時期に彼らが集結したのか。その理由はカズの新プロジェクト「KAMIKAZU PROJECT」の撮影のためである。詳細はまだ明かされていないのだが、世界最大手メディアとして知られるTRANSWORLD SNOWBOARDINGから今秋発売予定のムービーらしい。自身の名を冠した映像作品が世界中に発信されれば、日本人スノーボーダーとして前人未踏の快挙である。
10代の頃から日本を飛び出して世界のスノーボードシーンの最前線で活動してきたカズ。業界の表も裏も見てきた彼にしか表現できないものが、きっとある。
このプロジェクトの終盤に登場した歩夢の存在。その理由や経緯、そしてカズの企み。誰もが知りたいと思うであろうことを、思い切ってカズに訊いてみることに。ためらいも迷いもなくカズの口からとめどなく出た言葉は、私が用意していた質問のいくつかが必要なくなるほど説得力があった。
 

彼らにとってのスノーボードとは?

 

Halfpipe

撮影中のヒトコマ

 
5月半ばのマンモスマウンテン。日が長くなり、春の陽気と冬の名残りの寒さが入り混じる。今シーズンの北米リゾートはどこも雪が少なく、カリフォルニアもその例外ではないが、マンモスマウンテンにはこの時期に整備されたパークとハーフパイプが常設されている。
「パイプのシューティングのためにマンモスに来たんだ。この時期、ほかにはどこにもいいパイプはなくて」
マンモスも今シーズンは雪の減りが早い。メインパークのパイプもキッカーも、だいぶサイズダウンしてきている。私は少し心配になった。歩夢くん、このパイプでいいのだろうか……?
平昌五輪で銀メダルを手にした彼の姿は、記憶に新しいというより今もなお、日本を感動と興奮の渦に巻き込んでいる。
5月に入ってから、マンモスには新たに完璧なパイプとパークが出現。そこはアメリカチームやキャンプ用の貸し切りエリアだった。オリンピック女子ハーフパイプ金メダリストのクロエ・キムをはじめ、アメリカのトップアスリートたちが練習していた。カズらはそのエリアで撮影することが許されていた。にも関わらず、前半に彼らが撮影していたのは一般開放されたメインパークのパイプ。
サイズダウンし、ハイシーズンに比べて整備も甘い。そんなパイプで彼らは水を得た魚のように、とても楽しそうに自由に飛び回っていた。歩夢は空中へ驚くほどの高さまで飛び、秀平や洸平はスタイリッシュなスラッシュを決める。
彼らにとってスノーボードは表現のひとつであり、自由なものなんだと思い知らされる。回転数やエアの高さだけで測れるものではなく、人を魅了する滑りというものは本当のところ何なのか。彼らの滑りはそれを具現化していた。完璧なアイテムなど彼らには必要ない。自分たちが表現できる場所を必要としているだけなのだ。
 

上手さだけでなく“生き様”を見て選ぶ

 

OnTheLift

リフト上では何が語られているのだろう。カズの表情からリラックスした雰囲気が伝わってくる

 
KAMIKAZU PROJECTの出演者には世界トップのものすごいメンバーの名が並んでいる。カズのプロジェクトなので彼のお眼鏡に適うことが出演条件になるのだが、いったいどうやって選んでいるの?
「スノーボードが上手いヤツは腐るほどいる。上手いだけで魅力がなければ、オレは絶対にそいつの滑りのムービーなんて見ない。バックグラウンド、育ってきた環境、ライフスタイルが大事なんだ。それが滑りに出るから。魅力的なライダーでなければ、人の心は惹きつけられないし、伝えられないから。その人の生き様を見て選んでるんだ」
 
つづく

text + photos: Yukie Ueda

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