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日本人男子は表彰台届かず、女子は工藤璃星が2位。スコッティ・ジェームス&チェ・カオンが優勝。空前絶後のハーフパイプ合戦「LAAX OPEN」
2026.01.18
ミラノ・コルティナ五輪を目前に控え、スイス・ラークスで行われた伝統の一戦「LAAX OPEN」。FIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)としては五輪前の最終戦であり、日本代表男女各4枠が決まる局面でもあった。舞台となるラークスのハーフパイプは世界最高峰。各ライダーがオリンピックに向けて仕上げてきた大技が、決勝のライトの下で一斉にぶつかり合った。
男子は日本の主力がそろって決勝へ進んだが、表彰台には届かなかった。勝ったのはオーストラリアのスコッティ・ジェームス。コンテスト史上初のスイッチBSダブルコーク1440ミュートやCABトリプルコーク1440インディなどを含む驚愕のルーティンで、98.75ポイントを叩き出す圧勝だった。2位に両サイドでのトリプルコークに加え、2ヒット目にBSダブルアーリーウープ・ロデオ900を繰り出したニュージーランドのキャンベル・メルヴィル・アイヴス、3位にBSアーリーウープ360ノーズから入る独創的なルーティンを組み立てたオーストラリアのヴァレンティノ・ギュゼリが入った。FISハーフパイプ史上初となるオセアニア勢の表彰台独占となっている。
決勝は2本のベストランで争われた。日本勢にとって衝撃だったのは、平野歩夢のアクシデントだ。1本目、彼のオリジナルトリックでもあるダブルクリップラー1260ジャパンを3ヒット目で繰り出したが、大きくバランスを崩して大転倒。2本目はDNSとなり、結果は12位。予選から「パイプに合わせきれていない」と語っていた流れを思い起こさせるひと幕だった。大事に至っていないことを願いたい。
重野秀一郎は1本目のファーストヒットでBSダブルコーク1620を成功させるも、2本ともルーティンを完遂できず。今大会は「優勝以外では代表入りが厳しい」という条件の中で挑んでいただけに、無念が残る。大会直後、涙を浮かべていた姿が強く印象に残った。
山田琉聖は2本目、CABダブルコーク1440インディ→FSダブルコーク1260ミュートで圧倒的な高さを見せ、ダブルマックツイスト1080ジャパンで天高く舞う。しかし着地を合わせることができなかった。それでもこの一戦を経て代表の座を確実にしており、ここから先の伸びしろに期待したい。
平野流佳は、コンテスト史上初となるバック・トゥ・バック(連続)でのトリプルコークをランの中で成立させた。転倒こそ回避したが、後半のCABトリプルコーク1440インディで回転がやや足りず、ヒールエッジで耐える格好に。スイッチBS1080ジャパン、BSダブルコーク1260ミュートを含む構成でまとめたものの、73.75ポイントに留まった。
戸塚優斗は1本目のミスを受け、2本目でスイッチBSダブルコーク1260ミュート→CABダブルコーク1440インディ→FSダブルコーク1620テールと、ハイエアで攻めに転じる。だが、「体感したことのないスピードだった」と大会直後に語ってくれたように、ボードコントロールが非常に難しかったのだろう。終盤はBSダブルコーク1260を狙いながらBS900にリカバリーする場面もあった。世界の頂点を狙うだけに、悔しい結果となった。
先日のW杯カルガリー大会で、日本勢が積み上げてきた男子W杯での連続表彰台記録が途絶えたのは記憶に新しい。今大会はベストメンバーで臨んだが、それでも表彰台には届かなかった。ミラノへ向けて、世界全体のレベルが一段上がっていることを示す決勝でもあった。
女子は工藤璃星が2位に入り、日本勢として確かな結果を残した。優勝は韓国のチェ・カオン、3位は中国のツァイ・シュートン。今シーズンの女子ハーフパイプは、チェが圧倒的な強さを継続している。
璃星は2本目、FS900メロン→BS900ミュート→FS720トラックドライバー→CAB720インディ→FS1080ステイルフィッシュをまとめ、82.75ポイント。多彩なグラブを使い分けながら、難度と表現力を両立させたランがスコアにつながった。彼女が大会後に口にしていた「とにかくカッコいい滑りをしたい」という強い想いが、そのまま結果に表れたと言っていい。
復帰戦となった清水さらは、マックツイストからFSダブルコーク1080インディへつなぐ高難度でスタイリッシュな構成に挑んだが、2本とも着地が合わず。小野光希も中盤にFS1080テール→CAB900メロン→スイッチBS540ミュートへ踏み込むが、クリーンに決め切れなかった。
冨田せなは1本目でFS1080テールを含むランをまとめ、2本目ではCAB1080にトライするも着地を合わせきれず。昨シーズンはケガに苦しんだ冨田るきは、BS900ミュート、FS900メロンなどを含むランを着実にまとめ、2本目は難度と完成度を引き上げて70ポイントを記録。姉妹ともに表彰台には届かなかったが、次につながる大会となったことだろう。
五輪直前の最終戦で、男子は表彰台を逃し、女子は工藤璃星が2位。結果は振るわなかったが、SAJ(全日本スキー連盟)ハーフパイプ・チーフコーチの村上大輔は、コンテスト終了後に「確かな手応えを感じた」というひと言を残してくれた。
ミラノ・コルティナ五輪へ向けた“最後の答え合わせ”は終わったということなのか。オリンピックまで、残りわずか。この逆境をバネに、日本勢が飛躍する日も近い。
男子結果
1位 スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
2位 キャンベル・メルヴィル・アイヴス(ニュージーランド)
3位 ヴァレンティノ・ギュゼリ(オーストラリア)
5位 平野流佳(日本)
7位 戸塚優斗(日本)
10位 山田琉聖(日本)
11位 重野秀一郎(日本)
12位 平野歩夢(日本)
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女子結果
1位 チェ・カオン(韓国)
2位 工藤璃星(日本)
3位 ツァイ・シュートン(中国)
4位 冨田せな(日本)
5位 冨田るき(日本)
7位 小野光希(日本)
10位 清水さら(日本)
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text + photo: Daisuke Nogami(Chief Editor)




