BACKSIDE (バックサイド)

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角野友基、山田悠翔、込山“Orion”虎之介。3世代が交差した奇跡の夜「TRIPLE THREAT THROWDOWN」ルポ

2026.02.05

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「今日、フリスコのジブパークでイベントがあるよ。トラ、行かないの?」
 
午後2時過ぎ、コロラドのカッパーマウンテンのパークでそう声をかけられた。イベントは4時スタート。まだ間に合う。翌日はカナダへの移動を控えていたこともあり、「別にいいかな」と思ったその瞬間、「優勝賞金2,000ドルだよ」というひと言が飛んできた。
 
……マジ!?
 
調べてみると、3人1組のチーム戦で、勝ったチームが2,000ドル総どりらしい。ちょっと待てよ。今ここに、山田悠翔(ヤーマン)がいる。もうひとり……あ、デンバーにいる角野友基(ユウキ)から、昨日連絡が来ていたじゃないか。
 
「誘ってみるか。……実現したら、ヤバくない? このメンツ!」
 
声をかけたのはすでに午後3時。メインのチーム戦は5時半受付、6時開始。デンバーからフリスコまでは車で約1時間半。すぐに出発してもらわないと間に合わない。
 
「クルマにボード乗ってるから、すぐ出れる。カービングボードだけど!」
 
会場は、フリスコの街中にあるジブパーク。リフトはなくロープトゥのみだが、アイテムのレイアウトがとにかく面白い。シーズンパスを持って通うコロラドローカルも多く、ナイター照明も完備。ナイトイベントにはうってつけの場所だ。
 
彼らが現場に到着したのは、午後6時5分。クルマを横づけし、慌てて着替え、そのまま100人を超えるライダーで白熱する現場に飛び込んでいった。
 
ロープトゥ乗り場ではボード同士がガツガツぶつかり、ジブアイテムには何十人ものライダーが一気に突っ込んでくる。転んだ人の上に、次の人が容赦なく突っ込んでいく。日本ではまず考えられないカオスな光景だった。
 
私は母として、思わず叫んでしまった。
 
「トラ! ぶつかられないように気をつけて!!」
 
だが本人はお構いなし。周囲を瞬時に判断し、ギリギリで避ける。その能力を目の当たりにし、気づけば私自身も、熱狂する観衆の一部になっていた。カメラマンも突っ込まれる前提でギリギリまで攻め、ライダー同士も高度な技術でかわし合う。それでもクラッシュは連発する。
 
「うわっ、アメリカっぽい」
 
ここで育つキッズたちは、そりゃ上手くなるよな。そう思わずにはいられなかった。
 
ユウキ、ヤーマン、トラのチームは、堂々の決勝進出。ロープトゥはものの1分、5分に1本のハイペースで滑り続け、気づけば1時間半が経過していた。
 
「標高も高いし、ヤベー!」
 
そう言いながら、カービングボードで独自のスタイルを炸裂させるユウキ。ヤーマンとトラも次々にトリックを決め、彼らは現場の歓声を一身に浴びていた。
 
結果として、優勝は逃した。賞金2,000ドルの取り分まで考えていたのにね(笑)。それでも3人は、大勢のアメリカ人に囲まれ、「オマエら、ヤバかった!」と声をかけられる。フリスコの夜に、確かな爪痕を残した。
 
「あんなにうれしそうなヤーマン、初めて見たよね」とトラが言うほど、ヤーマンは終始笑顔だった。
 
「最高でした! 誘ってくれてありがとうございます!!」
 
トラも「僕、今までで一番楽しい大会だった!」と満面の笑みで答えた。何が楽しかったのかと聞くと、迷いなく「雰囲気もアイテムもだけど、やっぱりメンツ!」と即答。憧れのユウキとチームとして滑る経験は、彼のスノーボード感性を強く刺激したはずだ。
 
会場では「ユウキ! ユウキ!!」とアメリカ人に囲まれ、滑ればオーディエンスの視線は彼独自のスタイルに釘づけになる。
 
「オレ、カービングボード乗ってんねんで! カービングボードポイントくれや!!」と英語で叫び、笑いをとるユウキ。
 
「ちっちゃい頃から見てたトラとヤーマンと、今一緒にチームとして大会に出られるなんて、感慨深いよね。オレもひさびさ、楽しくて止まれへんスノーボードができて、最高の時間やったわ。笑顔が絶えないスノーボードができるのは、ホンマに特別なことやから。そこだけは忘れずに頑張ってほしい」
 
角野友基29歳、山田悠翔22歳、込山Orion虎之介14歳。
 
この3人のチームは、これが最初で最後かもしれない。ミラクルで、衝撃的なチーム。
 
あの夜、フリスコで滑った時間が、彼らのスノーボード人生にとって、確かな刺激になったと信じている。

text + photos: Yukie Ueda

 

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