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平野歩夢がUS OPENで悲願の初優勝。片山來夢は2位で日本人ワンツーフィニッシュ
2018.03.11
36周年を迎えた伝統の一戦・BURTON US OPENは最終日を迎え、メインイベントとなる男子ハーフパイプで平野歩夢が悲願の初優勝を果たした。2011年の12歳時に初出場し、2013年は2位、2015年は3位、そして今シーズン、X GAMESアスペン大会の初優勝に続いて世界最高峰と位置づけられているプロ大会で2冠を飾った。
2位には片山來夢が入り、同大会では初の表彰台を獲得。これにより、2011年に同大会同種目で國母和宏が優勝、工藤洸平が2位になって以来、日本人ライダーがワンツーフィニッシュを飾ったことになる。3位には優勝候補の一角、スコッティ・ジェームス(オーストラリア)が入った。安藤南位登は安定したライディングを披露して8位に。
ひとり3本のランからベストポイントで争われたファイナルで歩夢は2本目、BSインディ→FSダブルコーク1440→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260、そして1本目ではミスしていたBSダブルコーク1260をラストヒットで決めて89.62ポイントを叩き出し、トップに立った。

会心の滑りを披露し、自身の滑りを振り返りながらポイントの発表を待つ歩夢
同じく2本目、來夢はBSメソッド→FS1080→CABダブルコーク1080→FS900→BSダブルコーク1260→FSダブルコーク1260を決めて86.75ポイントをマーク。2本目を終えた時点で2位につけたのだった。

rider: Raibu Katayama photo: BURTON
3位にはスコッティがいたので、3本目のランはポイントの低い順での滑走となるためスコッティ、來夢、歩夢の順だ。スコッティは平昌五輪で銅メダルを獲得したルーティンで1本目から勝負に出るも、最後までクリーンに決めることができず、3本目も前半のエアでボトム落ちしてしまい、ラストヒットのスイッチBSダブルコーク1260までスピードを乗せきれず転倒し、万事休す。この時点で日本人ライダーのワンツーフィニッシュが決定した。

rider: Scotty James photo: BURTON
來夢は3本目、2ヒット目のFS1080を1440にまで回転数を上げて勝負に出るも、BSダブルコーク1260の着地が乱れてしまい、この瞬間、歩夢のUS OPEN初優勝が決まったのだ。
ウイニングランとなった歩夢は何を魅せるのかと思いきや、さらにランのクオリティを上げてポイントを伸ばそうと試みるも、惜しくも転倒。こうした姿勢にプロ魂を感じて仕方ない。ラストヒットは2015-16シーズンに世界中を驚嘆させたクリップラー・ジャパンで自身のスタイルを強烈に発信し、伝統の一戦は幕を下ろした。

rider: Ayumu Hirano photo: BURTON

3位のスコッティ・ジェームス(左)と2位の片山來夢は抱き合いながら、お互いの健闘を称え合った
大会直後、歩夢は次のように語ってくれた。

「よかったですね。去年はあんな形でクラッシュしてケガをしてしまっていたから、改めて思い出すとそういう悪い流れを感じてて、今回はどうなるんだろうって思ってました。オリンピックが終わって自分の気持ちもリラックスしていたので、ものすごく大会に入り込みながら気合いを入れて練習するっていうよりも、本当にスノーボード自体を楽しむことができましたね。その結果が優勝だったので最高でした。これまでで一番楽しめた大会ですね。天気はよくなかったし、バックサイドの壁が苦手な形で、さらに風の影響もあったからパーフェクトではなかったけど、あの状況でやれることを自分で選んで……3本目が上手くつなげられればよかったですけどね。去年あんな思いをしてたから、まずはケガだけはしないようにと自分でも気をつけて大会に臨んでたから、そういう点でもすごくいい締めくくりになりました。今シーズンのすべてを通して、自分のやってきたことがひとつのスタイルとして認められるところまで近づいたのかなって思いますね」

また來夢は、「ここにいることが信じられないです。なんでここにいるんだ?って(笑)。歩夢やスコッティは表彰台の常連だし、そこに自分も入れてうれしいです。歩夢がまだ自分よりも上にいる存在っていうのを確かめられて、まだまだ上を目指したいって思えたので、これからがさらに楽しみになりました。歩夢という存在がいるおかげでスノーボードが好きになってます。BSダブルコーク1260はベイルに入ってから全然立ててなかったんですけど、あの場面で決めることができてよかったですね。最後のFSダブルコーク1260に入るときはかなりスピードがついていたので、めっちゃ飛べました(笑)。怖かったけど、気持ちよさのほうがデカかった!」

こうして歩夢と來夢のふたりが、日本中に大きな感動をもたらしてくれた。女子ハーフパイプで3位に輝いた松本遥奈をはじめ、出場した全ライダーたちに敬意を表したい。
日本スノーボードの歴史が再び動いた。これからシーンがどのように発展していくのか。楽しみでならない。
男子ハーフパイプ結果
1位 平野歩夢(日本)
2位 片山來夢(日本)
3位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
4位 ベン・ファーガソン(アメリカ)
5位 パトリック・バーグナー(スイス)
6位 ジェイク・ペイツ(アメリカ)
7位 デレック・リビングストン(カナダ)
8位 安藤南位登(日本)
9位 チェイス・ジョージー(アメリカ)
10位 ヤン・シェラー(スイス)
公式結果はこちら
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