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【速報】お家芸で魅せた日本勢。W杯ビッグエア開幕戦で木俣椋真が3位、女子は深田茉莉、岩渕麗楽、鬼塚雅が表彰台独占
2025.11.29
ミラノ・コルティナ五輪まで残り3ヶ月を切った今。各国の代表選考を兼ねたFIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップ(以下、W杯)が、ついに火蓋を切った。初戦の舞台は、日本のお家芸とも言えるビッグエアだ。
快晴ながらバナーが大きく揺れる強風下、男子の戦いは5.5回転、すなわち1980の応酬となった。日本からは木村葵来、木俣椋真、長谷川帝勝、宮村結斗が決勝へ駒を進めた。女子は鬼塚雅、深田茉莉、村瀬心椛、岩渕麗楽がファイナルに進出。ビッグエア大国・日本がどこまで躍進できるのか、固唾を呑んで見守った。
ビッグエアはひとり3本のジャンプを行い、回転数の異なるベストトリック2本の合算で争われる。前述したように男子は1980合戦となったが、その最前線で戦ったのが帝勝だ。
帝勝は、“ただ勝つ”だけでは満足しなかった。1、2本目ともにCAB2160という6回転の大技に挑み続けたが、着地に嫌われる。ただ表彰台に上がるのではなく、誰も成し遂げていない領域で勝つ——その気迫が、ランディングバーンに刻まれていた。葵来もBS1980の着地を合わせることができず、2本目とも失敗。万事休すとなった。
結斗は1本目でFS1980という大技を披露するも転倒。しかし2本目、BS1980をパーフェクトにストンプし、表彰台に望みをつなげた。3本目、再びFS1980に挑むが、惜しくもランディングを合わせることができなかった。
そんな中、椋真は1本目に若干着地が乱れたもののBS1980を成功させると、3本目にパーフェクトとも言えるスイッチBS1980を決めて2位に浮上。回転方向は右回り(レギュラーのBSとCAB)と左回り(レギュラーのFSとスイッチBS)が存在し、世界トップクラスのレベルでも得手不得手があるが、両方向での5.5回転技を決めて実力と存在感を示した。
しかし、地元開催の中国勢が、その期待を上回る完成度を見せつけた。優勝したスー・イーミンは椋真と同様、ノーマルスタンスとスイッチスタンスのBS1980をともにパーフェクトに決め、北京五輪ビッグエア金メダリストの貫禄を世界に示した。
新進気鋭のグォ・チュンユは、2本目にFSトリプルロデオ1440という、回転数こそ見劣りするものの、トウサイドで踏み切るロデオ軸で縦3回転、横4回転というオリジナリティあふれるトリックを見事成功。3本目にはBS1980を決めて椋真のポイントを上回り、2位に食い込んだ。
女子は、日本勢が表彰台を完全制覇する圧巻の結果となった。茉莉、麗楽、雅がワンツースリーフィニッシュ。ビッグエア大国・日本の強さを、改めて世界に刻みつけた。
優勝した茉莉は1本目、スイッチBS1080をスイッチインディグラブで完璧に演じきると、2本目はまさかのFS720。大会直後のインタビューでは狙っていたわけではなかったことを明かしたが、3本目にはFS1080でテールからメロンに持ち替えるツーグラブをパーフェクトにストンプ。貫禄の優勝となった。
2位の麗楽は1本目にBS1080、3本目にFS1080をそれぞれメイク。あえて両足間のグラブではなくチップグラブを入れることで、表現力で勝負に出た。大会直後のインタビューでは「全然納得できていない」と語っており、ここからの麗楽の巻き返しに注目したい。
3位の雅は1本目にCAB1080、2本目にBS1080を成功させると、3本目に逆転を狙い、今大会で女子唯一の3.5回転となるCAB1260を繰り出すも、惜しくも着地に嫌われてしまった。
もうひとりの日本人、先日女子としては世界初のBS1620を決めて話題をさらった心椛は、2本のトリックを揃えることができず、悔しい結果に終わった。
ミラノ・コルティナ五輪まで、残された時間はわずかだ。来週、同じく中国・北京で行われるビッグエアW杯第2戦。SNOW JAPANの戦いは、まだ始まったばかりである。
text: Daisuke Nogami(Chief Editor)
男子結果
1位 スー・イーミン(中国)
2位 グォ・チュンユ(中国)
3位 木俣椋真(日本)
7位 宮村結斗(日本)
8位 長谷川帝勝(日本)
9位 木村葵来(日本)
23位 国武大晃(日本)
25位 木村悠斗(日本)
27位 荻原大翔(日本)
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女子結果
1位 深田茉莉(日本)
2位 岩渕麗楽(日本)
3位 鬼塚 雅(日本)
6位 村瀬心椛(日本)
13位 鈴木萌々(日本)
27位 村瀬由徠(日本)
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