BACKSIDE (バックサイド)

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難コースと強風を制した村瀬心椛、圧巻の滑りで優勝。新星・木村悠斗が2位。「LAAX OPEN」スロープスタイル決勝

2026.01.19

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スイス・ラークスで開催されている伝統の一戦「LAAX OPEN」最終日、スロープスタイルのファイナルが終わった。セクションのつなぎが難しくスピードが乗りづらいコース設定に加え、当日は強風。多くのライダーが「届かない」「回せない」「合わせきれない」という状況に追い込まれるなか、女子は村瀬心椛が優勝。男子はセミファイナルを1位通過していた17歳の新星・木村悠斗が2位に入り、強烈な存在感を刻んだ。
 
本来は現地時間13時に女子からスタートする予定だった。しかし風は刻々と強まり、ライダーズミーティングでは大会のキャンセルが議題に上がるほど。ジャンプが届かないリスクも現実的だったため、本来は女子から始まる予定だったが進行は変更され、まず男子を45分遅れでスタートさせる判断が下された。滑れるのか、滑れないのか。長いウェイティングを挟んだことで、女子ライダーたちは調整のやり直しを強いられた。
 
風は止まらず、男子もナックルに落ちるような場面が目立つ難条件だった。空気抵抗を嫌い、ワイドパンツ全体をダクトテープなどで絞るライダーたちの姿も見られた。コンディションそのものが、戦い方を変えさせる一日だったと言っていい。
 
そのなかで心椛は、1本目から攻めの滑りを披露。ジブセクションをしっかり攻略しつつ、ジャンプではFSダブルコーク900トラックドライバー→CABダブルコーク900インディ→BS720ミュートまでをつなげ、最後はハンドドラッグが届かず大きなBS360になったものの、75.2ポイントをマーク。条件を鑑みるとハイスコアだったが、これに満足することなく心椛は2本目でさらに上書きする。
 
2本目はセクション1のジブでミスが出た。それでも流れを崩さず、3連ジャンプでは1本目以上にダイナミックにつなぎ、しかも最後のジャンプでBSダブルコーク1080ミュートを投入。ラストヒットでは雪面にしっかり手をつきミラーフリップをメイクし、77.55ポイント。ミスがありながらスコアを伸ばした点が、今日の心椛の強さそのものだった。

「過去で一番難しい大会で、風が強くてスピードに苦しめられました。公式練習でスピードの出し方のコツをつかんで、精一杯頑張れたのでよかったです。決勝に残っていた10人中、半数はキャンセルしたいという状況だったんですけど、私は『絶対にやりたい』という気持ちを伝えていました。その強い気持ちが大会の結果につながったんだと思います」
 
心椛は競技だけでなく、バックカントリーライディングにも注力しているライダーだ。整えられたスロープスタイルのコースだけでなく、手つかずの自然地形を滑り込んできたことも、今回の結果につながったのかもしれない。また、負けん気の強さが表彰台のトップを射止める結果を生み出したのだろう。
 
予選をトップ通過していた岩渕麗楽は、1本目のファーストジャンプで放ったスイッチBSロデオ・メロンの着地で大きくクラッシュするアクシデントがあったが、大事には至らなかった。深田茉莉もFS900テールなど高難度スピンを高精度で繰り出したものの、風によりジャンプがランディングまで届かず。両名ともに大会直後、悔しさを滲ませていた。この経験を糧に、ミラノ・コルティナ五輪で躍進することに期待したい。

先に行われた男子は、悠斗の勢いがファイナリストたちを押しのけるように映った。1本目からCAB1260インディ→FS1620インディ→スイッチBSロデオ900メロンなどを決めて3位。トップはフランスのロメイン・アレマン、2位にシャオミンことスー・イーミン(中国)がつける展開だった。
 
2本目、悠斗はジブでさらに難度を上げ、ジャンプセクションでも1本目と同じルーティンの精度を高めることに成功。そのなかで放ったFS1620インディは、ジャンプが届きづらいコンディション下で際立つ一撃だった。スコアを伸ばし、シャオミンを上回って2位へ。初出場のLAAX OPENで表彰台を射止め、世界にその名を轟かせた。

「緊張も特になく、絶対にできると思っていたので、その結果がしっかり出てよかったです。スロープスタイルが好きなので、とにかく楽しかったですね」
 
表彰式直後のコメントも含め、ライディング同様にスケールの大きさを感じさせる。兄の葵来は8位。悔しさをにじませつつも、最後は弟と笑顔を交わした。もうひとりの日本人ファイナリスト、木俣椋真は5位。表彰台には一歩届かなかったが、初のオリンピックへ向けて調整を進めるという強い意思を口にしている。
 
難コースと強風というハイリスクな状況のなか、それでも戦い抜いた全ライダーたちに拍手を送りたい。次に控える「X GAMES」、そしてミラノ・コルティナ五輪。今日の経験は、確実に武器になるはずだ。
 
女子結果
1位 村瀬心椛(日本)
2位 リリー・ダウォーンヴェイ(アメリカ)
3位 アンナ・ガッサー(オーストリア)
7位 深田茉莉(日本)
10位 岩渕麗楽(日本)
12位 鬼塚 雅(日本)
14位 鈴木萌々(日本)
全結果はこちら
 
男子結果
1位 ロメイン・アレマン(フランス)
2位 木村悠斗(日本)
3位 スー・イーミン(中国)
5位 木俣椋真(日本)
8位 木村葵来(日本)
20位 長谷川帝勝(日本)
31位 宮村結斗(日本)
57位 荻原大翔(日本)
全結果はこちら

text + photo: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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