BACKSIDE (バックサイド)

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街に降り注いだ雪とスポットを“根こそぎ”追いかけた冬。『NEKOSOGI』が映し出す、ストリートスノーボーディングの極み

2025.11.06

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日本のフリースタイルスノーボーディングの最前線を映像で切り取ってきた川崎清正が、KIYO FILMとしては初となるフル・ストリートムービーを完成させた。そのタイトルは『NEKOSOGI』。福岡、名古屋、札幌での試写を経て、今週末はいよいよ東京・表参道のRobin Clubでツアーファイナルを迎える。
出演するのは、日本のストリートシーンを牽引する世界レベルの4人──小川凌稀、戸田真人、鈴木冬生、米野舜士。長年、川崎と現場を共有してきたメンバーが、ひとつの冬をストリートだけに捧げた。
当初、海外遠征も視野に入れていたが、世界的な暖冬でストリートに必要な「街の雪」が決定的に足りない。そこで川崎たちは判断を切り替え、日本海側の強烈な寒波を徹底的に追いかける選択をとった。北海道から南下し、青森、新潟、富山、金沢、福井へ。山ではなく町の積雪量を毎日チェックしながら、スポットを狙って動き続けたという。
その結果、NEKOSOGIに収録されたフッテージの半分以上はニュースポット。普段は雪がつかず、そもそも滑ることができなかった場所が、昨シーズンの豪雪によりストリートの舞台に変貌した。階段、ハンドレール、壁など、4人が新たなラインを刻むその背景には、山岳ガイド顔負けの気象リサーチと、“当たり”を逃さないフットワークがある。
タイトルのNEKOSOGIには、そんな彼らの動きがそのまま込められている。日本海の寒波を“根こそぎ”追い、ニュースポットを“根こそぎ”掘り当て、映像として“根こそぎ”持ち帰る。そしてもうひとつは、今シーズン豊作と言われるムービーシーン──同じ土俵で作品をつくる仲間たちへのメッセージでもあった。
Cheeba Films『北門 -Hokumon-』、BURTON × RED BULL『PAVED』、SKETCHY SUNCA『IGNITE』、NOMADIK『GYPSY Ⅱ』と、10月は上映会ラッシュだった。そのなかで川崎は、「リスペクトは前提として、“オレたちが根こそぎ持っていく”くらいの気持ちで作りたかった」と笑う。
ストリートは、ただ大きなトリックだけを競う場所ではない。誰も滑っていない街の一角を見つけ、自分だけのラインを描き、その一瞬を映像に刻み込むカルチャーだ。『NEKOSOGI』は、その本質を改めて突きつける映像作品になるはず。
日本のストリートが、今どこに向かい、どこに到達したのか。その答えを、ぜひ大型スクリーンで確かめてほしい。
 
KIYO FILM『NEKOSOGII』東京プレミア」概要

▷日時: 2025年11月9日(日)19:30~23:00

▷場所: Robin Club 表参道

▷料金: 3,500円+1ドリンク(前売り券: 2,500円+1ドリンク)

▷ゲストライダー: 小川凌稀、戸田真人、鈴木冬生、米野舜士

text: Daisuke Nogami(Chief Editor)

 

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