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17歳の大塚健と13歳の村瀬心椛が世界の頂点に。X GAMESビッグエア速報
2018.05.20
ノルウェー・オスロで開催されているX GAMESのビッグエア種目が先ほど幕を下ろし、男子は大塚健が、女子は村瀬心椛がそれぞれ金メダルを獲得した。ビッグエアの強豪ライダーが世界中から招待されて行われた事実上の“世界一決定戦”において、日本人の若手男女が優勝を飾ったのだ。女子ビッグエアが正式種目に採用されてからの歴史は浅いが、ハーフパイプやスロープスタイル種目を含めても、日本人男女の優勝はX GAMES史上初の快挙。さらに言えば、世界の名だたるコンテストにおいても初となる偉業である。
ひとり3本のランを行い、回転方向の異なる2トリックの合計得点で争われた今大会。先に行われた女子ファイナルで村瀬は2本目に、BSダブルコーク1080を決めて会場を大きく揺らした。45.66ポイントをマークすると、ラストとなる3本目で世界中に衝撃が走ることになる。
女子ビッグエア史上初となるBSダブルコーク1260に成功したのだ。当サイトでもお伝えしているように、村瀬が世界で唯一このスピントリックを操れることはスノーボードに熱心な読者であればご存知だろう。しかし、13歳の日本人ライダーがそれに成功したという事実を目の当たりにした海外ライダーや実況、そして目の肥えたビッグエア大国ノルウェーのオーディエンスは驚嘆したに違いない。着地時に両手を雪面に触れてはいたものの体重を預けてのリカバリーではないため、ほぼパーフェクトと言える49.66ポイントを叩き出した。
フロントサイドスピンの29ポイントと合算して計78.66ポイントとなり、2位以下に5ポイント以上の差をつけての完勝となった。これはフロントサイドスピンに磨きをかければ、世界中の誰の追随も許さないという宣戦布告でもあるわけだ。衝撃的なX GAMESデビューを飾ったことを意味している。
続く男子では、大塚が1本目からFSトリプルコーク1440をクリーンにメイク。世界トップレベルのコンテストシーンではトリプルコーク以上の高難度3Dスピンがないと勝てないわけだが、1440スピンを前提に考えるとバックサイドスピンのほうが回転力を生みやすいうえに着地時に視界が開けてくるため多発していることはご存知だろう。だからこそ45ポイントという高ポイントを記録。こうした背景から大塚のFSトリプルコークには大きな価値を見出だせるのだ。
さらに続く2本目ではスイッチからの同トリックであるCABトリプルコーク1440をパーフェクトストンプ。ブラインド方向へのスイッチ着地になるため難易度は非常に高いのだが、着地時のボードの合わせ方やスタイルから貫禄さえ感じた。
X GAMESビッグエア種目では表彰台の常連である角野友基は8位、平昌五輪ビッグエア4位の岩渕麗楽は5位とそれぞれ涙をのみ、早くも世代交代をうかがわせる結果となった。
開催地ノルウェーの英雄であるマーカス・クリーブランドを2位に従え、カナダの強豪マーク・マクモリスやマックス・パロット、平昌五輪ゴールドのセバスチャン・トータントを抑えての大塚の優勝は素晴らしすぎるリザルトだ。
女子では平昌五輪金メダリストのアンナ・ガッサー(オーストリア)が敵なしと言われていたわけだが、彼女を上回る1260スピンを決めて頂点にたった村瀬。13歳という年齢を鑑みれば、結果以上に恐ろしい存在だということを世界中のコンペティターたちが肌で感じたことだろう。
ニューヒーローとニューヒロインが日本から誕生した今大会をもってして、17-18シーズンの全コンテストが終了。来シーズンに向けて大きな弾みをつける最高の結末となった。
男子結果
1位 大塚 健(日本)
2位 マーカス・クリーブランド(ノルウェー)
3位 クリス・コーニング(アメリカ)
8位 角野友基(日本)
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女子結果
1位 村瀬心椛(日本)
2位 ジュリア・マリノ(アメリカ)
3位 エンニ・ルカヤルビ(フィンランド)
5位 岩渕麗楽(日本)
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photos: X Games Norway