BACKSIDE (バックサイド)

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戸塚優斗2位、平野歩夢は苦戦の末に通過。清水さら復帰戦2位。日本勢10名が突破した「LAAX OPEN」ハーフパイプ予選ルポ

2026.01.16

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ミラノ・コルティナ五輪へ向けて、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(W杯)としては最終戦に位置づけられる一戦。スイス・ラークスで行われている伝統の大会「LAAX OPEN」のハーフパイプ予選が終了した。シェイプはキレイだがレギュラーのバックサイドウォールがやや開いており、そして例年より高い気温でボトムが荒れやすいという厳しいコンディションで行われた。
 
女子予選は、ケガからの復帰戦となった清水さらが強烈なインパクトを残した。ケガの影響をまったく感じさせない高さのあるエアを連発し、マックツイストやバック・トゥ・バック900などを決めて94.5ポイント。2位で予選通過を果たす。
 
予選直後のインタビューでは、表情は落ち着いていた。
 
「ケガの心配はもうありません。世界選手権以来の大会だったので緊張というか不安はありましたが、納得のいく滑りができました。決勝では順位も大事ですが、一番盛り上げられるような滑りをしたいです」
 
さらを筆頭に、日本勢の強さを改めて知らしめる結果だった。16歳ながらBS540をテールグラブで操るなど表現力にこだわる工藤璃星が3位、クリーンなパイプランを武器に安定した強さを誇る小野光希が4位、女子パイプチームを牽引する北京五輪銅メダリストの冨田せなが5位、ケガに苦しめられながらも見事復帰を遂げた冨田るきが8位。ファイナル進出10名のうち5名が日本人という結果になった。
 

いっぽうで、大橋空奈はCAB1080を組み込むなど攻めの滑りを披露したが、涙を呑む結果に。あと一歩が届かなかった。
 
トップ通過は韓国のチェ・カオン。1本目でミスしながらも、2本目に勝負強さを発揮。ファーストヒットからスイッチBS720を繰り出し、BS900へつなぐ巧みなルーティンで96.5ポイントをマークした。
 

17歳のチェ、16歳のさら、そして璃星。女子高生ライダーたちがトップ3を飾った事実は、このシーンの“世代交代”が加速していることをそのまま示している。
 

 
男子は2ヒートに分かれて行われ、それぞれ上位6名がファイナルへ進出する。
 
ヒート1は山田琉聖が2位。高さのあるエアを連発し、中盤にマックツイストを組み込みながら、FSダブルコーク1440→スイッチBSアーリーウープ・ダブルロデオ900を決めた。3位には平野流佳。今シーズンは結果に恵まれず苦しんでいたが、十八番であるスイッチBS1080ジャパン、FSダブルコーク1440などをまとめて決勝進出を決めている。
 
そして注目は、中国・シークレットガーデンで行われた今季W杯開幕戦で優勝して以来、実戦の場に戻ってきた平野歩夢だ。1本目でスイッチBS900、CABダブルコーク1440、FSダブルコーク1440などを決め、2本目で難易度を上げて高得点を狙う。しかし、ラストヒットで転倒。結果は6位通過という、らしからぬギリギリの勝ち上がりとなった。
 
「公式練習からパイプに合わせられてなくて、1本目をクリーンに決めて、2本目で攻めたランをしようと思っていましたが、1本目もクリーンではなかったのでポイントも伸びず、2本目ではミスしてしまいました。決勝までもあまり時間がないので、この状況を理解しつつ、冷静に戦えたらなと思います」
 
これまでも多くの逆境を乗り越えてきた歩夢だけに、ファイナルでアジャストさせてくる可能性は十二分にある。
 
ヒート2は戸塚優斗が94ポイント。全体でも2位のスコアを叩き出した。スイッチBS900→CABダブルコーク1080→FSダブルコーク1260→BS900とつなぎ、2本目のラストヒットではFSトリプルコーク1440に成功。序盤は余力を残しながらも高得点を記録した。
 
「パイプのコンディションはよくなかったですが、しっかり合わせることができました。トリプルコークはカッパーマウンテンでもアスペンでもやってきて、ラークスのパイプは大きくてストレスなくできるのでやりやすく、決勝に向けてやっておきたいという意味で出しました。ファイナルでは両サイドでのトリプルや1620も入れられたらいいと思ってますね」
 
その力強い言葉どおり、決勝はさらに上の滑りを見せてくるはずだ。
 
4位には、琉聖と日本代表最後のひと枠を争う重野秀一郎。BSダブルコーク1260から入り、後半ではFSダブルコーク1440→スイッチBSアーリーウープ・ロデオ720を決めて84.75ポイントで決勝へ。
 

トップ通過はオーストラリアのスコッティ・ジェームス。予選では繰り出していないが、BSダブルコーク1440、スイッチBSダブルコーク1440、さらに超大技を隠し持っているという噂もある。ファイナルの展開を大きく揺らす存在になるだろう。
 

 
なお、ヒート1の村上広之輔、ヒート2の平野海祝は予選敗退となった。悔しい結果ではあるが、この経験が次の飛躍につながることを期待したい。
 
決勝は現地時間の1月17日(土)夜に行われる。気温が高く、ボトムが荒れやすい状況に多くのライダーが苦戦を強いられたが、ナイトファイナルになれば雪面は安定する可能性が高い。コンディションが整ったとき、ラークスの巨大なパイプは“世界最高峰のルーティンバトル”の舞台を化すだろう。オリンピックの前哨戦であり、オリンピック以上にハイレベルな戦いになることが予想される。
 
ラークスの地でハーフパイプの歴史が塗り変わるのか。現場で見届けたい。

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

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